2007.07.07 記
2007.10.10 一部改訂
論 文
新相対性理論
The theory of new relativity
絶対相対性理論
T.はじめに
ガリレオの”相対性原理”が正しいとしても、その基である”運動の相対性”には矛盾が在る1)。
新相対性理論はこの矛盾を回避する為、速度を絶対静止系基準としたガリレー変換の適用である。
この結果、ガリレー変換座標上では、時間(t)、空間(x)、質量(m)、力(F)、速度ベクトル、相対速度ベクトル共、絶対静止系基準の絶対量である。
一方、この絶対相対速度υは基準系に関係無く、υ1(=0)を基準に求めた相対速度に等しい。
注1);略
U.ガリレー変換
2-1. 図1で、速度ベクトル(υ1<υ2)、相対速度ベクトル(υ)を、絶対静止系を基準に描かれる絶対量とすることで、ガリレー変換が正確に相対性原理を満たす。
2-2. ガリレー変換は、一般に図2に示すように、二つの座標系0、0′が速度υ(ベクトル)で運動している状態を想定している。その理由は、ニュートン力学を説明するには十分だからである。しかしながら、観測者は座標系を変えられるから、逆変換が必要である。質点を光子とすると、
x′=x−υt
・・・・(1)
から、0系の観測者が、光子の速度をdx/dt=c と観測したとすると、0′系の観測者は、
dx′/dt=(dx/dt)−υ=(c−υ) ・・・・(2)
と観測する。
逆変換して(図3)、
x=x′+υt
・・・・(3)
から、0′系の観測者が、光子の速度をdx′/dt=(c−υ)2)と観測し、0系の観測者は、
dx/dt=(dx′/dt)+υ=c ・・・・(4)
と観測する。
物体の観測は、物体の発する光によるから、上記光子の発生源を物体に置換出来る。
観測物体を”物”と見なせば、単なる速度の合成則であるが、光(光子)の場合は相対光速度で”物を見る”概念になる。
注2);ガリレー変換の設定条件(dx/dt=c)を変えて、逆変換で(dx′/dt=c)とすると、dx/dt=(c+υ)となる。
V.マクスウェル方程式のガリレー変換
電磁波(光)をガリレー変換するにあたり、電磁波の発生源(原因系)とマクスウェル方程式(結果系)に区別する。
3-1.電磁波の発生源(原因系)
マクスウェルの電磁方程式から電磁波(光)は発生しない。マクスウェル方程式の根源は、磁石とコイル間の力(F)による相対速度(υ)叉は、相対加速度(α)であり、ガリレー変換を満足する。電磁方程式は単に結果を電磁波(波動)として表したものである。
3-2.マクスウェルの電磁方程式(結果系)
電磁方程式の(結果系)を電磁波(光=光子)を粒子としてガリレー変換座標に載せる。
図2で、K′系がK系に対し、相対速度υで運動 しているとすると、前記から、ガリレー変換は
(1)から、 x′=x−υt 、 t=t′
dx′/dt′=(dx/dt)−υ
質点を光子(質量:m)として、 dx/dt=c(光速度)とすると 、dx′/dt=c′(相対光速度)
∴ c′=c−υ
・・・・(5)
(3)から、 x=x′+υt′
dx′/dt′=cとすると、 dx/dt=(dx′/dt′)+υ=c+υ
∴ c′=c+υ
・・・・(6)
(5)(6)はガリレー変換の速度の合成則を満足し、光速度は相対光速度 c′=c±υである。
次に、ニュートンの運動の第2法則から、
K系では md2x/dt2=F
(1)及び t=t′から d2x/dt2=d2x′/dt′2
力と質量は F=F′、 m=m′
∴ K′系 は m′d2x′/dt′2=F′
この事から、光の粒子性としての光電効果、コンプトン効果、光圧、光子の加、減速等が、如何なる慣性系でも成立する事が保証される。
