立地県の理解と協力を求め枝野経産相が訪れた福井県庁前には、県内外から約300人の原発反対派団体のメンバーが詰め掛けた。「枝野は帰れ」。罵声(ばせい)が飛び交い、一部メンバーは庁舎内に入ろうとして県警の機動隊員ともみ合いに。武者行列がお堀を出陣した2時間余り、まったく異質な空気で騒然となった。
反対派は14日午後2時ごろから、県庁周辺に集結し始めた。午後3時23分、枝野経産相を乗せた車は正面入り口を避け、裏手から県庁入り。肩透かしを食った反対派団体は庁舎正面の広場に移動し、「原発反対」「再稼働反対」「子どもを守れ」などとシュプレヒコールを上げた。
同40分ごろ、一部の反対派が庁舎内に入ろうと、規制線を越えて正面玄関に押しかけた。機動隊員らは横一列になり、体を張って進入を食い止めた。「中に入れろ」「人殺し出てこい」などと怒鳴り声も飛び交い、現場は一時緊迫した。
サヨナラ原発福井ネットワークの山崎隆敏代表(63)=越前市=ら3人が代表して県職員と話し合うことで事態は収拾。山崎代表らは、再稼働を認めないよう西川知事や枝野経産相に伝えてほしいと口頭で求めた。
枝野経産相の来庁に先立ち、反対派は県庁南側の交差点で横断幕や上り旗を掲げ、再稼働反対を訴えた。そこへ原発再稼働を容認する政治団体の街宣車1台が現れ一触即発の雰囲気に。双方の男性が激しく言い合いながら詰め寄り、警察官が止めに入る場面もあった。
午後6時ごろ、吉田伊三郎副議長を乗せた車が県庁駐車場から出てくると、走行中の車のフロントガラスにプラカードを置いたり、車のガラスや車体をたたくなどした。道路に寝ころび、車を止めようとした男性1人が警察官に抱えられ移動させられた。