第2話:鏡の中の女の子
鏡にうつった姿をみて、勇樹はからだの中があつく感じた。それは今までないことだった。
勇樹は、鏡のなかの女の子はホントは男の子だというのがしんじられなかった。でも、勇樹はホントに男の子だということがバレたらどうしようという不安もあった。
その時だった。玄関のチャイムがなった。母親の由香里が、買い物から家にもどってきたのだった。勇樹は、女の子のカッコウしているから、妹の由紀だと疑わないだろうとしんじて、玄関のドアをあけた。
「ただいまァ。アラ、どうしたの」
「おかえりお母さん。べつに、なにもないわ」
「ホントになにもかわったことがないのね」
「ええ、なにもないわよ、お母さん。この買い物台所へもっていくわ」
そういって、勇樹は買い物を台所へもっていった。ホントは、由紀じゃないのにと、勇樹はウソがばれないかとヒヤヒヤした。
「この買い物テーブルの上におくねお母さん。じゃ、部屋へもどるわね」
「わかったわ。でもどうして、勇樹は由紀の服なんか着ているの」
「な、なにいってるのお母さん。わ、わたしは妹の由紀よ」
「ウソついたってダメ。あなた達ふたりの母親なんだから、ふたりの顔ぐらいカンタンにわかるし、由紀は私の手伝いをしないわ」
勇樹は、由紀といれかわったのがバレて、恥ずかしくて顔が赤くなった。
「でも、ホントに双子だから由紀とそっくりだわ。
ちょっと勇樹、すこしだけ目をとじて」
勇樹は、由香里のいうとおり目をとじた。由香里は勇樹の顔に化粧をしようとしていた。
「勇樹も化粧すれば、もともと女の子っぽい顔だからそこらの女の子よりも女の子っぽくなるわ」
「まだァ、顔がくすがったいよ」
「もうすぐおわるから、鏡をもってくるまで、それまでまだ目をとじてね。
はい。おわったわよ勇樹、ゆっくり目をあけるのよ」
勇樹はゆっくりと目をあけた。鏡をみて、勇樹はおどろいた。
「こ、これがボク」
鏡にうつっているのは、妹の由紀がうつっていた。
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