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国の再稼働要請に福島被災者は憤り 「原発事故もはや別の国の話か」

(2012年4月14日午後7時19分)

 「結論ありき」「福島第1原発事故は別の国のことなのか」―。政府が関西電力大飯原発3、4号機の安全性を確認し、枝野幸男経済産業相が福井県に再稼働への協力を要請したことに対し、福島県から避難し県内で生活している被災者から批判の声が上がった。

 「なぜ原発を動かすことにこだわるのか。政府を動かす“大きな力”が働いているのでは」。3分の1が警戒区域となっている南相馬市から大野市に避難している長谷川弘さん(39)は、怒りをあらわにした。「政府にとって福島県で起きた事故は、もはや別の国の出来事になってしまったのか」と憤る。

 失敗したものの北朝鮮のミサイル発射実験にも触れ、「大飯原発はテロの標的にもなりやすいのでは。大野市は大飯原発と相当離れているが、原発が稼働すると不安になる」と続けた。

 同じ南相馬市から坂井市に避難している田中徳雲さん(37)は事故後、放射能被害に苦しむ古里の惨状に心を痛め、原発の危険性を訴え続けた。思いは届かず、安全を確認したとする政府の決定に「何も話すことはない」と一言。半ばあきらめの様子だった。

 双葉町の自宅が福島第1原発から約3キロにあり、現在坂井市に避難している川崎葉子さん(61)。東京電力への集団賠償請求などを目的に立ち上げた県内の被災者グループ「FFF(ふふふ)の会」代表の立場から「最初に結論ありきでは」と、再稼働へ歩を進める政府の姿勢に疑問を呈した。

 「福島第1原発が津波の影響を受けたように、自然は人間の英知を超えた災害を引き起こす」と“想定外”への不安をぬぐえないでいる。大飯原発周辺を実際に見た経験を踏まえ「原発のある半島の地形は険しく、周辺住民の避難路はほぼ橋一本。万一の際は大丈夫なのか」と話した。

 一方、事故前まで経営していた塾の受講生の親には、原発関係の仕事に従事する人が少なくなかったことも踏まえ、「原発立地地域では原発の仕事で生計を立てている人も多いから…」と複雑な表情を見せていた。(重森昭博)


 

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