gyoのSF界、気候変動2/3
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地表を動いている気団に、1日につき1回転の回転運動をさせるのがコリオリの力です。ただし気団を動かす力はコリオリの力にはありません。気団を動かす力になるのは太陽熱です。

太陽の熱が照射し、他の場所よりも温度が高くなった場所は、上昇気流が発生します。上昇気流は、雲が覆っているよりも晴れている方が、植物が覆っている場所よりも乾燥した砂漠の方が、より強く発生します。この上昇気流が発生した場所の地表では、気圧が低くなります。このため、ここに向かって周りから気流が流れ込みます。ただし、この流れは地表の一点に向かっている流れです。これは気団が地表に対して動いているわけではありません。しかしこの上昇気流が、やがて、気団を地表に対して動かす力になるのです。

太陽に暖められた気団は、地表を離れ、次第に上空へと上昇していきます。この上昇した気団は、地球の中心からの距離が遠くなるため、地球の自転による回転速度よりも遅い動きになります。

   ・・←・・    左図は地球を緯線で切断した断面図です。
  ・     ・   Oは地球の中心です。
 ・  ・←・  ・  Aは地表です。
・  ・   ・  ・ Bは上昇した気団のある位置です
・ ・     ・ ・ すべての→は地表の自転速度を示しています。
↓ ↓  ・  ↑ ↑ 上昇した気団も地表の自転速度と同じ速度で
・ ・  O  ・ ・ 同じ方向へ進みます。
・  ・   A  ・ 上昇してBの位置に来た気団は、地表に対し
 ・  ・→・  B  て遅れます。
  ・     ・   遅れるのは、次の図を見ていただければ理解
   ・・→・・    していただけると思います。
−−−−−−−−−−−−
     ・  ↑ ↑
     O  A B
−−−−−−−−−−−−
        ↑ ↑
     ・  ・ ・
     O  A B
−−−−−−−−−−−−
       \  ↑
        ・ ・
     ・  ・ ・
     O  A B
−−−−−−−−−−−−
      ←  \ 
       ・  ・
        ・ ・
     ・  ・ ・
     O  A B
−−−−−−−−−−−−
        \
     ←・  ・
       ・  ・
        ・ ・
     ・  ・ ・
     O  A B
−−−−−−−−−−−−
       ←
        ・
    ←・・  ・
       ・  ・
        ・ ・
     ・  ・ ・
     O  A B
−−−−−−−−−−−−
      ←・
        ・
    ・・・  ・
   /   ・  ・
        ・ ・
     ・  ・ ・
     O  A B
−−−−−−−−−−−−
     ←・・
        ・
    ・・・  ・
   ・   ・  ・
  ↓     ・ ・
     ・  ・ ・
     O  A B
−−−−−−−−−−−−
    ←・・・    この時点で、A(地表)は半回転しています。
        ・   B(上昇気団)は1/4回転したところです
    ・・・  ・  この様に、BはAに対して遅れます。
   ・   ・  ・ 西から東へ回転しているA(地表)に対して、
  ・     ・ ・ B(上昇気団)は、遅れるのです。
  ↓  ・  ・ ・ これは、上昇気団は、地表に対して、東から
     O  A B 西へ移動していると、見ることもできます。
−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−−−−−−
     O  A B
     ・  ・ ・
−−−−−−−−−−−−
     O  A B
     ・  ・ ・
          ↓
−−−−−−−−−−−−
     O  A B
     ・  ・ ・
          ・
          ↓
−−−−−−−−−−−−
     O  A B この様にA(地表)を固定する説明図ならば
     ・  ・ ・ B(上昇気団)が地球の自転速度に対して、
          ・ 反対方向(東から西)へ動いていることが、
          ・ 明らかになります。
         /

上昇気団がこの様に移動できるのは、上空は空気が希薄であり、この上昇気団の動きを妨げる物がほとんどないからです。もしも、上昇した位置にも、濃い空気が存在したら、上昇気団の東から西への移動は妨げられてしまうでしょう。

