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2、トイレの黒い水
「この前、彼女から聞いたんだけど。この学校のある女子トイレの水が真っ黒に染まることがまれにあるらしいんだ」
彼は高校に入学してからまだ2ヵ月ちょっとしか経っていないのに、なんと同じクラスの女子と付き合っている。噂はその彼女から聞いたようだ。
「はあっ、黒に? 赤じゃなくてか?」
僕は始めにこの話にこういう疑問を持った。女子トイレという場所から直感的に怪談話だと気付いた僕は、それが普通なら血の色を連想させる赤ではなかったから。
「ああ、それは俺も不思議に思ったんだ。でもどうも黒らしいんだ」
「へえー、そうなのか」
「うん。なんでもさ、昔この学校の女子トイレで髪を黒に染めていた女子生徒の呪いなんだとよ」
「なるほど、だから黒か。ん? でもなんで髪なんか染めるんだ? 第一校則で禁止されないか? 毛染めは?」
「そうなんだよな。それにここ最近は誰も見ていないらしいし」
「じゃあ、単なる誰かの作り話じゃないか?」
「そうでもないらしい。どうも彼女が言うには、その黒い水を見たものは呪われるらしいんだ」
「呪われる?」
「そうだ。そして黒い水を見た次の日から酷いいじめを受けて、最後には耐え切れず自殺することになるんだとよ」
「まじか。でもそれも作り話じゃ……」
「違うらしいぜ。何しろ本当にあったらしいからな、10年前に。黒い水を見たある女子学生が酷いいじめを受けて、その後北校舎の屋上から飛び降りて自殺した話が」
「おっ! おいっ! ちょっと待て! それってまさか……」
「そうだ、あの血痕だよ」
僕はその話を聞いたとき本当に驚いた。実はこの学校には誰も近づこうとしない場所があって、そこが北校舎北側の真ん中の下のコンクリートのひび割れ。その隙間には未だに流れ落ちずに赤黒い血痕が残っていた。


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