《 「遠方の銀河はわれわれから遠ざかっており、その後退速度は銀河までの距離に比例する」と云う観測事実をハッブルなにがしなる人が1929年に発見したんだそうです。さてしかし、天の川銀河(銀河系銀河)が宇宙の中心に位置している確率は無限大分の1でしょうから、この観測事実は他の沢山の銀河にいるそれぞれのハッブルAさんハッブルBさんハッブルCさん・・・達にも同じように観測されている筈です。となると、どこの誰にとっても『後退速度は銀河までの距離に比例する』と云うことが成立しているわけですから、「この観測事実は宇宙が一様的・等方的に膨張していると云う事を示している」との結論になります。 》
これが、有名な、いわゆる、ハッブルの法則です。
このハッブルの法則は勿論公式になっていて
v=H0・r
v:銀河の相対速度
r:銀河間の距離
H0:ハッブル定数(50〜100km・s-1・Mpc-1)
( 参考までに、1pc=3.26光年 )
です。
このハッブルの法則の説明では普通には膨らんで行く風船の絵が使われますが、もっと解り易く、伸びるゴムひもの絵で説明したものが [ bB-2 ] 図です。風船の絵では何かいまひとつ良く解からなかった人も、これでハッブルの観測事実は、即ち宇宙が膨張していることを発見したものなのだと云うことがお解かりになられると想います。(*注* 図では数値が極端に小さくなっていますが、単に計算を簡単にするためです。膨張している図形上にあるそれぞれの点の間のそれぞれの距離の比は常に一定だ(逆に言うと、膨張している図形では各点間の距離はその比が一定なので見かけ上の点の速度は、見ている点から遠くにある点程速くなる(同じ時間なら刷く距離が長くなる))と云う事を示す図なので、例示の数値はどんな数値でもかまわないわけです。それで、計算が簡単な数値にしました、と云う事です。) 要するに、任意の時間間隔で、膨張は、その図形的相似を維持していると云う事です。
ここで、この宇宙の絵での1秒後の速度が変わっていないことに「?」と思いませんか? 1秒後のそれぞれの速度は本当は微小増加分を加算しなければならないんじゃないか?(距離が幾分長くなっていますから)ですから。だから微分方程式を立てなきゃなんないんじゃないかい? です。でも、実は微小増加分は現れないんですね、距離が長くなっても。「えっ?」 これはしかし別にどうってことはないことです。宇宙の膨張の絶対速度は変わらないのだそうだからです。ですから、銀河の後退速度は、距離が長くなっても変化しません。宇宙の端にある銀河を想ってください。その銀河は中心にある銀河に対して常に同じ後退速度ですよね。その速度の不変の関係は、どの銀河どうしでも同じことです。 詰まり、膨張の絶対速度が変わらないなら、後退速度は距離の増大とは無関係で一定になります。従って当然に、H0(ハッブル定数)は時間の経過とともに小さくなります。
(ちなみに。この後退速度は、銀河の光を分光したら他の原子たちのそれはいざ知らず、カルシウム原子の吸収線は赤方にズレている、とゆーことによって測られたんだそーです。銀河空間には、なによりもで、何故かカルシウムだけはいっぱいあるんですねえ。まっ、銀河の骨は元気で丈夫、結構なことではありますが)
さてここで、注意して置かなければならない大事なことがあります。それは、膨張宇宙とかとゆーものは、物質間の距離が膨張しているのであって、物質間の空間が膨張しているのではない、と云うことです。これを比喩的に言いますと、中身が膨張しているのであって容器が膨張しているのではない、と云うことです。詰まり、膨張宇宙論は、距離宇宙の外部に空間宇宙がどうしても必要になってしまいます。このことを理解していないことが、色んなアホラシさを産み続けている、正にその「躓きの石」になっているんです。「あん?何んのこっちゃ?」 ハイ、とゆうわけで、空間論をやって置いた方がいいんですが、それは別項を立ててそこでやります(これも、何時のこと?ですが・・・。でもここの関連で、なら「点・線・面・立体と次元」の項と「非ユークリッド幾何空間」の項だけでも空間論は十分かも?なので、興味のある方はそちらをご参照下さい)。
さてと、です。
← まあ、相変わらずで、こーゆーことがノーベル賞です、で、そのニュース解説が・・・。(2006/10/11 毎日新聞 科学・いま&未来)の例によって例のごとくに・・・。
よーするに、貼り付けてある写真とゆーか、その宇宙誕生から30万年後の姿を、宇宙誕生から137億年後の今観測したってわけですけど、137億年後の今になって初めて突然に天の川銀河で観測されるようになった30万年後の姿なんですか〜? のそれだけなんですね、これも。
でもあれですよ、7000万年前にもティラノザウルスは136億2970万光年の遠くに、その写真と同じ、宇宙誕生から30万年後の姿のそれを見ていましたでしょう? 3億年前の三葉虫も134億光年の彼方にそれを見てましたよね? 10億年前の天の川銀河人も127億光年先に見てましたよね、それを? 勿論133億年前にも、天の川銀河から4億光年離れた所にある宇宙の果てだとして、その写真を、天の川銀河のローカル(?)な八百万の神様は念写(?)していたでしょう?。
かくして、「宇宙誕生から30万年後の瞬間の姿」だけは、何故か137億年間もずっと天の川銀河では観測され続けているんですよね?
