韓国で「スペック整形」が横行

動画のPR代行業者、大学の講義を代わりに受けるアルバイトなど

 外資系企業のインターン生カン・ミンホさん(26)=仮名=は、少し前に会社から動画共有サイト「ユーチューブ」に投稿する、会社のPR動画を制作するよう指示され、すぐに米国のA社に75万ウォン(約5万4000円)を送金した。A社は依頼者から29ドル(約2350円)を受け取り、ユーチューブに投稿した動画のアクセス数を1万件ずつ引き上げている。カンさんが制作した動画は、A社にPRを依頼したことで、アクセス数が20万件以上に達し、社内で話題になった。カンさんは「韓国にはまだこのような会社がないため、ばれることはないだろうと思った。企業は創意力のある人材を求めているが、このような抜け道があることも事実だ」と語った。

 就職難などを背景に、資格証明書や成績証明書などを偽造する業者があるかと思えば、自分がインターネット上に投稿した動画のPRを代行する業者や、大学の講義を代わりに受けるアルバイトなども登場し「スペック(大学の単位や語学の成績などを指す)整形」と呼ばれている。京畿道にあるA大学の演劇映画科4年生のチョン・スヨンさん(30)=仮名=は、今学期に履修登録した教養科目の講義を代わりに受講したり、試験を受けたりし、A(日本の大学の「優」に相当)以上の成績を取るという条件でアルバイトを雇った。チョンさんはこのアルバイトに、1学期の学費に相当する300万ウォン(約21万円)を報酬として支払った。チョンさんは「教養科目の講義や試験をアルバイトに任せることで、私は専門科目に集中でき、良い成績を取ることが可能だ。留学するためには良い成績を取ることが欠かせないため、仕方がない」と話した。このようなアルバイトをあっせんするインターネットのコミュニティーサイトには、チョンさんのように、自分と同性で年齢が近いアルバイトを求めるという書き込みが、1週間に2-3件寄せられている。

 各企業はこのような「スペック整形」への対処法に頭を悩ませている。ある大企業は最近、新入社員はもとより全社員を対象に、資格を調査する専門業者に依頼し、学歴の照会を行った。学歴や第三者の評価などについて調査する専門業者も十数社に上る。だが、このような業者も、ひそかに「スペック整形」を行う行為には手をこまねいている。

権承俊(クォン・スンジュン)記者
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