1966年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で起きた強盗殺人「袴田事件」第2次再審請求のDNA型鑑定で、証拠の衣類に付着し袴田巌死刑囚(76)のものとされた血痕と死刑囚のDNA型が一致しないとの結果が出た。確定判決と食い違う内容となる弁護側推薦鑑定人の結論を、弁護団が13日公表した。検察側鑑定人は地裁に結果を提出していない。
鑑定書は不一致に関し「試料(衣類)の劣化や汚染を考慮しても、偶然では極めて起こりにくい」と指摘した。弁護団の小川秀世事務局長は記者会見で「無実がはっきりと裏付けられた。速やかな再審開始に向け裁判所に働きかけていきたい」と即時釈放と再審開始を訴えた。
鑑定対象は、袴田死刑囚の着衣とされた白半袖シャツ。事件当時の鑑定では「右肩部分の血痕が袴田死刑囚と同じB型」「シャツを含む5点の衣類に被害者4人と同じ血液型の血も付着」とされた。これを基に確定判決は、4人を殺害した際の着衣で、有力な有罪の証拠だと認定した。
5点の衣類の「被害者の返り血」とされた血痕を巡るDNA型鑑定では昨年12月、弁護側が「被害者の型と不一致」、検察側は「一部一致の可能性」と結論が割れた。弁護側の求めで袴田死刑囚の同鑑定も追加され、同じ鑑定人2人が3月、収容先で採血していた。
静岡地検の千葉雄一郎次席検事は記者会見で「前回鑑定の検討が済んでおらず、今回の(弁護側)鑑定の評価はできない」とし、一連の鑑定の検証を求める考えを示した。【平塚雄太】