野田政権、ずさんな危機管理=連携に不手際、まずい判断−北朝鮮ミサイル

 北朝鮮が13日強行した長距離弾道ミサイル発射で、日本政府の危機管理のずさんさが露呈した。午前7時39分の発射情報を米軍から直ちに得ていたが、政府が公表したのは発射から44分後。上空通過が想定された沖縄県の各自治体に情報を伝える全国瞬時警報システム(Jアラート)も活用されずじまい。問題点として浮かび上がったのは、関係閣僚の連携の不手際と判断のまずさだ。
 米軍の早期警戒衛星(SEW)が捉えた発射情報は午前7時40分には防衛省へ伝達された。しかし、官邸対策室に伝えられたのは同8時16分。官房長官は「(防衛省が)さらなる確認を行っていた」と説明する。防衛相から藤村長官への電話連絡も同3分。首相官邸と防衛省の連携不足は明らかだ。
 しかも、藤村長官は同7時42分には、SEW情報を「別ルート」から入手していた。にもかかわらず、官邸対策室は同8時7分に「発射を確認していない」と発表。政府の初動対応の混乱について、種谷良二内閣審議官(危機管理担当)は「(官房長官と官邸対策室は)情報共有できていなかった」と認める。
 Jアラートの運用もお粗末だった。このシステムを活用しなかった結果、政府からの公式情報が伝わらないまま報道が先行し、関係自治体を混乱させた。藤村長官は「わが国の安全を脅かす事態は生じていないと判断した」と説明。これに対し、沖縄県の又吉進知事公室長は「Jアラートが作動せず、違和感を抱いた。政府に説明を求めたい」と強い不満を示した。
 政府内の説明には食い違いもある。藤村長官は記者会見で「何かが飛び立った。それはレーダーで確認していた」と明言。しかし、防衛省幹部は自衛隊のレーダーでは捕捉できなかったと、米軍情報の確認に手間取ったことを認めている。
 政府の初動対応を野党は一斉に批判、首相や田中防衛相ら関係閣僚を追及する構え。政府内からでさえ「官邸は危機管理の備えができていない」(高官)との厳しい声が上がっており、野田政権にダメージとなるのは避けられそうにない。(2012/04/13-21:16)

時事ドットコム
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