また、この上昇気団は、地球の自転による遠心力を受けています。同時に上昇気団は地球の中心から引力を受けています。この2つの力の合力により、上昇気団には、高緯度から赤道方向へ移動させる力が与えられます。

      |北       左図は南北の地軸を含む平面で地球
    ・・・・・      を切断した断面図です。
   ・  |  ・     ○は上昇気団です。
  ・  ・・・  ○→K  Gは上昇した気団に働く地球の引力
 ・  ・ | ・/ \   で、地球の中心へ気団を引きます。
 ・ ・  | G・ ・S  Kは地球の自転により、上昇気団を
 ・ ・  ・  ・ ・   地軸から遠ざける力となる遠心力です。
S・ ・G O  A B   SはGとKの合力で、上昇気団を、
 \ /・ | ・  ・   赤道方向へ移動させる力になります。
K←○  ・・・  ・    この力は、北半球でも、南半球でも、
   ・  |  ・     上昇気団に対して働きます。
    ・・・・・
      |南

この様にして、上昇気団は、地表に対して東から西へ移動させられる力と、高緯度から赤道方向へ移動させられる2つの力を受けます。この2つの力により、上昇気団はやがて、赤道上に集まり、赤道上を東から西へ移動するようになります。これは、地表に砂漠が拡大し、燃料消費量が増大してきたため、上昇気流の量が増えたので、赤道を1周する連続した流れとなりました。

      北      左図は地球を赤道上空から見た図です。
    ・・・・・    上が北で下が南です。
   ・     ・   ○は上昇気団です。
  ・   ○ ○ ・  上昇気団はすべて、東から西へ移動し、
 ・  ○/ /   ・ 同時に赤道へと移動します。
 ・ /       ・
 ・←←←←・←←←←・ この動きは、時には地表の空気を引きず
 ・   \     ・ ります。この引きずられた空気の流れが
 ・    ○    ・ 観測できる場所があります。それは、ア
  ・ \     ・  フリカのサハラ砂漠の西海岸です。ここ
   ・ ○   ・   では砂を巻き上げた風が、南西方向に向
    ・・・・・    かって吹き出しています。
      南
             上昇気団は宇宙空間へ熱を放出しながら
徐々に高度を下げ、赤道上に集まり、海面付近を東から西へと移動す
る、大きな気団の流れを形成します。

赤道の海面付近を東から西へ流れている気団は、アメリカ大陸やアフリカ大陸、太平洋に浮かぶ島々などにより、その進路を北や南に変えられます。そして緯度45度あたりを、今度は西から東に向かって流れるようになります。この流れは、流れの先にあるヨーロッパ大陸や南北アメリカ、アフリカ大陸などにより、再び赤道へと戻り、それぞれの場所で循環する事になります。この循環路が形成されているため、気流は流れ続けられるのです。


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       **                * *         *
    * *                 *  *  北アメリカ  *
   ** *ヨーロッパ  →→→     * *   * →     *
→→→***→→→→→→→→   →→→→*→*→→→→*   →→→→* →→→
  ↓**  ↓ ↓     → アジア * /   \ * →   * /
  ↓*********インド**→ →* /     ↓*    * ↑
  ↓*/アフリカ*  *↑* /* * /       ↓* ***/
  / **↓  *   * ↑ ** ↑       /  ** ↑
←←←←←←*←*←←←←←←←←←*←←←赤道←←←←←←←←*←←←←←←←
     ↑* *↓       \ *     ↓   \  ***** ↓
     ↑ * ↓        ↑ ***  ↓    ↑ *南アメリカ↓
    ↑     ↓        \  **  ↓    \ *  *  \
   ↑       ↓        ↑*オーストラリア   ↑* *    ↓
  ↑         ↓       ↑ ***   ↓   ↑* *     \
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気候変動3/3へ続きます。