被災地住民、不安抱え越年へ
放射性物質汚染対処特措法 来年1月から完全施行
除染技術本格化へ課題山積
公明新聞:2011年12月29日付
東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質に汚染された廃棄物の処理や土壌などの除染を国の責任で行う「放射性物質汚染対処特別措置法」が、来年1月から完全施行される。ただ、被災地では除染作業の本格化に向け課題が山積みで、住民は不安を抱えたまま年を越すことになる。
環境省は28日、同法に基づき、国の責任で除染を行う「除染特別地域」と、国が廃棄物の収集から運搬、保管、処分までを実施する「汚染廃棄物対策地域」について、福島県富岡町など原発から20キロ圏内の警戒区域や、放射線量が年間20ミリシーベルトを超える計画的避難区域の11市町村を正式に指定した。
また、自然界からの被ばくを除く追加線量が年間1ミリシーベルト(毎時0・23マイクロシーベルト)以上の地域がある市町村が対象となる「汚染状況重点調査地域」に、8県102市町村を指定。県別では福島(40市町村)が最も多く、次いで茨城(20市町村)、群馬(12市町村)、千葉(9市)、宮城(8市町)、栃木(8市町)、岩手(3市町)、埼玉(2市)となった。
同地域の指定は市町村単位だが、実際の除染は汚染状況を詳しく調査し、放射線量率が基準以上の地域に限り、除染実施計画を立て、除染を行う。除染に関わる費用は国が負担し、今後も、希望する市町村があれば追加で指定する。
指定市町村が最も多かった福島県の鈴木克昌除染対策課長によると、除染作業に向け課題は山積みという。
特に、除去した汚染土の仮置き場の選定には、住民の反発も予想されるほか、小さい市町村は、通常業務に加え、計画を策定しなければならず、人手が足りない。仮に計画が出来上がっても、住民への説明会や業者への発注なども含めた手続きに時間がかかると見ている。中には、放射線量に基づく指定基準を満たす地域がありながらも、「風評被害につながる」として指定を断った市町村もある。
県は、効果的な除染方法を探るため、除染技術実証事業を進めているほか、計画策定マニュアル(手順書)を作成し、除染の技術指針や発注方法なども周知することにしている。また、指定された40市町村に担当者を配置して、ワンストップ(1カ所)の対応に努めるなど、市町村の取り組みを支援している。
除染の本格化に向け環境省は来年1月、福島市に「福島環境再生事務所」を設け60人の人員を配置。4月には地方支所を設置し、200人態勢で市町村の取り組みを支援するとしているが、具体的な支援策はいまだ検討段階。除染特別地域における除染の本格実施は3月以降になる見通しで、効果的な除染方法を検証する国の除染モデル事業の遅れも懸念されている。
公明党は、国の責任で除染を行うほか、国と自治体の役割の明確化や国の財政負担などを訴え、特措法の成立を強力に推進してきた。
同法成立の際、民主、自民、公明の3党協議に参加してきた公明党の江田康幸衆院議員は、「住民の不安解消は急務。今後、除染特別地域における一日も早い本格的な除染の態勢整備を急ぐとともに、市町村の除染作業に寄り添い、手厚い支援措置を講じるよう訴えていく」と語っている。
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