【論  文】
                                                   2001.10.10    作成
                            
光量子論のー考察           2007.02.01   一部補足説明
                                                  2007.02.11   光子モデル追加
                                                  2010.09.09    6.の項追加
                                                  2011.11.25   6・2 追加
                                                

                         
[光の粒子性と干渉回折概論]
                     

                            Written by Masatoshi Mihara

1.序 文

  光は波の性質である波長、周期、振動数を有し、干渉や回折など波特有の性質を示す一方で、光電効果やコンプトン効果、或いは写真フイルムの感光、レーザー光線による鋼板の溶断等、粒子としなければ理解し難い特性も有している。
 光の波動説では、光の強さ(明るさ)は波の振幅(振幅の二乗に比例)によるもので、二つの波が重なるとき、同じ方向の振幅は強め合い異なる場合は弱め合って、干渉や回折などの現象が生じると説明している。しかし、振幅の実測値を示す資料は、未だかって存在した例がない。
 光の粒子説では、光量子仮説が示すように、振動数νの光は粒子的性質を持ち、1個の粒子(光子)はhνのエネルギーの塊(光量子)であるとしている。
 この為、光の波動説では粒子性を、粒子説では波動性をそれぞれ説明するのに四苦八苦している。
波動力学、確率論、不確定性原理等で説明するが、”シュレーディンガーの猫”が登場するに及んではもはや正当な物理学とは云い難い。
本論文は
、光は慣性の法則に従う1)から、光を光量子と云う曖昧な定義ではなく、物質(粒子)として仮説を設け、光のもつ二面性(波動性粒子性が必ずしも矛盾しないことを論理的に記述するものである。



2.光の仮説

  @ 光は正、負等量の電気量を持つ荷電粒子からなる
  
A 光子は自転運動量(S)と自転角運動エネルギー(Es)を持つ
  
B 光の明るさは光子のもつ自転角運動エネルギー(Es)によ
 
 
3.仮説の論理性

 本論文の要旨は、光は正、負等量の電気量を持つ荷電粒子(以下光子)からなり、自転(以下スピン)角運動量(S)、運動量(P)及びスピン角運動エネルー(Es)運動エネル(Ek)を持ち、スピンの方向は正、逆交互で光源から飛翔すると主張するものである。
図1で、導体を通して電流が流れるとその抵抗により発熱体(光源)の電子が振動する。この振動電子によって励起された光子が振動方向に応じて正、逆交互にスピンしながら発熱体から飛び出す。光子は正、負の電荷で、光子同士は磁場で保持される(付図4)


                              

                      図 1 本論文による光子の飛翔モデル

4.光子の粒子性と波動性

4・1 光子の粒子性
 図2に、光子の粒子性と運動状態を示す。
 光子は、粒子として矢印(曲線と直線)で示すスピン角運動量(S)と運動量(P)及び円形で示す[スピン角運動エネルー(Es)運動エネル(Ek)]を持ち、スピンの方向は正、逆交互で光源から飛翔する

                         

                       図2 光子の粒子性と運動モデル

4・2 光子の波動性

 仮説ABから、光の明るさは光子のスピン角運動量(S)のスピン角運動エネルギー(Es)が担う
 図3に、スピン角運動量(矢印)とスピン角運動エネルギー(円形)を示す。
 連続した二つの光子のスピン角運動量が逆であることを考慮して、スピン角運動エネルギーを正(+s)、逆(|−s|)で表す。(|−s|)は正のエネルギーを意味する)
 X軸上を進む正逆1対のスピン角運動エネルギー(Es)の大きさ、距離、時間及び時間の逆数は、それぞれ光の振幅(A)、波長(λ)、周期(T)、振動数(ν=1/)に相当する。
 光子を円形とすれば、振幅Aは波長λの1/4である。

                
            
                図3 スピン角運動量とスピン角運動エネルギーの運動モデル

 図4で、図3を参考にして、X軸上の任意の定点で光子の移動を時系列的に見るとX方向に運動するスピン角運動エネルギー(スカラー)は周期的[正(+Es)、逆(|−s|)に変化するものの、いずれも正(+)側で波動性は示さないが、スピン角運動量(ベクトル)は正逆交互の変化(+ -に変化)に伴って波動性を示す
 即ち、光は粒子でありながら、スピン角運動量(ベクトル)の周期的な変化として光の波動的要因を導入することが出来る。

                           
     
          
               図4 光子の波動モデル

4・3 光の干渉、回折

 光の干渉は、光子のスピン角運動量(S)の干渉に伴うスピン角運動エネルー(Es)の変化(干渉縞)である
 図5で、C・C1方向の光はA1で同じ方向のスピン運動量が重ってエネルギーを強め、C・C2方向の光はA2では異なる方向のスピンが重なりエネルギーを弱め合って干渉現象が生じる。
 弱い光の干渉では、スクリーン上に像を作る最低の強さのエネルギーを発生させるスピン角運動量Soの光子と、Soよりも小さいS(電磁波)なるスピン角運動量が同時に発生し、これらが互いに干渉し干渉縞を形成する。即ち、粒子(光子)は片方のスリットを、小さいSx(電磁波)は両方のスリットを同時に通過し、Sxはスクリーン上に干渉縞を形成する。これら光子とLxの干渉縞がスクリーン上で干渉し光子の干渉縞を形成する。
 光の回折は、寧ろ光子の粒子性によるよるもので、光子がスリットの障害を受けて回折する。
           