W.光速度
光速度を光子、及び波動として求める。
4-1.光を光子とする
図4で、光源に対する静止系絶対時空間座標を(x、t)、運動系絶対時空間座標を(x′、t′)とし、x軸上に点A、B(同観測者)を配置する。別に観測者(S)は相対速度υで+x軸方向に運動しているとする。(S)が時間t1でA点を通過したとき、同時にx2が光源0で発光し、共に時間t2でB点に達したとすると、x1=ct1 、x2=ct2 、x2=x1+υt2 、これらを整理して
x1=ct1 =(c−υ)t2=(c−υ)x2/c ・・・・(7)
x2=cx1/(c−υ)
・・・・(8)
t2=ct1/(c−υ)
・・・・(9)
x1=ct1 、x2=ct2 、(7)から、
静止系の光速度 ; x/t=x1/t1=x2/t2=(静止系座標を進んだ光の距離/伝播に要した時間)=c 。
運動系座標(x′、t′)の光速度は、時間t2で光が進む距離x1′はx1に等しいから、
運動系の光速度 ; x′/t′=x1/t2=(運動系座標を進んだ光の距離/伝播に要した時間)=(c−υ)。
上記光速度は、ガリレイ変換(1)式から、dx/dt=(c) 及び dx′/dt′=(c−υ)と証明される。
一方、(S)が予め、点Aで静止して観測した(x1、t1)を、運動系では((8)、(9))と観測し、”見掛けの光速度”c(一定)となる。〔下記4−2.参照〕
相対光速度をc′=(c−υ)とすると、c/(c−υ)=c/c′=M
∴ (8)は、 x2=(c/c′)x1=Mx1 ・・・・(8)′
(9)は、 t2=(c/c′)t1=Mt1 ・・・・(9)′
(8)′(9)′式を”MARYANの座標変換”、(c/c′)を”MARYANの座標変換係数(M)”と呼ぶ事にする
4-2.光を波動とする
図5で、光源の発する光の波長、周期をλ、Tとする。光源に対して静止している観測者A、Bはそれぞれ(λ/T)=cと観測する。一方、1サイクル分の波長λの先端がA点にきたとき、観測者(S)がA点から相対速度υで波長λと共にB点に向かい、時間T′で観測者(S)と波長λの後端がB点で一致したとする。0Bの波長、周期をそれぞれをλ′、T′とすると、
λ=cT、λ′=cT′、λ′=λ+υT′から、
λ=cT=(c−υ)T′=(c−υ)λ′/c ・・・・(10)
λ′=cλ/(c−υ)
・・・・(11)
T′=cT/(c−υ) ・・・・(12)
(10)から、
静止系の光速度;λ/T=(静止系座標を進んだ光の距離/伝播に要した時間)=c 。
運動系の光速度;λ/T′=(運動系座標を進んだ光の距離/伝播に要した時間)=(c−υ)。
(11)(12)から、 λ/T=λ′/T′=c
即ち、波長、周期を運動系で個々に観測すると、静止系の(λ、T)が同じ割合{c/(c−υ)}で変化する為、運動系では(λ′、T′)と観測され、”見掛けの光速度”c(一定)となる。
(9)(12)式から、相対光速度によるマクロ的時間の遅れ[t2/t1=c/(c−υ)]は、光波のミクロ的周期の遅れ[T′/T=c/(c−υ)]に等しい。
X.相対光速度と情報伝達の遅れ
5-1.情報伝達の遅れ
図4、及び(8)(9)式から、観測者(S)は0′で静止している観測者A(x1、t1)よりも、相対速度υで運動すると(x2、t2)と、時間、空間共長く観測される。〔以下、観測者が相対速度υで光源から遠のくとして記述する。光源に近づくときはυの符号、結果は逆になる〕
