「3次補正」を一刻も早く
復興庁、年内に設置すべき
井上幹事長が代表質問
新政権は論戦逃げるな
公明新聞:2011年9月16日付
衆院は15日、本会議を開き、野田佳彦首相の所信表明演説に対する各党代表質問を行った。公明党の井上義久幹事長は、今臨時国会の会期を4日間とし、国会論戦から逃げる政府・民主党の姿勢を厳しく批判。東日本大震災の復旧・復興を迅速に進めるため、今年度第3次補正予算の早期編成、国会提出を求めた。さらに、復興庁の早期設置や福島県の再生、政治とカネ、社会保障制度などの問題を追及した。
井上幹事長の質問要旨【政治姿勢】 井上幹事長は、原発事故をめぐる不適切な言動で辞任した鉢呂吉雄前経済産業相の後任に、震災と原発事故の対応を誤った菅内閣の枝野幸男前官房長官を任命したことについて「前政権の失政に対する深刻な反省がない」と批判。
与党が臨時国会を4日間で閉じようとしている姿勢については「内閣発足早々、国会論戦から逃げる。それでは信頼関係が生まれない」とし、予算委員会の早期開催を求めた。
一方、民主党の主要政策の見直しなどを盛り込んだ民主、自民、公明の3党合意の履行を求めたのに対し、野田首相は「誠実に履行していく」と答えた。
【政治とカネ】 井上幹事長は、野田首相の在日外国人などからの献金問題を追及。また、菅直人前首相の資金管理団体など民主党から「市民の会」と称する政治団体に巨額の献金が行われていた問題について「党として調査し、国民に説明すべきだ」と指摘。野田首相は「党として調査する必要はない」と開き直った。
【復旧・復興】 井上幹事長は、菅前政権の震災対応が甘く、復旧・復興が大きく遅れている現状を指摘。その上で、「一刻も早く本格的な補正予算を編成し、国会に提出すべきだ」と強調した。
また、3次補正の編成で公明党が政府に提言を申し入れた点に触れ、与野党協議の前に「提言を真摯に受け止め、政府案を早急にまとめるべきだ」と訴えた。
一方、復興を迅速に進めるには復興の計画立案から実施までの権限を一元化した「復興庁の設置が不可欠」として年内の設置を要請。さらに、規制緩和などを大胆に行う「復興特区制度の早期創設に本腰を」と力説した。
野田首相は復興庁や復興特区制度の設置に必要な法案の国会提出を急ぐ方針を示した。 【福島県対応】井上幹事長は福島県の復旧・復興について、現行法では「福島全体の復興に対応できない」とし、特別法を制定し、必要な財源は国が全額手当てするよう求めた。また、「福島復興再生基金」を創設し、「福島の復興に国を挙げて取り組む姿勢を明確にすべきだ」と訴えた。
野田首相は特別法について「なるべく早い時期に対応できるよう検討する」とし、基金創設の検討も約束した。
さらに井上幹事長は、政府の対応の遅れから、いまだに放射性物質に汚染されたがれきや汚泥などの廃棄物処理が進んでいないと指摘。「放射性がれき処理法」に基づき、除染基準や最終処分場の確保などを進めるとともに、大規模な除染対策を推進するため、第3次補正で約3兆円規模の予算確保を求めた。
【エネルギー問題】 井上幹事長は今回の原発事故を直視し、原子力発電に依存しない社会への移行に本格的に取り組むべきだと強調。再生可能エネルギーの導入や化石燃料の高効率化などにより、段階的に原子力発電を縮小し、「新増設は基本的に行うべきではない」との認識を示した。
【社会保障】 今年6月に政府・与党がまとめた「社会保障・税一体改革案」について井上幹事長は、民主党が野党時代から主張してきた年金制度改革や高齢者医療制度の見直しなど、根幹部分で具体性がないと指摘。マニフェストで掲げていた最低保障年金の創設や、年金制度の一元化などにも具体的記述がないとした上で、「いいかげんに民主党の年金改革案は、実現はおろか、具体的な制度設計すら困難であると認めるべきだ」と厳しく追及した。
これに対し野田首相は、民主党が政府に行った提言で「新制度の骨格が示されている」と強弁した。
【農業】 井上幹事長は農家戸別所得補償について、安定財源の確保に不安があると強調。環太平洋連携協定(TPP)への参加交渉についても「政府の姿勢はあまりにも拙速だ」と訴えた。
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