社説:再稼働新基準 全原発に影響する拙速

毎日新聞 2012年04月08日 02時33分

 冷静に考えてみてほしい。野田佳彦首相と3閣僚が6日に決定した原発再稼働の判断基準は、大飯原発3、4号機だけのものではない。国内の全原発の再稼働に適用されることになる。

 それほど基本的な基準であるにもかかわらず、作成を指示してから正式決定までに費やした時間はわずか3日間。国民の安全にかかわる重要な基準を決めるやり方としては、あまりに拙速で場当たり的だ。

 そもそも、政府がこの判断基準を「福島第1原発事故の知見や教訓を踏まえた新たな安全規制の前倒し」と位置づけていることが納得できない。事故の検証はまだ終わっていない。基準の中身も新しいとは思えないからだ。

 3本柱からなる基準の一つ目は、電源車の配備など3月末に経済産業省の原子力安全・保安院がまとめた30項目の対策の中から短期的に実現できるものを抜き出しただけだ。

 二つ目の「福島第1原発を襲ったような地震や津波が来ても核燃料が損傷しないことを国が確認している」という基準も、ストレステスト(安全評価)の1次評価で確認できるというのが政府の見方だ。

 第3の基準には、免震事務棟の設置など中長期的な対策が含まれるが、これは電力各社が実施計画を示せばいいという。

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