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学校生活と友人
裏では女装してネットアイドルなんてやってる俺だけど、実は高校生だったりする。
もちろんネットアイドルのことはばれていない。
もしばれたら退学するね、確実に。
まぁ前にも言ったとおり、平凡眼鏡の俺が超天使なルアちゃんだと分かる奴は絶対いない。
しかも俺は異常に影が薄い。これはラッキー。
だから俺はずっと、平凡で平和な学校生活を送れていた。
そう、過去形。もう平凡なんかじゃない。平和なんかじゃない。毎日が危険。
それは、厄介な友人ができてしまったから。

「しょーうーたーくんっ」
「……」
その厄介な友人(友人と言っていいのか分からないが)というのが、この小日向萩駕こひなたしゅうがだ。
イケメンでキラキラオーラ満載。人をひきつけることに長けている。
そんなコイツが何故か異常に俺にかまってくるようになった。それも昨日、突然。
『最上祥太くん、ちょっとお話しようよ』
なんて小日向は言って、俺は無視し続けたけどコイツはチャイムが鳴るまで喋り続けた。
それから休み時間になる度話しかけてくるものだから、俺は他の生徒から見られる見られる。視線集中しすぎて視線が痛いよ。
なんでこの平凡眼鏡がイケメンと一緒にいるのってみんなの瞳が語りかけてくるよ。
ああ怖い怖い。人の笑い声が全部俺のこと笑ってるように聞こえる。
まぁそれは俺の被害妄想だろうけど。
そして小日向の"お話"は今日も続くようだ。
「今日バスで祥太くん見たよー
話しかけるのは自重しておいたけどー…」
うんちゃらかんちゃら。なんたらかんたら。
もう無視というか話していることが頭に入ってこない。
そんな時、
「"ルア"って知ってる?」
小日向がそんなことを言うものだから、嫌でも頭が働いてしまった。
ルアって、ルアって、ルア、だよな?
柄にもなく焦る。冷や汗とかかいてんじゃね?ってかそんなこと考えてる場合じゃなくて。
「あ、祥太くんが初めて反応してくれたー」
あは、と俺の気なんて知らずに笑う小日向。
お前、それ、爆弾発言。
焦りでもうどうにかなりそう。背中の汗やばい。脇もやばい。
「ネットアイドル、っていうらしいんだけど、可愛いんだよー
同じ高校生とは思えないぐらい。」
「……!」
小日向の発言に、ふと落ち着きを取り戻した。
そうだ、こいつだって、ルアが男だと気付いていないバカな奴らの1人なんだ。
「やっぱ、そう思う?」
俺がそう小日向に聞くと、小日向はあからさまに嬉しそうな顔をして、うん!と答えた。
そんなに俺と話せるのが嬉しいかよ。ホモかお前は。
あ、やべ、にやける。おもしろ。
すると不意に小日向が顔を近づけて耳元で小声で話す。
「……ねぇ、祥太くんってさぁ…ルア、でしょ?」
と。
「…ッ!?」
驚きのあまり声も出ない。
「やっぱりそーなんだぁ?
大丈夫だよ、言いふらす気はぜーんぜん無いから!」
ただ、1つだけお願いがあるんだ。
そう小日向はささやいた。
「おねが、い?」
「俺文化祭でやりたいことあるんだよね。ルアちゃんを使った、ね。」
くすくすと小日向は笑う。
嫌な予感しかしないが、俺は頷くしかなかった。
もう、最悪…!



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