ソーラーパネルを並べた農地のイメージ図を手にする小掠さん=菰野町根の平で
|
 |
菰野町根の平の農業小掠三八さん(56)が、五千平方メートルに及ぶ農地の上にソーラーパネルを並べた太陽光発電を始める。経済産業省によると、全国的にも極めて珍しい取り組み。事業のために一億数千万円を借金した小掠さんは「原発を一基でも減らしたい」と力を込める。五日に着工し、七月の稼働を目指す。
東日本大震災で安全と思っていた原発の恐ろしさを知った。三人の孫がいる小掠さんは「原発に頼らない未来にしたい」と考え、四カ月がかりで考案した。県の経営革新計画として承認され、地元銀行から無担保で融資を受けることができた。家族から猛反対を受けたが、「気持ちがぶれることはなかった」と振り返る。
高さ二・五メートルの骨組みで農地の四方を囲み、骨組みの上に縦一メートル、横一・六メートルのパネル千百六十枚を並べる。一枚一枚のパネルに三十センチの隙間を作り、農地は半日陰になる。
県によると、農地の上にパネルを置くと、日照が減って農作物の生育を妨げる。本来なら農地法に基づく転用許可が必要だが、小掠さんが育てるユリ科の植物・タマリュウは半日陰が生育に適しており、特例として認められた。
発電見込み量は年間五十四万キロワット時で、県によると一般家庭百五十世帯分の年間消費電力に当たる。電力販売は、近く中部電力と協議する予定。
小掠さんは「この取り組みが他の農家にも広がり、原発から自然エネルギーに移行する契機になれば」と期待を込める。
この記事を印刷する