今年2月16日に閉幕したニューヨーク・ファッション・ウィーク2012年秋冬コレクションで、最大の課題は「若すぎるモデル」だった。米国ファッション界関係者の団体である全米ファッションデザイナー委員会は、ファッションウィークを前に「16歳以下のモデルをステージに上げないよう審査を強化する」と発表した。細くてきゃしゃなモデルに人気が集まっているため、未成年のモデルを使うデザイナーは少なくないが、米国のファッション界では「モデルは少なくとも16歳以上でなければならない」と自ら線引きをした格好だ。
表向きは華やかに見えるモデルの世界だが、ステージ裏の私生活は厳しく、疲弊している。世界各地からニューヨークに集まるモデル希望者たちは、理想の体形を維持しなければならないというプレッシャーから、拒食症になりやすい。狭いワンルームマンションに5-6人で暮らし、小遣い稼ぎにクラブの「サクラ」として動員されることもよくある。米国のファッション業界は、このように厳しいモデルの世界に16歳にもならない若者が足を踏み入れるのは危険だと判断し、年齢制限を設けた。それでも、どうしてもステージに立ちたいと夢見るモデル希望者たちは年齢をごまかして応募するため、デザイナーたちは身分証明書の確認手続きを大幅に強化している。
最近、米国の人気番組に出演した韓国のガールズグループ、少女時代が、朝のトーク番組『ライブ! ウィズ・リージス・アンド・ケリー』(ABC)のインタビューで答えた内容に驚いた。司会者が「オーディションはどのように行われるの?」と聞くと、メンバーの1人が流ちょうな英語で「私たちが(レッスン生生活を)始めたとき、一番年下の子は10歳で、一番年上の子でも15歳だった」と答えたのだ。大手芸能プロダクションのアイドル育成システムに慣れている韓国人にはそれほど目新しい話ではない。だが米国人たちは、小学生のころから金をほとんどもらわずに、将来も保障されていないレッスン生生活を送っていたと淡々と話す彼女たちの姿に違和感を感じたことだろう。
日本や中国でブレークしているK-POPが、ポップスの本場・米国でも注目されていることは歓迎すべき現象だ。しかし、最近の韓流ブームを取り上げる外国の記事に、韓国の「工場型歌手生産システム」に対する指摘が増えていることも注目に値する。昨年ニューヨークで、少女時代や東方神起が出演する「SM TOWN」公演が開催されたが、米紙ニューヨーク・タイムズの記事は、韓国の芸能プロダクションを工場に例え「さまざまな配合の10代アイドルを着実に生産する専門製造所」と表現した。西側諸国で巻き起こっているK-POPブームを取り上げた英紙フィナンシャル・タイムズは「一部歌手が奴隷契約に縛られている韓流アイドルの暗部」を指摘している。
大手芸能プロダクションの徹底した管理システムと、計画的なマーケティングにより、K-POPは一部の熱狂的なファンにとどまらず、急速にファン層を広げている。欧米でK-POPなどのカルチャーが主流に近づく可能性が高まるにつれ、競合する業界やメディアのけん制も厳しくなるだろう。新人グループBlock Bがタイの大洪水について軽率な発言をしたことで、瞬く間に反韓感情が広まったことを見ても分かるとおり、韓流ブームはいとも簡単に崩れる可能性がある。効率性だけに焦点を合わせて作られた現在のアイドル製造システムの欠点を補い、「世界的スター」を生むにふさわしい合理的かつ健全なスター育成システムを確立するため、韓国エンターテインメント業界は知恵を絞るべき時期に来ている。