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国際
【緯度経度】北京・山本勲 破綻した「重慶モデル」
繁栄から取り残された中高年層は貧しくとも格差の小さかった昔を懐かしみ、若者には日ごろのうっぷん晴らしの機会ともなった。
運動開始1年の09年半ばからは、「打黒(ダーヘイ)」と称する暴力団撲滅運動を始めた。わずか「80日間で約3万3千件の刑事案件を摘発、9500人を逮捕した」(重慶市当局)“成果”は、通常の法治国家ではありえない。
当然のことながらあまたの冤罪(えんざい)の訴えであふれている。上海交通大学の童之偉教授が昨年9月にまとめた調査報告によると、「資産が数億元(数十億円)~数十億元(数百億円)の多くの有力民営企業家が、十分な証拠や弁護の機会もないまま、死刑などの極刑判決を受け、資産を没収された」。
しかも「没収資産の行方も分からない」という驚くべき現実が明らかにされている。童教授は報告を「国家最高指導層に提出した」と記しているから、胡主席や温首相も読んだ可能性が高い。
薄氏はまず「唱紅」運動で大衆の革命精神をかきたてた。次に矛先を暴力団や金持ち民営企業家に向け、「文革と同じように、まず秘密拘束し、あとで証拠を探す」手法を用いた。大衆宣伝で特定階級、階層への嫉妬心や憎悪心をあおり、法律無視のキャンペーン方式で目的を果たすのは文革とそっくりだ。
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