相対論効果と量子効果のメカニズム




 小さなおもりが等しい間隔で接続されている紐を上下に振ったときに生じる波について考える。各おもりの間には一定の張力 が働いていて、さらにおもりの基準の位置からのずれに比例して元の位置に戻そうとする復元力が働くものとする。各おもりがずれたたときに 番目のおもりに働く力 は式(1)で表される。ただし 番目のおもりのずれ、 は紐の張力、 は復元力の比例係数である。
                    

                             
おもりの質量を とおくと、ニュートンの法則により、加速度は式(2)で表される。             

        (2)

 ここでz=na とおいて、 となるz、t の関数 と略記すると、波の波長が に比べて十分に長いとき式(2)は              

                      (3)

と表すことができる。 
     のとき                     

                                       (4)   

                                      (5) 
とおくと式(3)は                      

                             (6)
となる。以下では波がz 方向に伝搬する正弦波であることを仮定し、複素計算法を用いて、

                             (7)

と表すことにする。
  式(7)を式(6)に代入すると

                                   (8)

の関係が得られ、のとき波の速度 は   

                                        (9)      
となる。 したがって、群速度がv である波の周波数は                                          

                                                                (10)

となる。ここで                                     

                                      (11)       

                                 (12)

                                       (13)

とおくと式(10)は                                    

                                        (14)

となる。 また、                                        

                                       (15)

とおくと、波数は                                                                

                                        (16)

となる。そこで式(14),(16)を式(3)に代入するとおもりのずれは                      

                           (17)

と表すことができる。これを実数の数式に戻し、E,Pを再掲すると                            

                            (17’)

                                       (13)                                  

                                       (15)               

                                 (12)

となる。

 式(17’)は自由空間を速度vで走行する静止質量m0 の粒子が示す波の方程式と同形である。そして波は絶対に粒子になり得ないものであるから、粒子の速度とは波の速度、エネルギーとは波の周波数、運動量とは波の波数であることがわかる。また、式(12)、(13)はアインシュタインの方程式にほかならない。アインシュタインの式が得られるのは波の速度と周波数の間に式(10)の関係があるためで、波の速度をcに近づけるには周波数を非常に高くしなければならないが、これは粒子のエネルギーを非常に高くしなければならないことに対応する。波の速度はc以上にならないが、cよりも速いの速度がないというのは誤りで、波を伝える紐の中の力の伝達速度は波の速度よりも遙かに速いのである。

 以上のようにアインシュタインの式は波の媒質と媒質の中のcよりも遙かに速い力の存在を前提として、ニュートン力学によって物理的に導くことができる。アインシュタインの式を根拠に、ニュートン力学は高速の現象を取り扱えないとか、媒質は存在しないとか、光速より速い速度はないとか言うのは本末転倒でまったくナンセンスである。

 ここではわかりやすいようにおもりと紐を用いて説明したが、おもりと紐の代わりに微粒子と微粒子間の引力であっても同じことである。微粒子が真空中を固体の結晶のように満たしていて、微粒子の質量と引力が、Cが光速に、mが素粒子の質量になり、hがプランクの定数になるような復元力が働いていれば、そこに生じる波は素粒子が示す物質波と完全に一致するわけであり、高速で運動する物質の長さが縮んだり、原子時計が遅れたりする現象も説明できる訳である。

 次に、遮断角周波数が  

                                 (18)
である場合を考える。ただし    

       

  とする。

    格子波の角周波数は遮断角周波数によって変化しないから, U=0 における群速度で定義されたEと時間項を含まぬの関数? を用いて        

                               (19)

と表すことができ,式(2)に代入すると関する方程式                    

                    (20)

  が得られる。ここで      

      

とおくと、  のときは                                      

                                 (21)                      
となり,     であるから式(20)は      

                          (22)

となる。式(22)はポテンシャルが の場における時間項を含まぬシュレーディンガー方程式である。したがって,格子波の位相は時間項を含まぬシュレーディンガー方程式の波動関数に等しく,遮断角周波数の高低、すなわち、復元力の係数の大小がポテンシャルの高低に対応する。


 次に、  のときに       

                               (23)

とおくと、式(3),(18),(23)から                          

                        (24)

が得られる。式(24)は時間項を含む一般的なシュレーディンガー方程式である。量子力学は難解だと言われているが,それはシュレーディンガー方程式の物理的意味を誤って解釈しているからで,図1のようにおもりをつないだ紐に生じる波を表す方程式だと考えれば簡単なのである。シュレーディンガー方程式は複素数の方程式であるから現実の物理運動には対応しないなどtわかったような顔をして言っている先生方は複素計算法の物理的意味を理解していないのである(虚の空間などと言っている宇宙論の先生方も同類である)。

 アインシュタインは死ぬまで量子力学に反対し、ディラックは晩年、いつかアインシュタインの主張が正しいことがわかる時代が来ると述べているが、皮肉なことに、アインシュタインが否定したエーテルを復活させ、アインシュタインが提唱した光の粒子説と相対性理論を破棄することにより、量子力学は否定されることになるのである。

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