2010.11.25日 起案
                                                     2011.07.07日 一部改廃 

                               論 文


                            時間周期説

             
時間の本(もと)は周期である。この周期を人類は長い歴史のなかで時間と定義した。
                   
従って、時間そのものはこの世に存在しない。


                             
            Written by Masatoshi Mahara

 物体は空間に対して運動している。
この運動を記述する力学的基本単位(以下元)を空間(距離)X 、物体(質量)M、速度V、加速度 A とすると
その元は[XMVA]である。
この元による運動量(P)、運動エネルギー(K)及び力(F)の組立単位(以下次元)は次式で与えられる。

     
             P=MV       ・・・・(1)
                  K=(1/2)MV2   ・・・・(2)
                  F=MA       ・・・・(3)
 

従って、物体の速度、加速度を元にすると、
時間という概念は不要で、且つ宇宙の実態に則した表現が可能である。
即ち、宇宙空間に存在するのは物体の運動であって、時間ではない。

一方、地球の自転、公転、あるいは脈拍、振動、日時計等の運動から、略々一定量の繰返し運動がいたる所で観測される。
この観測される量は一般に周期Tと呼ばれ、その次元はT=[XV -1]で与えられる。従って周期も又
その次元が示すように時間という概念とは無縁である。

                     TX/V   ・・・・(4)

(4)式の周期Tは、空間に対する物体の速度(運動)のみによって現れる量であり、人が純粋な自然の法則から学んだ貴重な知識である。

この周期T”万人共通”の量とするため、人は自己の脈拍(0)及びその数(n′)等で置き換えようとしたであろう。
                    T=n0     ・・・・(5)

更に、長い歴史の中で物理的所作を加え、限りなく一定の量を持つ周期0を得た。

かくして、人はこの0を用いて周期Tを定めることが可能になり、逆に0を用いて速度が定義出来ることを見出した。
   ∴ (4)(5) 式から
                  (X)/ 0V   ・・・・(6)

即ち、”万人共通”の速度を決定するためには、”万人共通”の一定の周期が必要なのである。
勿論、空間(距離)X”万人共通”の距離である。

後述する自然現象を考慮して、人はこの一定量の周期0を”万人共通”の
時間0と定義し、その元を時間Tとした。従って時間の本は周期である。
この際、元[XMVA]からVAを削除し時間の元Tを組み込み元[XMT]とした。よって速度の次元は[XT -1]である。 
                   X/T =V    ・・・・(7)

                                        
この”万人共通”の時間0は、自然の変化を”万人共通”の”物の流れる速度”或いは”物の状態が変化する速度”として捉えることを可能にした便利且つ有効な手段である。
(1)(2)から人、物は運動量・エネルギーを有するから、更に周期0からn(n>nへと繰返しカウントすることが出来る。
その結果、前記(5)式の周期Tを超越した0がえられる。
                    0    ・・・・(8)

同様に、時間周期説から(8)式の周期0を時間t0とすれば次式を得る。
                      n0=t    ・・・・(9)

tは今日時刻と呼ばれる量であり、
(8)式のは(9)式のtに対比して周期刻(略して周刻)と呼ぶことにする。
従って00 を人為的にカウントし続ければ単調増加する量であり、その理由は前述した。

自然現象、特に生物を例にとると、生体固有の速度で”非可逆的”に状態を変化し、或いは輪廻しているように観測される。
この生体の変化とは、空間に対する生体の位置の変化、即ち速度によるものである。

このような一方的非可逆的変化から、人は”現在(状態0)”が”現在(状態0)”変化したとき、時刻的(一般に時間と云う)に未来に向い、
同時に、”現在(状態0)”は”過去(状態0)”のものになると解釈し、一種時間的な流れとして感じとるのである。
このことから、(6)式の周期0時間0と定義し且つ、(8)式のを(9)式の時刻tと解釈する理由は容易に理解出来る。

人、物の運動、状態の変化は、常に”現在”の状態である。
しかし、自然現象に現れる様々な一方的な非可逆的変化から、人の生理的認識能力が(8)式の周期的な流れを(9)式の時間的な流れと解釈(錯覚)しているのである。
従って、過去から未来に流れるような時刻は存在しない。

補足:図
1で上記本論を補足する。

図1で、横軸を時刻軸(t)、縦軸を周刻軸()とする。
時刻軸(t)では、現在0がt方向に状態を変化しながら時刻的に未来に向かって移動する。現在0が0′まで移動したとき、0の状態は時刻的に過去のものとなる。
周刻軸()では、現在0が方向に状態を変化しながら周期的に以後に向かって移動する。
現在0が0″まで移動したとき、0の状態は周刻的に
以前のものとなる。
この場合、 時刻軸(t)からみるとt方向への時刻的な移動ではなく、空間に実在する只現在の状態に於ける方向への周刻の移動である。

             

記号

X :空間(距離)       T :周期
M :物体(質量)       T :時間
V :速度            0 :単位周期
A :加速度          0 :単位時間 
P :運動量            :周期刻(略称周刻)
K :運動エネルギー     t :時刻
F :力

                                                            以上