除染 「覆土」も補助対象に4月15日 15時31分
原発事故で拡散した放射性物質を取り除く「除染」を巡って、多くの自治体が汚染された土の保管場所を確保できないことから、国は新たに、汚染された土を取り除かずに上から土をかぶせる「覆土」と呼ばれる方法も補助の対象に加えました。
自治体が行う除染で、国は、汚染された土を取り除いて別の場所に保管する方法については、費用を補助する対象としてきました。
しかし、多くの自治体では住民の同意が得られず、土の保管場所を確保できない状況で、やむをえず学校や公園で取り除いた土を敷地の隅に保管しているケースもあります。
こうした状況を受けて、国は新たに、土を取り除かずに、上から土をかぶせる「覆土」と呼ばれる方法も、補助の対象に加えました。
これについて環境省は、土をかぶせるだけでも放射線量を低下させる効果があり、自治体からの要望もあったためとしています。
国は、東北と関東の100余りの自治体について、国が財政負担をして自治体が除染を行う地域に指定しましたが、除染作業が本格化するのはこれからで、今後、土の保管場所を確保できない自治体の間に、この方法を採用する動きが広がることも予想されます。
宮城県 要望認められ感謝
9つの市と町が除染を行う対象になっている宮城県の原子力安全対策課の高橋剛課長は「取り除いた土の仮置き場をどう確保するかという問題は、地域住民の理解を得ることが難しく、どこの自治体も頭を悩ませていた。覆土も認めてほしいという私たちの要望が認められて感謝している」と話しています。
福島県 一刻も早く中間貯蔵施設を
一方、福島県では、土を取り除く方法で除染が進められています。
福島県の除染対策課は「土の保管場所を決める作業は簡単には進まない。国の責任で一刻も早く中間貯蔵施設を確保することが重要だ」と話しています。
長期的な監視が必要
国が除染の方法として「覆土」も補助の対象としたことについて、効果的な除染について研究している東北大学の石井慶造教授は「覆土にも放射性物質の影響を減らす一定の効果はあるが、安全を確保するには30センチ程度の厚さで土を盛らないと、雨でぬかるんだりして土の下の放射性物質が出てくるおそれがある。また、セシウムの半減期は30年と長く、土地が将来、どう利用されるのか長期的な監視が必要だ」と話しています。
大量の土の確保なども課題
「覆土」の場合、汚染された土の保管場所を別に確保する必要はありませんが、汚染された土の上にかぶせる大量の土をいかに確保するかが課題となります。
また、被災地では、復興関連の工事で土木建設業者が不足している状況もあり、覆土の作業に当たる業者をいかに確保するかも課題となりそうです。
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