後書き


 HPでやってる以上、この教科書(?)も、何時かどっかで誰かが拾うかも?のメッセージ・イン・ア・ボトル。でもほんのほんののちょっとばかりは知名度もあるんみたいで。
 ご紹介下さる方、どこのどなたなのかは全く知りませんが、ありがとうございます。



 「政治の最大の目的は政治家から政治を守ることである」この命題は情けないけど、近代以降では、誰もが真だとしますよね。「科学の最大の目的は科学者から科学を守ることである」この命題も情けないけど、しかし現代では、誰もが真だとしなければ、なんですね。
 相対論出現以後のこの100年間は、数学者・物理学者・天文学者達には自浄(?)能力なんてものはありません、と云うことを完璧に実証したその100年でした。ですから彼らが自分達自身でこのアホな笑劇を終わらせるなんてことは、勿論、未来永劫出来やしません、のその経験的証明は既になされ済みです。となると、もう素粒子論と天文学には国家予算はビタ一文出すな、でこのアホ笑劇を、人類は終わりにしましょうよ、なんですが。・・・。
 そう、今や地球人類70億総白痴。ま、それが、巨大科学予算がなした人類の知への還元、科学者の叡智が人類に為す貢献。そしてそれが人類最高の知性と人類最大の知のロマン。です、と。・・・。
 「地球人類70億総白痴」だと言われても、だから仕方無いですよね、人類さん。
 “白痴じゃない地球人なんて3人しかいない。1人は私。もう1人はあなた。はて? 最後の1人は誰だろう?”と。
 二十世紀の三バカ大将はマルクス、フロイド、アインシュタイン。マルクスとフロイドはともかくとして、二十一世紀でも、一人アインシュタインだけはいまだにバカ大将として科学に君臨し続けていると云うことです。ま、それだけ、バカ軍団が跳梁跋扈していると云うことですが、科学には。
 現代は新生代第四紀白痴期。100年なんて地質年代では意味の無い一瞬の間。だから白痴期脱出にかかる時間は、100年どころか何千年何万年でも駄目。もう、あと何百万年もかからなくちゃ、白痴期脱出は無理なのかも? と。ふ〜〜〜っ、とただただため息が出るだけです、と。



 東京みたいな大都会の面白さは、例えば半径何キロメートルかの円を描けば、その円内に全部の種類の人間がいるってことですね。世界ランキングの金持ちもホームレスも、裁判官も警官も今強盗殺人をしたばかりの犯人も、スコブルつきの善人もカルビニストの高利貸も、二宮尊徳も小原庄助も、誰々も、何々も。とにかくみんなその半径何キロメートルの中にいる。です、と。
 上野公園の噴水池のあたりで、おじいさん(でしょうね)に連れられたまだ小学校に入らないくらいの女の子がコロコロと太った野良猫を相手にアメリカとっかん豆「ちゃんとポップコーンと言えっつーの!」のようなお菓子を食べさせようとしていたんですね。普通は猫が食べるようなものは持ち歩いていない私なんですが、つまみ用に持っていた色々入っている豆菓子があったので「そう言うのは猫は食べないよ」と女の子に言い、豆菓子の袋の中から煮干みたいな小魚と丸いエビせんべいを取り出して代わりに猫に差し出しました。でもちょっと匂いを嗅いだくらいでヤッパリこの猫、食べませんでしたね。
 ま、食べなきゃしょうがない、二人から歩いて離れてしかしまたちょっと一休み。池の手すりに腰掛けていると、別の、しかしこれもコロコロと太った猫(餌がこの公園は豊富なんでしょうか)が植え込みにいて草丈程しかない植え込みの木に掴まって背伸びをしているんですね。ちょうどラジオ体操みたいな感じで。
 可笑しな猫だ、と見ていると、先ほどのおじいさんと孫娘の二人連れが通りかかり、その猫を目に入れ「ほら、この猫見てごらん、面白いことをやってるよ」とおじいさんが言います。昔『ナメ猫』って云うのが流行りましたよね。あんなポーズで両前足を枝にかけて首を木でこすっているこの猫を見て「何やってるんだろうねえ」「鉄棒をやっているのよ」と二人は言い合います。で、私は「きっとかゆいんだよ。ノミかシラミがたかってるんじゃないかなあ」と実に合理的ではあっても全く面白くないリアリズムで答えます。おじいさんは私の解答に納得したようにうんうんと頷きますが、女の子の方はまったく納得しません。と言うより、多分ノミとかシラミとかと云うものが何かを知らないんでしょう。今時の子ですからね。
 で女の子は「さっきオニイサンがポテトチップスをあげた猫でしょう、しょっぱかったからのどかわいて、それでかいてるの、きっと」の解釈を言いました。「オニイサン」だなんて、なんてかわゆい女の子だろう、と私は年甲斐も無く喜びます。実際そう言われたからのエコ贔屓からではなく、この女の子は目鼻立ちのとても整った美幼女(?)です。きっと誰からも可愛がられているだけの女の子なんですね。「そうだね」なんて利発な子だろう、と納得して私はこの女の子の模範解答に「ウンウン」と同意します。しばらくして猫は木を離すと植え込みの中に消え「あの猫、面白かったねえ」と言いながら、二人も立ち去ります。でも、お嬢ちゃん。お嬢ちゃんが可愛いので誰もがお嬢ちゃんに優しいからって、知らないオニイサン(オニイサンですよ!オニイサン!)と無警戒でお話をしてはいけませんよ。ま、おじいちゃんと一緒だから危険はないけど。いつでも必ず安全だってことはないんですからね。
 噴水って噴き上げた水が霧状に落ちるので、陽を背にして見ると虹がかかるんですね。青い空、白い雲、木々の緑、人々の通りすぎる姿。後はそれを目に映るままに見て、ただぼんやりとしているだけの快楽です。
 後何百万年もかからなくちゃ、人類この期の白痴期脱出は無理なのかも? かな? でもやっぱりそうであっても、虹は見ていなくっちゃ。自分がここでの誰であっても、何であっても。