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自閉症に優しい社会を 金沢で市民団体発足

(2012年4月2日) 【北陸中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

患者も参加、政策提言へ

画像今後の活動について話し合う「自閉症の未来協議会」の会員たち=金沢市内で

 自閉症や発達障害の人たちと社会がどう向き合うかを模索する市民団体「自閉症の未来協議会」が1日、金沢市で発足した。この問題で患者と一般市民が参加した支援団体は全国でも珍しく、学校や企業が、こうした人たちにどう対応していくかを考える新しい取り組み。7月にも山野之義市長に政策を提言する。 (大森雅弥)

 自閉症や発達障害の人には、高度な知識がありながら、病状を自覚することなく他人とコミュニケーションが取りにくくなっているケースもあり、学校や企業でどう対応していくかが課題となっている。

 設立のきっかけは、2010年に市内で開かれた自閉症をめぐる市民参加のシンポジウム。出席者の有志が勉強会を継続し協議会をつくることになった。

 主婦や企業経営者、教員のほか、自閉症の人とその親や大学の研究者らがメンバー。事務局は、この問題に取り組んできた大井学金沢大教授らの研究プロジェクトチームが担当する。

 自閉症の啓発や関連施策の在り方のほか、治療や政策にまつわる倫理的問題なども検討。6〜7月に市内で開かれるシンポジウムで政策提言をまとめる。金沢大を中心に検討している自閉症専門のインターネットサイトへの参加も目指す。

 会長に就任した、市内で自閉症の勉強会を開いた経験を持つ主婦足立章江さん(39)は「自閉症も耳になじみのある言葉になってきたが、具体的に自分がどう関われるのか考えていきたい」と話している。

 自閉症 対人関係がうまく持てないことや、言語発達の遅れがあり、活動や興味の範囲が極端にせまく、特定の行動にこだわることなどの特徴で診断される障害。脳機能障害が原因との説が有力だが、メカニズムは解明されていない。知的障害のない人も多く、進学や就職ができても対人関係で問題を抱えるケースが目立ち、対応が社会的な課題になりつつある。

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