エーテルは実在する
波は波を伝えるもの(媒質)がなければ伝わることができない。例えば、音は波であるから媒質のない真空中を伝わることができない。それならば波である光が真空中を伝わるのは真空中に光の媒質が満ちていなければならないはずである。この媒質はエーテルと呼ばれ、物理学が正道を歩んでいた時代には、真空中には当然エーテルが存在すると考えられていた。
しかし、現在ではエーテルの存在は否定されている。その理由として、
1.相対性理論がエーテルの存在を否定している。
2.光は粒子の性質をもつから媒質がなくても伝わることができる。
3.マイケルソン・モーレイの実験でエーテルの存在を認めることができなかった。
4.横波である光が不連続部(物質)に入射しても縦波が発生しない。
などが考えられるが、これらはいずれもエーテルの存在を否定するものでないことを以下に述べる。
1.相対性理論がエーテルを認めない。
高速の物体の長さが縮んだり時計が遅れたりする現象を矛盾なく説明するには絶対的な座標系が必要である。したがって、「相対論効果」と呼ばれている現象とエーテルの存在とは矛盾しない。絶対的な座標系を認めない相対性理論はまったくのニセ科学である。
2.光が粒子の性質をもつから媒質のないところ伝わることができる。
波が粒子の性質をもつことは絶対にない。光の粒子説はアインシュタインが光電効果の物理的意味を誤って解釈したために生じた偽説である。光電効果は、電子が粒子ではなくて波動であることを示す現象である(付録参照)。
光が粒子(フォトン、光子)の性質をもつから媒質のないところを伝わると主張するのは、音が粒子(フォノン、音響子)の性質をもつから真空中を伝わると主張するのに等しい。フォトンにしろフォノンにしろ物理的意味の誤った解釈の産物である。
3.マイケルソン・モーレイの実験でエーテルの存在が認めることができなかった。
エーテル上を運動する物体の長さが運動方向に縮むならばエーテルが存在しても検出できない。このためには方程式がローレンツ変換に対して不変であればよいことが知られている。ところで、格子構造に生じる波の方程式(クライン・ゴルドン方程式)はローレンツ変換に対して不変である。物質は原子レベルでは波動であり、その振舞いはクライン・ゴルドン方程式によって記述される。したがって、エーテルが格子構造をしていて、物質がエーテルの波動であると考えれば、マイケルソン・モーレイの実験でエーテルが検出できなかったのは当然である。
4.横波が不連続部に入射しても縦波が発生しない。
波には伝わる波と伝わらない波がある。光が物質に入射したとき縦波が生じないのは、生じた縦波がエーテルを伝わることができないからで、この波は物質中に閉じ込められる。物質に光が入射すると電荷が生じるがこの電荷が閉じ込められた波である。ただし、光の振動数が高いと、生じた波はエーテルを伝わるようになる。ガンマ線が物質に入射したとき電子線が生じるのはこのためである(付録参照)。
付録 伝わる波と伝わらぬ波
波には伝わる波と伝わらない波がある。例えば、水面の波は伝わっていくが,水面に丸い枠を置けば枠の中の波は伝わっていくことができない。光や宇宙線は伝わる波であり,原子核の周りの電子は伝わらない波である。この伝わらない波も振動数が変われば伝わるようになることがある。以下最も簡単なモデルを使って説明する。
小さな錘を等間隔で紐につなぎ、一方を振ると波が伝わっていく。振り方を速くすると波の波長が短くなるとともに波の速度が遅くなっていき、錘が隣どおし逆方向に振れるようになると速さは0になってしまい、それ以上速く振ると波は伝わらない。この波の速度が0になる周波数(振動数)をカットオフ(遮断)周波数といい、波が伝わらない状態をカットオフ状態という。この例では、カットオフ周波数よりも低い周波数の波が伝わるが、逆にカットオフ周波数よりも高い周波数の波が伝わる場合もある。エーテルはカットオフ周波数より高い物質波を伝えるので、カットオフ周波数より低い縦波(物質波)は発生しても伝わっていかないのである。エーテルは横波である光に対してはカットオフ周波数が0なのでどんな低い周波数の光(電波)でも伝えるのである。
錘を小さくすると紐の動きに追従しやすくなるのでカットオフ周波数は高くなる。そこで、紐の一部の区間だけ錘を小さくすると、カットオフ周波数の高い区間は伝わるが、その外側のカットオフ周波数の低い区間は伝わらない周波数の波があることがわかる。このような波はカットオフ周波数の高い部分に閉じこめられる。そして、弦楽器の弦の上の波のようにある周波数で共振する。
おもりを網状につないである範囲だけ錘を軽くすればその範囲だけに閉じ込められる波ができ、おもりをつないだ網を積み重ねておもりどうしをつなげばある空間内に閉じ込められる波ができることがわかる。原子核の周りの電子とはこのように原子核の周りの空間に閉じ込められて共振している波である。教科書で説明されている太陽の周りを回る惑星のように原子核の周りを電子が回っているモデルは完全に間違いである。このモデルが間違いであることは現在の科学でもわかっているのに、このようなモデルを子供のうちから教え込むので電子が粒子であるという誤った考えが抜けないのである。
さて、この閉じ込められた波に外からもう1つの波を加えた場合を考えてみよう。2つの波を加え合わせると、その和の周波数と差の周波数の波が発生する。もし、発生した波の周波数がカットオフ状態でなければ波は閉じ込められた空間から外に伝わっていく。しかし、外から加えた波の周波数が低くて生じた波がカットオフ状態であれば外からいくら強い波を加えても生じた波は外に出て行かない。光電効果で光の波長を短く(周波数を高く)しないと、いくら光を強くしても電子が飛び出さないのはこのためである。
また、外から加える波の周波数が高ければ高いほど、生じた波の周波数はカットオフ周波数から離れるので速く伝わっていく。当てる光の波長が短ければ短い(周波数が高い)ほど、飛び出した電子(電子波)の速度が速くなるのはこのためである。
光電効果は光が粒子の性質をもつことを示す現象とされているが、これは誤りで、電子が波であることを示す現象である。繰り返すが波が粒子の性質を示すことは絶対無く、粒子が波の性質を示すことも絶対にない。物質や光が波と粒子の二重性をもつなどと言うのは物理を解せぬ計算ロボットの言うことである。光電効果については、別途、数式を用いてわかりやすく説明する。