プロローグはどうですか!
「紅茶をお持ちしました。お嬢様」
豪華な雰囲気、豪華な空気、「お金持ちってこうゆうところに住んでいるのだろう」と考える凡人のイメージを絵にでも描いたような部屋に、一人のメイドが入って行った。
「あら、もうそんな時間? ありがとう、四葉」
まるで人形のような少女がメイドを出迎える。
「いえ、わたしはお仕事なので」
「いいじゃない、あなたは私のメイド。どう? 一緒にお茶しない? 」
「いえ、ですから仕事ですので………て、どこ触っているのですか!!! 」
「いつ見ても四葉はかわいいわ。その涙ぐむその顔、食べちゃいたいくらい」
そう言うと「お嬢様」と呼ばれていた少女は四葉に顔を近づける。
「やめてください、お嬢様!! 」
四葉は顔を赤くして少女を押し退けると、全速力で部屋を出て逃げた。
「あっ、どこ行くの四葉! 四葉~~~~~!!! ちっ、逃げられたか……」
逃げる途中、四葉は少女の舌打ちが聞こえたような気がした。
「は…は…は…、危なかった」
逃走にどうにか成功した四葉は、廊下の壁にもたれるようにしゃがみこんだ。
「それにしてもメイド服って、フリフリが邪魔で走りにくいな…」
「メイド服を馬鹿にしてはいけませんよ」
どこからともなく、どう見ても執事にしか見えない男が現れた。
「氷柱崎さん…」
「いいですか、メイド服を馬鹿にするものは、メイド服に泣くという言葉があります。
君には、主人に仕える者の正装の意味をまだ理解できていない、だから!!
この私、氷柱崎ノースタスが2時間二人で……」
「そんな言葉は聞いたことないですし、メイド服についての講習会を受けるつもりはありません!!!!」
氷柱崎が正気に戻る。
「大変迷惑をかけた、実は一つ君に言い忘れたことがあって探していたところだった」
「戻るの早!! ん? 忘れていたこと? なんですか?」
四葉は首をかしげた。
「まあ、契約上の注意事項の一つなんだが……、
簡単に言うとお嬢様に君の正体がばれたら、君が死ぬということだ」
「へー、ぼくが死ぬんですか。……………。ぼくが死ぬ? 」
四葉の体がふるえだす。
「じょ…冗談はやめてくださいよっ! はは…ははは……」
「冗談ではない、本当のことだ」
「マジ、ですか」
「マジだ」
「じゃ…じゃあ、ぼく…この仕事やめさせていただきます!! 」
「それは無理だ」
四葉の目の前に氷柱崎は一枚の紙を突き出した。
「この契約書があるかぎり君はやめることができない」
「でっ、でも、人の命がかかっているんですよ! いくらなんでも…」
「もし、君が逃げたとしよう。そうなれば、お嬢様は血眼になって探し出し、君を処刑するだろう」
「結局死ぬ運命なんですか!!! 」
「メイドとしてここで働き、ばれて死ぬか。それとも、今から逃げ、捕まって死ぬか。
私はできれば最初のやつをお勧めします」
氷柱崎は微笑んだ。
「うぅ………」
どうしてこうなってしまったのだろうと、うめく四葉であった。
そして時は、約半日ほど遡る……
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