(9)式の物理的解釈は、観測者(S)が相対速度υで運動すると、距離がx1からx2と長くなる為、光が光源0から観測者(S=B点)に達する時間が、静止している観測者Aより多く要すると言う意味で、時間そのものが、短縮したり遅れたりする概念ではない。この現象を”光源(=物体)からの光による情報伝達時間の遅れ”と表現する。光源(≡物体)に対する相対速度υ、従って、光に対する相対光速度(c-υ)により、時間、空間が長く観測される。
〔相対論では(c−υ)=cとして、辻褄合わせに相手方(相対的には運動系)の時間、空間を ローレンツ変換した〕
(8)(9)で、観測者の相対速度(υ)と時間(t2/t1)、空間(x2/x1)の変化(率)を図6に示す。観測者が光源に近づくときは、静止しているときと情報伝達時間に大差無いが、遠のくときは情報伝達時間の遅れが大きくなる。
5-2..実質上の光源(=物体)からの情報伝達時間の遅れ
図4から、光源に対して静止している観測者Aに対する情報伝達時間はt1、相対速度υで運動している観測者(S)はt2より、(9)式から、観測者A、(S)間の実質上の情報伝達時間の遅れ(t″)は(図7)、
t″=t2−t1={ct1/(c−υ)}−t1=υt1/(c−υ) ・・・・(13)
図6同様、観測者が光源(物体)に近づくときは、静止しているときと情報伝達時間に大差無いが、遠のくときは情報伝達時間の遅れが大きくなる。
Y.波動としてのマクスウェル方程式とガリレー変換
マクスウェルの電磁方程式によれば、真空中の光速度は光源の運動に関係なく、c=1/√(ε0μ0)(一定)である。然るに、何に対して一定なのかは明記されていない。従って、ここで言う光速度cは光の速さ(スカラー)である。新相対性理論では、等速直線運動では光速度cは光源基準で、座標系(観測者)に対しては相対光速度(c-υ)、即ち、光速度可変である[相対論では座標系(観測者)に対して光速度c(一定)で(光速度不変の原理)とした]。光速度が、運動座標系(観測者)に対して相対光速度(c-υ)としても、これを観測すると見掛けの光速がc(スカラー)となり、マクスウェルの理論に矛盾しない。従って、電磁方程式にローレンツ変換の必要がなく、ガリレイ変換で説明できる。
Z. 結 論
1.相対速度は絶対静止系を基準とした、絶対相対速度である。
2.マクスウェルの電磁方程式にローレンツ変換の必要はなく、ガリレイ変換で説明できる。
3.時間(t)、空間(x)は絶対量であるが、相対光速度の変化により相手側の大きさが変化して観測される。
参考資料
1) 相対論的なローレンツ因子[γ=1/√(1−β2)]の導出方法
相対論的コジツケ論法で(8)(9)式からγを求めてみる。相対光速度をc-υ、c+υとして、(±υ)の相乗平均x^、t^を求める。(8)式から
(c−υ)でx′、 x′=cx1/(c−υ) x′/x1=c/(c−υ)
(c+υ)でx″、 x″=cx1/(c+υ) x″/x1=c/(c+υ)
x^=√〔(x′/x1)(x″/x1)〕=√〔{c/(c−υ)}{c/(c+υ)}〕=1/√(1−β2)=γ(β=υ/c)
∴ x^=γ
・・・・(a)
同様に(9)式から t^=γ
・・・・(b)
ローレンツ因子[γ]は、本来(8)(9)式(図5)のものが、相乗平均した為、(a)(b)式(図7)になり、これをローレンツ変換係数6)としたものである。従って、観測者が光源に近づいても、遠のいても物理現象は変わらないという矛盾が生じる。ローレンツ因子[γ]は、ガリレー変換とは無関係で、電場に於ける電子の加速実験式とみるべきである。
2)図4で、 (x2−x1)/(t2−t1)={{cx1/(c−υ)}−x1}/{{ct1/(c−υ)}−t1}=υx1/υt1=x1/t1=c = x2/t2
以上