人間はテレロボットだ
要約
人間をはじめ生物の体は高度に発達した科学技術によって作られたきわめて精密な遠隔操作のロボットである。私たちの本体は分体である人間の形をしたロボットを思い通りに操縦し、ロボットから送られてくる五感の信号を再生して体感することにより、ロボットが体験していることを自分自身が体験しているいるかのように錯覚しているのである。そして、私たちはいろいろなテレロボットを操縦することにより多彩な経験を積むことができ、精神的な進歩をとげていくのである。
なお、本文は第2回日本サイ科学会年次大会(1998.11.27)の予稿「肉体に関する1つの仮説」を、タイトルのみ変更して原文のまま掲載したものである。
本文
両目の感覚で撮影した2つの映像を左右の目で見るとあたかも眼前に物質が実在しているかのような立体視が得られ、、頭部の模型の両耳の位置で収音した音をヘッドホンで聞くと、その模型が自分の頭であると錯覚するかのような生々しい立体音像が得られる。
そこで、人体を精密に模した遠隔操作のロボットを作り、その両目の位置には広視野で高精細度のテレビカメラを、両耳には高忠実度の小型マイクロホンを、鼻には嗅覚センサーを、全身の皮膚には無数の微細な圧力と温度のセンサーを取り付け、これらの出力を無線回線で伝送し忠実に再生してやれば、再生装置を身につけた操縦者は、ロボットが体験していることが直接自分で体験しているように思うだろう。さらに、操縦者の体の動作を検出して無線回線で伝送し、ロボットが操縦者と全く同じ動作をするようにしたら、操縦者はロボットと自分の体の見分けがつかないであろう。
また、操縦者の筋肉の神経の電圧を検出して、ロボットから送られてくる信号とともにコンピューターで処理してロボットを制御すれば、若干の習熟機関の後には操縦者はほとんど体を動かさなくても思うとおりにロボットを操縦できるようになるだろうし、ロボットが動物の体をしていても同様に操縦できるだろう。 さて、鯨の仲間は高度の知能を有し、1万以上の言葉を使って会話をしているといわれ、コンピューターを使って人間と会話をする試みがなされている。また、先日は人間の質問に字を書いて答える犬がテレビに出演していたが、一般の犬でも、飼い主の心を読み取り自分の気持ちを口の代わりに態度で示す。そこで、動物にもロボットの操縦装置を取り付けてやれば、彼らも習熟期間の後には人間と同様にロボットを操縦できるようになり、人間と会話を交わすことが可能となるであろう。
ところで、生まれたときから人間に育てられた猿や犬は自分が人間であると思いこんでおり、乳児の頃からどう鬱に育てられた人間は自分が動物であると思いこんでいる。そこで、生まれたばかりの人間や動物にロボットの操縦装置を取り付けれてそのロボットをロボットだけでできた社会におけば、彼らはロボットが自分の肉体であるように思いこむであろう。従って、人間の形をしたロボットを人間と動物に操縦させレア、動物と人間が互いに相手の本体を知らずに、同じ人間同士と思いこんで一緒に生活することになろう。また、人間に動物の形をしたロボットを操らせればその人は自分は動物であると思いこむであろうから、人間に動物としての体験をさせることができるであろう。
また、成長した人間であっても記憶喪失の状態にして操縦装置を取り付ければやはりロボットが自分の体であるように思いこむであろうから、適当な期間をおいて記憶を喪失させロボットを替える操作を繰り返すことにより、ひとりの人間に多彩な体験をさせることができる。
そしてロボットのテレメトリー回線を傍受してロボットの行動を監視し、要所要所でコマンド回線に介入してロボットの講堂を修正し、ロボットの行動に応じて善因善果、悪因悪果の規則によりロボットの一生の運命を支配し、また、ロボットの一生が終了したさいには一生の間の行動の要点の記録を再生してロボットの操縦者に反省させた後、その行動に応じて極楽か地獄のイメージをテレメトリー回線を通じて体験させ、その後、前のロボットの一生に応じて次のロボットの境遇を決定してやれば、ロボットの操縦者の精神を急速に進歩させることが可能であろう。
以上、メカトロニクス技術が高度に進歩した未来社会の夢物語を述べてきたが、我々の肉体も遠隔操作のロボットであると考えないと説明できないことがこの世の中には少なくない。近年欧米では近似死体験や前世記憶の学術的な調査が行われ、死後の世界が実在し人間が転生することが確かめられている(注1,2)。この事実は、我々の肉体は肉体とは別の本体によって遠隔操作されるロボットであると考えなければ説明がつかないし、このように考えると、夢、インスピレーション、霊視、霊聴、テレパシー等の現象は肉体から本体への回線への外部からの介入ということで、また、霊言、霊動、金縛り、二重人格等は本体から肉体への回線に対する外部からの介入ということで説明できる。
また、この世に極めて多種多様な生物が調和して生活していること、そして、受精した卵が極めて複雑な有機体である生物になり、生まれたばかりの生物が誰から教えられることもなしに生きるための行動をすること、特に本能という言葉で片づけられてしまっている不思議な生物の行動は、生物の体が高度の知性体によって作られたものであって、遠隔操作のロボットであると考えることによりはじめて理解できるものである。
霊能者によれば我々の魂は進化状態に応じて別々の階層の世界で生活していて、高級な魂と低級な魂とは接することができないと言われているが、この世とは肉体というロボットを介して高級な魂と低級な魂とが共通の世界に住むことによって。多彩な経験を積むことができ、互いにより高く進化するための修行の場であると考えられる。そして我々の行動はこの世を作った高度に進化した生命体によって監視記録されていて、現在の境遇は過去から現在間での行動に応じた最適の境遇が与えられていると考えられる。
注1 カーリルオシス他「人間が死ぬとき」たま出版
注2 イアン スティブンソン「前世を記憶する20人の子供」