ローレンツ変換の分母は何故√(1−(V/C)2)なのか

アインシュタイン博士の基本思想

ローレンツ変換とは、次の変換式を言います。
t’= (t−(Vx/C2)) / √(1−(V2/C2))
x’=(x−Vt)/√(1−(V2/C2))
y’= y 
z’= z 
時間t、及び進行方向である次元xの変換式の分母が√(1−(V/C)2)となるのは何故でしょうか。
アインシュタイン博士のイメージする宇宙は、空な空間を光や物質の粒子が移動するものです。そのイメージでは、 静止している慣性系を示せないので「全ての慣性系は同等である」ことになり、同一の変換式で全ての慣性系から全ての慣性系に、 変換出来なければなりません。
アインシュタイン博士の空間には、何も実体が無く真に空な空間です。空間に何らかの実体があれば、 空間が静止系であり、物質はその静止系を基準にして移動しているか否か判断出来ます。しかし、実体の無い空間の位置は考える事 が出来ません。残るのは物質同士の位置関係のみとなります。そうなると、一方が静止しており他方が移動していると見えても、 逆に他方が静止しており一方が移動しているとも考えられます。つまり、歩いている私が前に進んでいるのか、 私以外の全宇宙が後ろに移動しているのか示すことが出来なくなります。移動を判断する基準(絶対静止の一点)がないので、 全ての慣性系は同等となります。

このアインシュタイン博士の思想によると、静止している慣性系Aの光(x,y,z,t)を、移動する慣性系Bから見た光(x’,y’,z’,t’) に変換します。宇宙で絶対に静止している1点を示すことが出来ないと、運動は相対的なものとなります。一方が静止し他方が 運動しているのか、逆に一方が運動し他方は静止しているのか、どちらにも取れます。従って、逆に今変換した慣性系Bが静止しており、 慣性系Aが移動しているとも取れます。
そうなると、静止系Bの光(x’,y’,z’,t’)を、Vを−Vにした同じ変換式により、 (x,y,z,t)を(x',y',z',t')にして逆変換すると、今度は移動する慣性系Aの元の光(x,y,z,t)に戻らなければならない。これを逆変換と言います。 アインシュタイン博士の考え方によると、変換式は「光速度不変の法則」を満足させると同時に、逆変換も可能であり、 逆変換後の光も「光速度不変の法則」満足させねばなりません。

逆変換出来る要件

ローレンツ変換は、「光速度不変の法則」と「逆変換が可能であること」と言う2つの要請のみから導かれた数式でしょうか。
観測者がX軸方向へ速度Vで移動しながら、光を観測すると言う条件のみを、仮定して「光速度不変の法則」と 「逆変換」が可能な数式の要件を調べて見ます。

@x’=x−Vt (観測者がX軸方向へ速度Vでt秒間移動したので、光のX軸方向の移動距離はその分少なく観測される)
Ay’=y   (観測者が、X軸方向へ速度Vでt秒間移動しても、光のY軸方向の移動距離は変化しない)
Bz’=z   (観測者が、X軸方向へ速度Vでt秒間移動しても、光のZ軸方向の移動距離は変化しない)
のみ仮定します。すると光速度が不変になる為に時間tの変換式は、CATBIRD第二変換式の通り
t’=t*(√(C2−2VCcosθ+V2)/C )
となります。
Ctcosθ=x ですので、
Ct’=t*(√(C2−(2Vx)/t+V2)/C )
です。

この@からC式が、正変換で光速度不変の要求を満足するか、調べます。
Dx2+y2+z2=C2*t2
です。
Ex’2+y’2+z’2=C2*t’2
となるか調べます。

左辺=(x−Vt)2+y2+z2=x2−2Vtx+V2*t2+ y2+z2
右辺= C2*t2*(C2−(2Vx)/t+V2)/C2)= t2*(C2−(2Vx)/t+V2))= C2*t2−2Vtx+ V2*t2
−2Vtx+V2*t2の部分は等しく消えますので、残るのは
Dx2+y2+z2=C2*t2
となり、Eが常に成立します。CATBIRD第二変換式は「光速度不変」の要求を満足します。

今度は、CATBIRD第二変換式で、逆変換が出来るか調べてみます。
逆変換式は、Vを−Vにし、(x,y,z,t)を(x',y',z',t')にします。
Fx=x’+Vt’
Gy=y’
Hz=z’
It=t’*(√(C2+(2Vx’)/t’+V2)/C )
となります。今
Ex’2+y’2+z’2=C2*t’2
は成立しています。そこで、
Dx2+y2+z2=C2*t2
が成立するか調べてみます。