んなわけで。 宇宙誕生から30万年後の瞬間の姿って、137億年ものなが〜い間、ずーっと続いている「瞬間」なんですか〜〜〜? です、と。
となると、もう宇宙が滅びない限り、その瞬間だけは、何兆年間だろうと何京年間だろうと、永久に切れ間無く、何時の宇宙の何処でも、必ず観測され続けます、と。「宇宙誕生から30万年後の瞬間だけは、永遠に続く瞬間なのである」、そりゃとっても詩的ですけど・・・。
「瞬間よ、とどまれ。お前は余りに美しい」、今から136億9970万年前に神様がゲーテのファウストのその台詞を言ったんでしょうかね? でも写真で見る限り、それ程の美しい瞬間だとは、とても思えないんですけどね。
この項、書くことが無いわけじゃないんですけど、ちょっとここまで手が回らないんで、のうちにトピック的なものは時効(?)になっちゃって、ですね。
しかしいくらなんでもこりゃないよ、あんまり過ぎるよ、で・・・
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宇宙エレベーターは建設方法が変わっている。高層ビルのように地上から組み上げるのではなく、宇宙空間に浮かぶ人工衛星から地上までケーブルを垂らすという。
赤道の上空約3万6000`を地球の自転と同じ速さで回る人工衛星は、止まって見えるため「静止衛星」と呼ばれ、カーナビや衛星通信などに使われている。この高度では、落ちようとする重力と、宇宙に飛び出そうとする遠心力が釣り合っている。
この衛星から地上へケーブルを垂らすと同時に、上にも同じ長さのケーブルを伸ばす。これに昇降カゴをつければ完成。衛星を中継地点とし、高度10万`の宇宙まで一気に人間を運ぶ。(以下略)
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これ↑は毎日新聞の2012年1月1日の新聞の別刷り特集記事の一面全部を埋めていた記事です。
別に報道時刻の1分1秒の早さを争うようなそれじゃないでしょうから、この記事は原稿の段階で同僚記者達の多数の目に触れているでしょうし、また当然にその部局の責任者の「一面全部を埋め尽くす記事としてふさわしいもの。実に我が新聞社の頭の程度を示せる記事」という了解と納得も得た上でのものの筈です。ですから、より一層『ひでえもんだよ、この科学ジャーナリズムの程度ってやつは・・・』で、呆れて開いた口が塞がらない、なだけです。
止まって見えるのは添付図の大型宇宙ステーションだけですよ。途中の展望台も上の月や火星に行く宇宙船の発着用ステーションもおもりも、更にはそれらをつないでいるケーブル自身も、静止軌道にあるわけじゃないですよ・・・。
にもかかわらず、なんでこんな図になるのかとこのジャーナリストたちは思ったのか?は、記事中の『落ちようとする重力と、宇宙に飛び出そうとする遠心力が釣り合っている』からですよ。この説明がそもそもでヒドイものなんですが、それは置いて置いて、要するに、ヘリコプターから降ろしている縄梯子と洗濯機の脱水とでこうなるよと、この理屈をOKにしているんですよね。
静止衛星からケーブルを垂らすと、まっすぐ地上に向かって垂れる。 ← ヒドイもんです・・・。
静止衛星から先端におもりのついたケーブルを上に放ると、洗濯機で脱水されている水と同じく、遠心力でまっすぐ上に飛んで行く。上と下の長さと重さが同じだから、遠心力と重力で釣り合って宇宙エレベーターは完成。 ← ヒドイなんてもんじゃないですよ。
ここまで来ると・・・、しかしこれが科学ジャーナリズムってやつなんだから、、情けなくて、、、もう、、、、涙が出て来る。。。。。
だけどこんなジャーナリズムが宇宙がどうの素粒子がこうのとドヤ顔の解説付きで、それらのなんだかんだを世紀の大ニュースだとして報道しているんですよねえ。。。。。