光時計について

アインシュタイン博士の光時計

アインシュタイン博士の説明の中では、列車の中に取り付けた鏡の間を行き来する、 光時計が良く出てきます。移動する列車の天井と床に、2つの鏡を取り付けます。
列車が静止している時、光はその鏡の間を上下に移動しています。列車が動き出すと、 どうなるでしょうか。

外で静止している者が、窓からその上下する光を見ると、上下の鏡の間をW形に動いているのが 見えます。列車が動き出すと、上の鏡から出発した光が下の鏡に到達するコースが、 斜めになり長くなります。

従って、上下の鏡に光が到達するのに要する時間も長くなります。列車の中では、 列車が移動しているとは思えません。光は上の鏡から真っ直ぐ下に向かい、下の鏡に到達する様に観測されるでしょう。 上の鏡から下の鏡に光が到達するのに要する時間は、長くなっています。 列車の中に居る観測者Aには、光が上下する間隔は、列車が止まっていた時に比べ、 伸びた様に観測されるでしょうか。もしそうであれば、上下する光の速度は遅くなったと計れる はずです。

実際に観測されている光の速度

今まで速度299,792.5q/秒以外の光が、観測されたことはありません。恒星等光を発する星は、 複雑な動きをしています。ビッグバンにより、各銀河は急速に中心から遠ざかっています。
銀河自身も、円盤状で回転運動をしています。銀河の中にある恒星は、その銀河の中で公転運動をしています。 一方、観測者が居る地球自体も自転し、太陽の周りを公転し、銀河の中を回り、 ビックバンの中心から遠ざかっています。
光の発生源も、それを観測する観測者Aも、お互いに複雑な動きを高速でしています。それなのに、 速度299,792.5q/秒以外の光は観測されていないのです。

移動する列車の中の光の速度

この列車の中の観測者Aと私たちは、全く同じです。観測者Aも私たちも、高速で移動しています。 列車の様に地球上で上下に合わせ鏡をすれば、光は遅くなるはずです。
しかし、観測の結果、光は光速としか計れませんでした。つまり、列車の中の観測者Aには、 列車が移動しても上下する光は光速としか計れないと言うことです。

それは何故か

光が上下する間隔は、明らかに静止時より伸びています。 それなのに観測者Aには、上下する光の速度は一定であるとは一体どう言うことでしょうか。
この疑問をCATBIRD変換を使って明らかにします。

CATBIRD第一変換式

説明を簡単にする為に、上下に取り付けた鏡と鏡との距離を、299,792.5qとさせて下さい。 静止している時、光の速度は299,792.5q/秒なので、往路1秒、復路1秒、計2秒往復運動を 繰り返しています。静止している観測者Aにもそう見えます。
では、この列車が速度Vq/秒で移動を始めるとどうなるでしょうか。光が上下している 片道の距離は次の通りとなります。(2乗を^2と表します)

光時計



上の鏡の出発点をO、静止していた時にあった下の鏡の位置をP、列車が速度Vで移動している時、光が下の鏡に到達する位置をQとします。 三角形OPQは直角三角形です。
OP=299,792.5q(今後、便宜上Cqと表します)です。PQ=CV/√(C22)、OQ=C2/√(C2−V2)です。

※その求め方は以下の通りです。
OS=√(C2−V2)
△ORSと△OQPは相似なので
OR:OQ= C:OQ=OS:OP=√(C2−V2):C C2= OQ*√(C2−V2)
∴OQ= C2/√(C2−V2)
RS:PQ=V:PQ= OS:OP=√(C2−V2):C CV= PQ*√(C2−V2)
∴PQ=CV/√(C2−V2

ピタゴラスの定理の通り、OQ2=OP2+PQ2となっているか確認します。
OQ2= (C2/√(C2−V2))2=C4/(C2−V2)
OP2+PQ2=C2+ (CV/√(C2−V2))2= C2+ (C2*V2)/(C2−V2)=( C4−C2*V2 +C2*V2)/(C2−V2)=C4/(C2−V2)
確認出来ました。

