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玄海原発停止訴訟、原告「再稼働認めぬ」
2012年04月14日
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閉廷後に会見を開く石丸初美代表(中央)や木村雄一さん(右)=佐賀市駅前中央1丁目 |
全4基が停止中の九州電力玄海原発の運転差し止めを求めた訴訟が13日、佐賀地裁(波多江真史裁判長)で始まった。安全性を強調する九電に対し、原告は「再稼働を絶対に食い止めたい」と力を込めた。
第1回口頭弁論で、九電側は福島第一原発のような重大事故が起きない理由として、昨年3月に経済産業省原子力安全・保安院から指示を受け、実施した緊急安全対策を挙げた。
電源車を高台に置くほか、原子炉を冷やす水が入った非常用タンクが使えなくても、海や近くの淡水池から補水できる仮設ポンプとホースを配備するといった対策を講じている。
「原発立地場所の歴史や岩盤を最大限に考慮して安全対策をしている」。閉廷後の会見で九電の担当者は、安全性を強調。政府が6日に決めた暫定的な安全基準についても、「必要と判断される項目は満たしていきたい」と述べた。
一方の原告側は――。
「福島の教訓は、そこで暮らす人の安心と安全を優先すべきということだ」
原告を代表した意見陳述で、福島市から鳥栖市に、妻(30)と1歳の長女と避難してきた木村雄一さん(52)は声を震わせた。
昨年6月、長女の健康を最優先に考え、軌道に乗り始めた飲食店を廃業して避難した。「原発がなければ家族の人生はこうならなかった。危険な核で電気を作る必要がどこにあるのか」と訴えた。閉廷後の会見でも「絶対に再稼働は食い止めたい」と力を込めた。
原告の市民団体「玄海原発プルサーマル裁判の会」の石丸初美代表(60)も、「福島の犠牲を学ぶ答えは原発を止めることだけ」と決意を示した。4月中にも、定期検査の終了証を九電に交付しないよう経済産業相に求める行政訴訟を新たに起こす構えだ。
この日は、3号機のプルサーマル発電で使われているプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の使用差し止めを求めた訴訟の第6回口頭弁論もあった。九電側が示したデータに、原告は「抜けているデータがある」と反論した。
また、2、3号機の再稼働差し止めを九電に求めた仮処分申請の第4回審尋も開かれた。九電側は、原告側が求めていた緊急安全対策の具体的な内容について回答したという。
玄海原発を巡っては、「原発なくそう!九州玄海訴訟」(原告団長=長谷川照・前佐賀大学長)も、全4基の運転差し止めを求めて提訴し、原告数1万人(2次提訴までで計3074人)を目指している。(東郷隆、堀江昌史)
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