左辺=(x’+Vt’)2+y’2+z’2=x’2+2Vt’x’+V2*t’2+ y’2+z’2
右辺= C2*t’2*(C2+(2Vx’)/t’+V2)/C2)= t’2*(C2+(2Vx’)/t’+V2))= C2*t’2+2Vt’x’+ V2*t’2
2Vt’x’+V2*t’2の部分が等しく消えますので、残るのは
Ex’2+y’2+z’2=C2*t’2
となります。Dは常に成立し、CATBIRD第二変換式の逆変換式は光速度不変の要求を満足します。

このことを、図で表現すると次の通りとなります。

正変換と逆変換

観測者(赤矢印)から見た光bは光aと観測されます。つまり観測者が速度Vで移動すると、光b(Ct)は第二余弦定理により、 光a(√(C2+V2−(2Vx)/t))に変換されます。時間tも√(C2−(2Vx)/t +V2)/Cに変換される為(光bのみでなく、 O→P方向へ伝わる4つの力は全て同様の変化をしているので、その方向へは4つの力が伝わるのに要する時間は t’=t*√(C2+V2−2CVcosθ)/Cと変化しています。つまり、それだけ物質時間は変化しています)、光速度は一定です。

今度は逆に、観測者(青矢印)が光aを速度−Vで移動しながら観測すると、光aは第二余弦定理により、元の光bに変換されます。 時間も同じ割合で変化し(考え方は上記と同様)、光速度不変の要求を満足します。正変換と逆変換は、 CATBIRD第二変換式で自在に出来ます。


ローレンツが分母を√(1−(V/C)2)とした理由

従って、「光速度不変の法則」と「逆変換」が可能な数式を求めるだけであれば、CATBIRD第二変換式で十分であり、 ローレンツ変換の様に、時間t及び進行方向である次元xの変換式の分母が√(1−(V/C)2)となる必要は全くありません。 それには、もっと他の意味があるようです。

ローレンツは、「エーテル」を静止系と考え、それに対して移動する物質の慣性系への変換式を考えました。 私の「超ひもの網」を静止系と考えるモデルと似ています。ローレンツは、移動した場合、エーテルの抵抗を正面からのみ受けるので、 X軸のみ質量増加の効果が1/√(1−(V2/C2))と現れると考えていたのではないでしょうか。Y軸やZ軸方向からは当然「エーテル」 の抵抗は受けず、その方向へは質量増加の効果はありません。(私のモデルでは、Y軸とZ軸にも質量増加の効果が現れます。)

ローレンツに逆変換の発想は無いはずです。何故なら、エーテルを「静止系」物質を「移動系」と考え区分しているからです。 両者は異なる系であり、静止系から移動系に変換する式のVを−Vにした式で、移動系から静止系に逆変換は出来ません。 その式は、静止系から−V移動している移動系への変換式になってしまうからです。

アインシュタイン博士のローレンツ変換の理解方法

アインシュタイン博士は、上記の通り「エーテル」を否定し、真に空な空間を光や物質の粒子が移動すると考え、運動は相対的なので、 逆変換出来なければならないと考えています。ローレンツ変換の誕生した上記の意味の内、「エーテル」の抵抗によりX軸に現れる 質量増加の効果である1/√(1−(V2/C2))の部分は、アインシュタイン博士にとって相対性理論での質量増加の方程式 m=m0/√(1−(V2/C2))と同じ結果であったので、そのまま利用出来たのでしょう。
又、ローレンツ変換は逆変換が 可能な式であった為、「全ての慣性系は同等である」との自分の考えにも一致するので、ローレンツ変換を相対性理論の 基礎にしたのでしょう。

私のイメージする宇宙

私のイメージする宇宙は、超ひもが網状になり、その上を物質の振動・光の振動・4つの力の振動が伝わる宇宙です。
「超ひもの網」が静止している慣性系です。その上を伝わる物質が、移動する慣性系です。その移動する慣性系は方向や速度が様々です。 従って、静止系や慣性系同等ではありません。静止している慣性系は、あらゆる方向へ光速で動くことが出来ます。 C/2で移動する慣性系は、もはやその方向へは、残りC/2しか加速出来ません。このことから、慣性系は同等でないことが分かります。
両者は異なる系であり、静止系から移動系に変換する式のVを−Vにした式で、移動系から静止系に逆変換は出来ません。 その式は、静止系から−V移動している移動系への変換式になってしまうからです。

 CATBIRD変換は、超ひも理論に到達した量子力学と、相対性理論で問題にされた時間と空間の見かけ上の変化を、統合するものです。