玄海原発運転差し止め訴訟:「ただちに放棄を」福島からの避難者陳述 九電は全面的に争う姿勢 /佐賀
毎日新聞 2012年04月14日 地方版
県内や福岡県を中心とした反原発グループの市民ら約300人が、九州電力玄海原発全4機の運転差し止めを九電に求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、佐賀地裁(波多江真史裁判長)で開かれた。九電側は棄却を求め、全面的に争う構えを見せた。
意見陳述があり、原告側は、生後間もない長女や妻とともに福島市から鳥栖市に避難した木村雄一さん(52)が証言台に立ち「原発事故で人生が狂わされ、新しい土地で一からやり直さなければいけないつらく悲しい1年だった」と涙ながらに訴えた。さらに「原発は人間と共存できない。ただちに放棄しなければならない」と語気を強めた。
訴状では、原発の安全性を確保するために設けた国の安全設計審査指針や耐震設計審査指針が間違っていたことが福島原発事故で明らかになったと指摘。「安全性の保障されない原発の運転が重大事故を起こしかねない危険を生じさせる。運転は差し止められるべきだ」と主張している。
これに対し、九電側は「玄海原発は最新の知見を踏まえて地震・津波の対策を講じ、安全性は確信されているため福島原発事故のような重大事故が起こる具体的可能性はない」と反論した。【田中韻】