テレタイプの操作
データ作成
送信するデータをあらかじめ紙テープに記録作成します。
現在のワープロのように、モニター画面に文字表示して文章を考えながら何度も書き直すことはできません。また、コピーやカットアンドペーストなどの編集機能もありません。オペレーターが早く正確に文字入力ができるまではかなりのトレーニングが必要でした。
記憶用の紙テープをさん孔装置にセットしてキーボードに向かいます。送信用の文字をタイプします。(古い映画に出てくるタイプライターのような音がします。)
文字データは、さん孔テープに機械的なパンチ穴で記録されます。「カタカナ」はJISキーボードからパリティビットなし8ビットで記録。「ASCII」は7ビットでパリティビットが付けられ8ビットで記録されます。
【ミニ解説】
電電公社のテレックス符号は6ビットで記録します。(東京・中川氏より)

データ送信
文字データがタイプできたらキーボード上の「発信ボタン」を押し、送信相手のテレックス番号をダイヤルします。(オペレーターが手動で電話をかける。)回線がつながると、先方のテレタイプから会社名(登録名)が返信され、こちらのプリンター用紙に印字される。
これを確認したオペレーターは「こちらは」キーを押す。これで自分の名前、または会社名が相手のプリンタ用紙に印字される。プリンターを介して会話するわけです。(テレックス回線では、一般の電話のように音声での会話ができない。)
今日のファックスと違うところは、直接先方のオペレーターとタイプ用紙上の文字でオペレーターが会話することです。

送信開始
送信を開始するとき、オペレーターはデータ記録された紙テープをテープリーダーに読み込ませます。テープリーダ装置が紙テープを読み込み、全てのデータを送信します。途中で止めることもできました。


【ミニ情報】
テレックスの不便な点はオペレーターがテープ作成中(テレタイプ使用中)は、先方からのデータ受信ができません。
表示できる文字はカタカナ・アルファベット・数字(1バイトキャラクター)なので、受信(プリント)した人名・地名等がわかりづらい。
海外へのテレタイプ発信も国内と同様ですが、時差があることと、受信中の受信紙切れに注意しないと再度送信依頼することになります。
パソコンで、テキストデータを保存するフロッピーディスクと違い、紙テープ・受信紙も多量になると用紙の保管場所が必要になりました。また、テレタイプは重量級の機械なので、ノートパソコンのように持ち歩きはできませんが、その当時としては最先端の技術だと思いました。(オペレーター経験者の感想)


 
テープパンチ部とテープリーダー(手前


テレタイプ着信
テレックス回線では音声での会話ができません。テレタイプ内蔵のブザーで着信を確認します。このとき、紙テープ、タイプ用紙がセットされていれば、自動的に受信が始まります。
テレタイプ使用中の着信は、ブザー音でオペレーターが確認し受信準備をします。紙テープとタイプ用紙を確認したところで、受信準備OKのサインをキーボードから数回発信する。これで先方のオペレーターに知らせるわけです。
受信が始まるとかなり大きなタイプ音がします。同時に紙テープがさん孔装置から打ち出されます。この紙テープは小さな箱を用意してその中に入れます。箱を用意しないと床に紙テープがあふれます。
この紙テープは末端から巻き始め、丸い輪にして専用粘着テープで止めます。テープの余白に受信年月日やメモを書き込み保存箱に入れます。
通信を開始する前にはあらかじめ電話で先方と確認することも必要でした。
電源部(下)とリレー(上)
リレーの欠点はスイッチ動作が遅い。
接点からノイズがでる。利点はスイッチ端子が完全絶縁されているところ。


テレタイプからパソコンへ
1970年代に大型コンピュータが企業に導入されるようになると、テレタイプのさん孔テープを直接コンピュータに読み込ませて資料の作成ができるようになりました。
工場・営業所から本社へテレタイプ送信するときに、受信機側でさん孔テープも受信記録状態にしておきます。プリント用紙に印字と紙テープが同時に記録できます。その紙テープを大型コンピューターに読み込ませると総合的な資料が作成できるのです。
オペレーターが各企業で活躍し、テレタイプ学校も各地に多くありました。ある資料によると1960年代後半からテレタイプ競技全国大会が行われていましたが1980年代前半になるとテレタイプの需要は減少した。CRTターミナルや、FD付の漢字表示可能パソコンにその座を明け渡します。その後、テレタイプ学校はワープロ教室や、パソコン教室と名称を変更して現在も続いています。
現代は、パソコンの時代ですがテレックスのような通信機もあったことを知ってください。

電信と漢字で書くと古い時代の表現に聞こえます。離れた場所にデータを間違えなく送信する技術が発達し、今や生活にかかせないパソコン、携帯電話などで聞く言葉にTCP/IP(プロトコル)、パケットなどがあります。簡単に送受信できる便利な仕組みには古くからの研究と開発者の知恵が凝縮されています。


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