キョン子ちゃん54
俺は声のした方に向き直った。すると、当の声の主、angel朝比奈さんは急に慌てだした。
「あ、あれ? キョコさんキョン子さんといっしょだからてっきりキョンくんだと。え? あれ? あ、あの、ごめんなさい、どなたですか?」
キョン子がにやりと笑い、鞄からアルコールお手拭きを取り出して俺の顔を拭った。朝比奈さんはさらに仰天した。
「あ、あれ? キョンくん! あ、なんだ、キョンくんだったんですね! あ、そうか、変装ですね! お見事です!」
キョン子の作品ですがね。
「へえ、さすがはキョン子さんですね。でも、キョンくん、その頭は、」
そこで朝比奈さんは言い澱んだ。そのまま黙ってしまったが、俺は朝比奈さんの口の端が微かに震えたのを見逃さなかった。・・・この変装は二度としないからな!! ・・・俺は気を取り直して朝比奈さんに尋ねた。朝比奈さんはよくここに食事に来るんですか? 朝比奈さんは空いていた俺の隣に座りながら、
「たまにです。キョンくん、今日の会合ですけど、出席できなくてごめんなさい。」
俺も欠席でしたよ。・・・そうか、朝比奈さんは知らないんだ。
「みくるん、今日はどうしたい?」
「ええとですね・・・、」
朝比奈さんによると、朝の5時くらいに非常呼出でたたき起こされ、最寄りの駅から電車に乗るように指示されて、あちらこちらと、普通では辿らないようなルートで乗り換え乗り継ぎを繰り返し、そして更に、とある駅の近くにあるシティホテルのフロントで名前を告げるように、とのことだった。その通りにすると、
「朝比奈様、お待ちしておりました。」
と、一室に通され、そのまま何事もなく数時間経過、なにがなんだかわからないうちに、「フロントにて料金を精算、任地に帰着せよ。」との指示が入り、電車の路線を調べ調べしながらなんとか帰り着き、くたびれたので夕食を外食して帰ろうとここにやってきた、とのことだった。ちなみに、ハルヒへの連絡は、9時を過ぎてから任意の時点で、急用を理由に、とあらかじめ指定があったそうである。
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