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大飯原発運転再開 地元理解求める
4月14日 19時17分

大飯原発運転再開 地元理解求める
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枝野経済産業大臣は14日、福井県を訪れ、西川知事らと相次いで会談し、野田政権が必要性があると判断した関西電力大飯原子力発電所の運転再開に理解を求めました。
これに対し西川知事は、電力を供給してきた努力に対し、関西地方などからの理解が得られるよう国の対応を求めるとともに、県議会などの意見を聞いたうえで県の判断をまとめたいと述べました。

枝野経済産業大臣は、14日、福井県庁を訪れ、西川知事や、大飯原発があるおおい町の時岡町長らと相次いで会談しました。
この中で枝野大臣は、6回にわたる関係閣僚会議で、野田政権として、大飯原発の3号機と4号機の安全性を確認したことを強調したうえで、運転再開の必要性があるという判断に至ったことを伝えました。
さらに枝野大臣は、日本の社会や経済を考えると当面、原子力は、重要な電源だとしたうえで、「知事をはじめ地元の理解をいただき、運転再開に理解が得られるようお願いしたい」と述べました。
これに対し西川知事は「そうした国の姿勢をぶれることなく、国民に説明してほしい。また、国のエネルギー政策に協力してきた地元の努力がエネルギーの消費地に理解されておらず、それでは運転再開に県民の理解が得られない」と述べ、関西地方などに電力を供給してきた県のこれまでの努力が理解されるよう、国として責任をもって対応するよう求めました。
そのうえで西川知事は「県が設置している専門委員会で安全性などをチェックしたい。そのうえで県議会や、地元のおおい町の意見を聞いて、県としての判断をまとめて伝える」と述べました。
一方、時岡町長は枝野大臣に対し、「福島第一原発の事故で安全規制に関する態勢が損なわれている。早期に原子力規制庁を立ち上げて、国民の信頼回復に努めてもらいたい」と述べ、早急に原子力規制庁を設置するよう求めました。
大飯原発の運転再開にあたっては福井県とおおい町の了解を得る必要があり、立地自治体がどのような結論を下すのかが今後の焦点となります。
一連の会談を終えた枝野経済産業大臣は記者団に対して、「万が一事故が起きた場合、影響が極めて大きい立地自治体のみなさんに、原発の安全性と必要性について初めて政府としての考え方を説明した。さらに要望があれば応えるよう努力し、ぜひご理解をいただきたい」と述べました。
また枝野大臣は、福井県の西川知事らから、電力の供給先でもある関西地方などに県の努力が理解されるよう、国が責任をもって対応するよう求められたことについて、「関西の電力供給を担ってきた立場からの当然の要望だ。すでに滋賀県や京都府からは、運転再開の問題について要望をいただいているので、今後も要請があれば政府として説明し、理解を求めていきたい」と述べました。
さらに枝野大臣は、14日の会談の中で、原発は当面重要な電源だとする考えを示したことについて、「今は原発に依存しており、裏を返せば、今は重要な電源だ。一日も早くこの依存状況から脱する方針については揺らぎはない」と述べ、脱原発依存を目指す政府のエネルギー政策とは矛盾していないという認識を示しました。

福井県知事とおおい町長は

福井県の西川知事は、枝野経済産業大臣との会談終了後に記者会見し、大飯原発の運転再開について、「政府の見解を県が設置している専門委員会で専門家の立場から検討してもらい、県議会やおおい町の意見も聞いたうえで総合的に判断していく。また、政府がわれわれの要望に対しどのように対応していくかも見つめていきたい」と述べました。
また、西川知事は「福井県は、原子力発電を何十年にもわたって監視しながら進めてきたことを消費地の人たちにも改めて理解してほしい。放射能漏れを起こしたことはなく、感情的ではなく、現実的に判断してもらうことが必要だ」と訴えました。
さらに、西川知事は「運転再開は、最終的には立地自治体が判断すべきである」と述べたうえで、「原発からは使用済み核燃料が発生していて、福井県だけで対応できる問題ではなく、消費地にも痛みを分かち合うことをお願いしなければならない。エネルギー問題を国民全体で受け止めて判断することが大事だ」と述べて、原発の立地自治体の立場や考えを強調しました。
枝野経済産業大臣との会談終了後、関西電力大飯原発のある福井県おおい町の時岡忍町長は「きょうの枝野大臣の説明には熱意を感じた」と述べ、国の姿勢に一定の理解を示したうえで、運転再開については「住民がどう判断するのかが重要だ」と述べ、住民の理解が大切だという考えを改めて強調しました。
また、「一番の消費地である関西圏の方々が原発に後ろ向きな発言をしているので、このままでは住民に運転再開を理解してくれと言っても簡単に理解してくれないと思い枝野大臣に、きちんと対応してほしいと申し上げた」と述べ、運転再開に慎重な姿勢を示している周辺自治体の理解を得るよう国に求めました。

原発の地元・おおい町では

関西電力の大飯原子力発電所について、野田政権が運転再開の必要性があると判断したことについて、大飯原発がある福井県おおい町の76歳の女性は「あってはならない福島の事故があったあとでは、安全ですと言われても100%は信用できない。政府には急いで再稼働してほしくないし、知事や町長には住民の命がかかっているということを考えてもらいたい」と話していました。
一方、71歳の男性は「おおい町は原子力で仕事をしている人が多く、なくなったら失業してしまう。地元のためにも福井県のためにも動かしてもらいたい」と話していました。

福井県庁前では運転再開反対の訴え

福井県にある関西電力大飯原子力発電所の運転再開を巡って、福井県庁の入り口には全国各地からおよそ200人の市民団体などが集まり、「原発反対」などと書かれた横断幕やのぼり旗などを掲げて、大飯原発の運転再開に反対を訴えました。
このうち国際的な環境保護団体、グリーンピース・ジャパンのエネルギー担当の高田久代さんは「短期間で即席で作られた今の安全基準で、原発の運転再開を判断することは絶対に許せません。なんとか運転再開をやめさせるようみんなで呼びかけて行きたい」と話していました。
また、原発のある福井県嶺南地方で活動する若狭連帯行動ネットワークの松下照幸さんは「福島の事故の検証が十分にされていないなかで原発の運転再開を認めることはできません。多くの原発を抱えている福井で、まず原発の運転再開を阻止しなければ未来が心配です」と話していました。

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