列車が速度Vで移動すると、光の片道の距離は、静止時のCq(OP間)からC2/√(C2−V2)q(OQ間)に伸びました。光の速度はCです。 従って、光が片道に要する時間は、OQの距離(C2/√(C2−V2)q)÷光速(Cq/秒)=時間(C/√(C2−V2)秒)です。
静止している者が、列車の窓から中を覗けば、片道C/√(C2−V2)秒(1秒よりも長い時間)で往復する光を、見ることが出来ます。

では、速度Vで走る列車の中では、何が起こるでしょうか。物質は、光速に近づく程、質量が増してきます。計算式は、 速度Vで運動する時の質量=静止時の質量/√(1−V2/C2)です。相対性理論での算式ですが、どうしてそうなるのかは、 トップページをご参照ください。

列車やその中に居る観測者A等、その慣性系にある全ての物質は、速度を上げるにつれ重さを増して来ます。すると、 何が起こるでしょうか。物質の移動速度は質量に反比例します。つまり、質量が2倍になると、同じエネルギーを与えても動くスピードは 1/2になります。
列車の中では、一定量のエネルギーを受けて、列車や観測者Aを構成する粒子が動いています。粒子が動いて物質反応をし、 変化していくことで、物質は時を刻んで行きます。
速度を上げることにより、粒子の質量0/√(1−V2/C2) g(m0g=静止時の質量)に増します。すると、 粒子の動くスピード0*√(1−V2/C2)q /秒(s0=静止時の粒子のスピード)と遅くなります
列車の中では、物質反応の進行がそれだけ遅くなります。観測者Aはゆっくり動き、ゆっくり思考し、ゆっくり年を取ります。 列車の中に時計があったとすれば、ゆっくり時間を刻む様になります。
しかし、抽象的な時間そのものは、静止時と同じスピードで流れています。

物質反応の速度が遅くなったことにより、物質が刻む時間がt=t0/√(1−V2/C2)秒(t=速度Vで動く慣性系の時間  t0秒=静止時の時間)と遅くなったのです。遅くなる時間を、抽象的な時間とは区分して、物質時間と表現します。

その時、観測者Aには、光時計はどの様に観測されるでしょうか。
光は、C/√(C2−V2)秒で上下しています。しかし、観測者Aの物質時間の1秒が静止時の1/√(1−V2/C2)秒 と遅く経過する様になりました。観測者Aにとって、光の上下する時間の間隔は、次の通りです。

実際の間隔は、C/√(C2−V2)秒 観測者Aの1秒= 1/√(1−V2/C2)秒ですので、 観測者Aにとって光が上下する間隔=t秒=C/√(C2−V2) *√(1−V2/C2)= (C/√(C2−V2)) *(√(C2−V2)/√C2)=1秒です。

静止者も、速度Vで移動する観測者Aも、同じ光を見ています。静止者が列車の外から見た光は、 1秒より長い間隔で上下していますが、 列車の中の観測者Aには1秒で光は上下しています。
更に、空間は大きくなりますが、電車と言う物質自体は大きさを変えないので、電車の大きさは √(1−V2/C2)倍となります。従ってOQ=(C2/√(C2−V2))* √(1−V2/C2)=Cqとなります。X軸方向の光の移動をを−Vtするので、 光は垂直となり、OPと同一になります。 観測者Aには、光は片道1秒間かけて、上下に移動しています。移動距離もCqと静止時と全く同一です。 ですから、静止時の「物理の方程式」がそのまま使えます。



光時計を上下する光は、あくまでも299,792.5q/秒で移動しています。上下するのに要する時間は、速度を上げるに従って、 長くなります。列車の中で粒子の質量増加が起こらなければ、速度Vで移動する観測者には、 光が上下する間隔は伸びて見えるでしょう。 は次第に遅くなって行く様に見えることでしょう。

しかし、移動する列車の慣性系では、粒子質量を増し、 物質反応が遅くなり、物質時間の経過が遅くなります。観測者Aは、 1秒より長い時間1秒と計ります。観測者Aは、どんな時計を持っているのでしょうか。

