「日本の真価」が問われている
国際社会の信頼確保を
公明新聞:2011年3月22日付
原発事故の対応
世界は今、福島第1原子力発電所(原発)事故と、それに対する政府の対応を注視している。
地球温暖化対策として、石油など化石燃料からの転換が議論され、その中で原発が改めて注目されている時代である。国際原子力機関(IAEA)から原子力平和利用の優等生として評価されてきた日本が、この原発事故にどう対処するかによって、原発の将来は大きな影響を受ける。
「原発は安全」と言われながら、事故は何回も発生してきた。しかし、今回の福島第1原発の事故は国内最悪だ。経済産業省原子力安全・保安院は、同原発1~3号機の事故について、1979年の米国スリーマイルアイランド原発事故と同じ「レベル5」としてIAEAに登録した。同レベルは発電所外へのリスクを伴う事故である。
従来の原発事故でも情報開示について政府と電力会社は厳しい指摘を受けてきたが、今回も同様の批判を受けた。原発を持つ国は、技術力だけでなく、緊急事態への対処も立派でなければならない。
政府に国民の生命・財産を守る深い決意があるかどうか、「日本の真価」が問われている。
事故当初、政府は状況把握ができないまま甘い見通しを発信し、国民に事実を隠しているとの不信感を芽生えさせた。この不信感が国際社会にも広がったことは否めない。12日の1号機建屋の爆発について、東電は当初「大きな音があり白煙が発生した」「原子炉格納容器に異常はない」と言うばかりだった。
米国など外国政府が、日本政府が決めた避難地域よりずっと広い範囲を避難地域に設定し、自国民に退去勧告をする事態に関し、外国メディアでは、日本の情報提供について外国政府に不信感が募っているとの報道もあった。
菅首相は18日、天野IAEA事務局長に「全世界に対し、包み隠さず情報を示すことを約束する」と述べ、事故対策に全力を挙げる決意を表明。ところが同日、谷垣自民党総裁に震災担当として入閣要請していた事実が明らかになった(谷垣氏は19日に拒否)。
公明党の山口那津男代表は20日、震災対策に「全力で協力する」とした上で、「菅首相に一番必要なことは野党対策でなく、まさに震災対策だ」と指摘した。
福島第1原発は、消防と自衛隊の懸命の放水作業など、最悪の事態を防ぐ努力が続いている。政府は対策に集中し、迅速で分かりやすい情報提供に努めるべきだ。
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