                 

                         図5 光子の干渉モデル

 5.光子の質量

 仮説
@により光子(緑色の光)の質量を求めてみる。
 光子は正、負等量の電気量(q、q´)を持ち総電気量Qは
 Q=n(q + q´)。   n=1,2,3,・・・n 
 電気量Qを持つ光子の質量を M(Q)=m とすると、光子の運動量は ニユートン力学と光量子仮説から
          mc=hν/c  ∴ m=hν/c2                         ・・・    (1)
   プランクの定数             h=6.6×1027 erg・s(gcm2-1)     ・・・    (2) 
  光の速度                c=3×1010 cms-1                  ・・・    (3)
  光の振動数(緑色         ν=5.80×1014 s-1                ・・・    (4)     
  (1)(2)(3)(4)式から緑色の光子の質量は約  
      m=(6.6×5.80/9)×10333.83×1033 である。
 
電子の静止質量(9.1×1028g )と比較すると                 
 電子の静止質量/m=9.1×1028/3.83×1033≒2.4×105 から       
 光子の質量は電子の約24万分の12)  
  (1)から光子のエネルギー Eは     
E=hν=mc2                   ・・・    (5)
  運動エネル(Ek)は         Ek
(1/2)mc2               ・・・    (6)
 ∴ スピン角運動エネルー(Es)は  
(1/2)mc2               ・・・   (7)  
 

6. 素粒子の崩壊時間と振動数

 素粒子を結合しているn個の光子(質量m)が電磁波として放出され、素粒子が崩壊するとする。

 6・1 崩壊時間
  素粒子が静止しているとき、光子mの静止エネルギーは(5)式から2素粒子が速度υで運動しているとき、
 光子mの運動エネルギーはニュートン力学から(1/2)mυ2
 ∴ 運動系の光子mのエネルギー=m2 (1/2)υ22√(1-υ2/c2
  静止系
の崩壊時間をt、運動系の崩壊時間をt′とすると比例関係から、
   t′=t√(1-υ2/c2
   運動エネルギーが増加した分、素粒子の崩壊時間が長くなる。

 6・2 振動数
  素粒子が静止しているとき放出される電磁波の振動数をν、速度υで運動しているときの振動数をν´とする。
 崩壊時間は6・1から、t(静止系)、t′(運動系)。
  崩壊時間t、t′でいずれもn個の光子が放出されるから、
 静止系の単位時間当たりの振動数は     ν=                                      ・・・(8)
 運動系の単位時間当たりの振動数は    ν/{t/√(1-υ2/c2}√(1-υ2/c2)/t  ・・・(9)
 
 (8)(9)から                   νν√(1-υ2/c2)                          ・・・(10) 
  ∴ 単位時間当たりの振動数は、静止系よりも運動系が少ない。  

7.光の粒子性(光子)による干渉、回折現象の説明 


 干渉:光子のスピン角運動量(S)の干渉によるスピン角運動エネルー(Es)の変化(干渉縞)である
 回折光子の粒子性によるよるもので、光子がスリットの障害を受けて回折する。
                                 
                      

8.光の粒子性(光子)による光電効果の説明

 光は、運動量(P)と運動エネルギー(Ek)を持つ荷電粒子である。

9.結 論

@) 光の仮説
@ABから、光子にスピン角運動量とスピン角運動エネルを導入することにより、光が粒子でありながら波動性を有し干渉することが説明できる。
 光の回折は波動性によるとするよりも、寧ろ光子の粒子性によるもので光子がスリットの障害を受けて回折すると考える方が妥当である。
A)光のもつ二面性(波動性粒子性の解釈
 本論文の解析結果によると、同じ光に対してスピン角運動量(S)、スピン角運動エネルー(Es)で波動性を論じ、運動量(P)、運動エネル(Ek)で粒子性を論じていると解釈出来る。
 即ち、
”光は波動的要因を具備した粒子であると解釈する。

 1); ”マイケルソン・モーリーの実験”の解釈による。
 注2)計算の都合上、1波長分の光子の質量をmとして求めたが、図2、3から1波長分には2個の光子が存在する。
    実際の光子の質量をm´とすると m=2m´である。
    ∴ 実際の光子(緑色)の質量m´(=m/2)は電子の約48万分の1である。

  ∴ 仮説@から光子を構成する荷電粒子は更に小さい。

     付 表     元及び次元         
                                    
     h         :プランク定数               [ML2T1] 
     ν(ニュー)  :振動数 (ν=1/T)         [Hz]    
     λ(ラムダ)  :波長                     [L]
     T         :周期                     [T]
     c        :光の速度                 [LT1]          
     c=λ/=νλ
 

    補足:

     
@)光子の波動モデル

     飛翔する光子のスピン角運動量(付図1)を合成(干渉)すると波動性(付図2)を示すが、個々の粒子性は失わない(付図3)。

           
     付図1 光子のスピン角運動量         付図2 光子の波動性(スピン角運動量の合成)    

     
     付図3 合成しても光子の粒子性は失わない

     
A)光子のモデル
    
    付図4 正、負等量の荷電粒子が鎖状に連なり、光速cで回転し磁場を作る。
          これがcで直進する。 光の直進性は光子の光速回転(スピン)による。                                      
  

                                                     以上