砂時計・ぜんまいで動く時計・原子の振動数により時間を計る原子時計・観測者Aの感覚で1・2・3秒と数える人体時計等を持っている ことでしょう。しかし、それらの時計は全て物質で構成されており、反応速度が遅くなっています。観測者Aの持つ全ての時計は、 遅く時を刻んでいます。絶対時間を計れる時計を、持ち合わせてはいません。

観測者Aには、上下する光はどう見えるでしょうか。実際には、静止者が窓の外から見た通り、光はゆっくり上下しています。しかし、 観測者Aの物質時間もゆっくり経過しています。両者の遅れの割合が同じなので、Aは光を、静止時と変わらない1秒で上下していると 見るのです。

OQ上を光速で1秒間移動した位置をR、RからOPに引いたた垂線とOPの交わる点をSとします。
OR= Cq(299,792.5q)
RS=Vq
OS=√(C2−V2)(ピタゴラスの定理より)
です。

列車が光速で移動した時、V=Cとなります。すると、OS=√(C2−C2)=0となります。即ち、光は列車の進行方向に向かうのみで、 下方向へは向かいません。永遠に下の鏡には届きません

一方観測者Aも、構成する粒子の質量が、光速に達すると無限大になります。すると、粒子の動くスピードは質量に反比例するので、 =s0/∞=0(s=速度Cで動く慣性系での粒子の動くスピード s0=静止時の粒子のスピード)となり、全く動かなくなります。そうなると、 物質も変化しなくなり、物質時間も停止します。

これが光速度不変の原則の、真の意味の1つです。今述べた高速で移動する為に起こる質量増加の効果と次に述べる第二の効果により 光速度は不変なのです。

この効果をCATBIRDの第一変換式では
t’=t/√(1−V2/C2
x’=x/√(1−V2/C2
y’=y/√(1−V2/C2
z’=z/√(1−V2/C2

(t=時間・xyzは0から出発した光がt秒後に到達するXYZ軸上の値 xは列車の進行方向)
と表しています。
上記説明の通り、時間はt/√(1−V2/C2)秒となります。距離も3次元全ての方向が、(x,y,z)/√(1−V2/C2)となります。 観測者Aにとっては、OQが垂直であるOPに見えます。Cqが C2/√(C2−V2)qになったと計れます。
変換率= (C2/√(C2−V2))/C= C/√(C2−V2)= 1/√(1−V2/C2)で第一変換式と同じです。
時間と距離の変換率が同じなので、光が上下する間隔は1秒と変わりません。光速度は不変です。。

CATBIRD第二変換式

もう1つ、高速で移動する為に起こる効果があります。物質を動かす4つの力(重力・電磁力・強い力・弱い力)の物質に到達する時間 が変化するのです。 列車が速度Vで移動する為、列車の前方から後方へ向かう4つの力は、それだけ 速く列車内の物質に到達します。逆に列車の後方から前方 へ向かう4つ力は、遅く物質に到達します。列車の前方から後方へは、物質を動かす4つの力が速く伝わり、速く物質反応が進み、 物質時間は速く経過します。逆に、列車の後方から前方へは、4つの力は遅れて伝わり、遅く物質反応が進み、物質時間は遅く経過します。


その変化を表わしたのが、 CATBIRD第二変換式
t’=t*√(C2−2VCcosθ+V2)/C
x’=x−Vt
y’= y 
z’=z 

です。

xは、列車の移動分だけ小さくなります。y,zは同じです。

  • 第二変換の詳細はこちらをご参照ください。
  • CATBIRD変換

    以上、2つの効果を1つに纏めると
    CATBIRD変換式
    t’=t*(√(C2−2VCcosθ+V2)/C )/(√(1−V2/C2))
    x’=(x−Vt)/√(1−(V2/C2))
    y’= y/√(1−(V2/C2))
    z’= z/√(1−(V2/C2))

    になります。