太陽光に当たるとポカポカ温かいですね。つまり光はエネルギーを伝える事が分かります。
このエネルギーを運ぶ光の正体は何かということについて古来より粒子説と波動説の2つがありました。
現在では粒子と波動の両方の性質を合わせ持つ光量子というものであるとされています(光の量子説)。
光の性質を挙げると、真空中を伝わる。直進する。反射する。屈折する。回折する。干渉する。...といった性質があります。 → 波動の性質
もし波動説の立場をとるならばその媒体の存在が必要です。この光の波動を伝える媒体が宇宙に存在するとしてその仮想媒体をエーテルと呼びます。
またその速さについては直接の測定によって秒速約30万kmであることが分かっています。
話が変わって、最初別々にスタートした電気や磁気に関する研究は、やがて両者には密接な関係があることが分かりました。
そして電気的な振動が電気と磁気の波となって空間を伝わっていく電磁波の存在が予言されました。
現在私達の身の回りで飛び交っている電波です。さて、電磁波の方程式から、電磁波の伝搬速度cは
物質の誘電率εと透磁率μからc=1/root(ε×μ)で求まります。これを実際に計算すると、
真空中の電磁波の速さは光の速さと同じ秒速約30万kmになります。
このことから光の正体は電磁波だとする電磁波説も唱えられています。
さてここからが重要ですが、速度とは観測者によって違ってくるもので、となれば秒速30万kmとは何に対する速さなのかということになります。
そこで行われたのがマイケルソン・モーレの実験です。
まず宇宙の絶対空間つまりエーテルに対する光速がcだとします。そして地球もこの絶対空間を速度vで移動しているとします。
すると測定装置の向きを地球の進行方向と同じ向きにしたり反対向きにしたりすることによってc−vとc+vの差が出なければなりません。
ところが実験結果ではその差が現れなかったということなのです。これは地球がエーテルに対して静止していることを意味します。
もちろんそんなハズはありません。
自然界の現象を説明する場合、物体に力が作用し、それによって物体の状態に変化が引き起こされるのだと考える力学的な考え方があるわけです。
これはニュートン力学では「物体に力が作用しない限り静止している物体は静止し続け、運動している物体は一定の速さで直線上を運動し続ける。」とまとめられています。
これを慣性の法則と呼びます。
つまり、地上で、手に持った空き缶は手を離せば真下に落ちるし、落ちた空き缶は何もしないとそのまま静止状態です。
ところでこの空き缶の例は経験によると一定の速度で走っている乗り物の中でも同じことが言えます。一定速度で移動する船や電車や飛行機の中で、
私達は地上と同じように止まっていられるしキャッチボールをしようと思えば出来るわけで、
力学の法則(慣性の法則)が地上の場合と同等に成り立っていると考えられます。この地上に静止の立場や等速度運動している乗り物の立場を慣性系と呼びます。
なお、地球は自転してるし、太陽の回りも回っているし、地上(大地)というのも決して絶対的な静止状態というものではありません。
慣性系同士の間では、例えば地上に対して右方向へ速度Vで移動の乗り物を想定したとき、
地上に設定した座標xyと、乗り物に設定した座標x'y'との間には、時刻0に両者の座標の原点が一致しているものとして、
x'=x−Vt
y'=y
t'=t
の関係があります。このxyからx'y'に乗り換える場合に成り立つ上の関係をガリレイ変換と呼びます。 →ガリレイ変換と速度
下敷きを擦ると髪の毛やホコリが吸い寄せられたり、金属に触れるとビリっと感じたり、とこれらは静電気の仕業です。
つまり電気というものが存在します。
一方、磁気は、方位磁石が常に南北方向を指し示したり、磁石が釘など鉄でできた物体を吸い付けることからその存在が分かります。
この電気と磁気の両者には密接な関係があることは
電線を円筒型にぐるぐる巻いたコイルに、棒磁石を近づけるとコイルに電圧が発生して電流が流れる現象から分かります。
これを電磁誘導の法則と言い、発電機の原理です。
ところで棒磁石の方を固定してコイルを棒磁石に近づけても、やはり同じ電圧がコイルに発生して電流が流れます。
両者の違いはコイルの方が動くか、棒磁石の方が動くかの違いです。
電気と磁気の統一理論であるマクスウェルの電磁理論では、
前者は磁石の移動によって起こる磁界の変化が、空間に電界を発生し、その電界によってコイル中に電圧が現れるのだと説明されます。
一方、後者は磁石が固定ですから空間に磁界の変化はありません。
磁界の中をコイルが運動するのでコイル中の電子が磁界から力を受けて電圧となって現れるのだと説明されます。
波動とはどのようなものかおさらいします。
音は空気を媒質とし、水面の波は水を媒質とし
ているように、波はそれを伝える媒質を伝搬し
ます。一方粒子は媒質を必要とせず、空間を飛
んで来ます。波動や粒子には反射や屈折の現象
が認められます。波が物体の後ろに回り込む回折
や、2つの波が強め合ったり弱め合ったりする干渉は
波動特有の現象で、粒子では起こりません。以下に波動の速度についてです。
●波動の伝搬速度
まず媒質に対して静止した波源Pと観測者Aさんを考えます。このときAさんが観測するPから出る波の速度をcとします。(下左図)
●観測者が動くとき
今度は媒質に対してAさんが左方向に速度Vで移動しながら同じ波を観測するとします。この場合 Aさんにとって媒質は速度Vで右方向に進むので、波の速度はc+Vとなります。当然波源Pも右へ速度Vで動きます。(真ん中の図)
●波源が動くき
次に媒質に対して波源Pが速度vで右方向へ動くときは、媒質に対して静止しているAさんの観測する波の速度はcのままです。(右図)
x'y'系のx'軸上を速度v'で運動する点Pがあり、 さらにx'y'系は速度Vでxy系のx軸上を運動しているとするとき、 速度の変換については、ガリレイ変換の式から
△x' △x−V△t
v’= ---- = ------------- = △x/△t−V
△t' △t
となります。△x/△tはxy系から見た点Pの速度で、
△x/△t = v'+V
のように簡単な加算の式で得られることが分かります。