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催眠術で女子高生!?(6) by 抹茶レモン
「英ちゃん、起きなさい。朝よ」
次の朝、俺は母さんの声に起こされた。
ゆっさゆっさと揺さぶられる。
「母さんもう少しだけ……」
そのとき、はっと息を呑む音が。
「母さん?」
その顔は目を見開き口が開けっ放しで、何かに驚いているようだ。
「か……」
ゆっくりと母さんが口を開く。
「か?」
「かわい~いわぁ~!」
パアアァッ、と満面の笑みに。
「ちょ、母さん!?」
突然母さんは俺に飛びつき、そのままガッチリと俺をホールド。
「はなせぇ! くっ、この――」
振りほどこうともがくが、母さんは一向に俺を放そうとしない。
(体に力が入らない?)
それになんだか母さんの身体が大きく感じる。
「何してるんだ! 実の息子に抱きつくなんて――」
どうかしてる、と言いかけた俺は次の言葉で、とうとう母さんがおかしくなったのかと思った。
「もぉ~こんなに可愛い女の子になっちゃって!」
(お、おんな?)
全く話が理解できない。日本語の使い方を間違ったのか。それとも、目の前にいる母さんは頭をどこかにぶつけたのだろうか?
「母さん、一回落ち着いて――」
「ちょっと待っててね、英ちゃん」
突然変なことを言い始めた母さんは、どこかに行ってしまった。
(全く、何を考えてんだか……)
あの人の妄想癖はいつものことだが、
「今日は学校があるのにな」
迷惑以外の何者でもない。
(さっさと着替えて早めに行くか)
昨日の出来事をタカスケと相談したいしな。
そう思ってジッパーを下ろした瞬間だった。
ぽよんぽよん。
胸の辺りに奇妙な衝撃が。
(ぽよん?)
ふと下を見ると肌色の丸い物体二つが視界に入った。
(なんだこれ?)
試しに揉んでみる。
ふにふに、と手に柔らかい触感。それと同時に胸の辺りに何だかくすぐったいような気持ちいいような感覚が。
しばらく揉み続け、ようやく気づいた。
(こ、これは! まさか……)
これは『お』から始まるあれではないか?
(結構大きい……)
よく見ればその丸い物体を揉んでいる手もなんだか変だ。
(これが俺の手か?)
細い指、それとうっすらと白い綺麗な肌。まるで、女の手だ。
「わ、わけがわからん!」
「え・い・ちゃん? なにしてるの?」
そこにさっきまで居なかった母さんが戻ってきた。
その顔は面白そうに笑っている。
「べ、別に何もしてない!」
さっ、と後ろを向く俺。これでジャージがぬげているのは分からないだろう。
「はい。鏡よ」
「あ、あぁ」
絶対に前を向かないように受け取る。渡された物は確かに鏡だった。
(まさか、いやまさかな)
すーはーと深呼吸をして一度落ち着く。
(よし!)

キャラ絵:あまつ凛
(……………?)
輪郭はかわいらしい丸顔。大きくパッチリとしたタレ目に潤んだ瞳。困ったように傾いている眉毛。小さくて少し丸っこい鼻に、つややかな唇。なかなかの美少女、それもなんだか物憂げな美少女。
それが鏡に映っていた顔だった。
「だれだ……?」
思ったことがつい言葉に出てしまった。
あまりの驚きに顔のパーツが正確に理解できているかも不安だ。
試しに自分の顔に触れてみる。すると、目の前の少女がその顔に指を這わせる。
「こ、これは……!」
その言葉に合わせ、同じように少女が口を開く。
「ん~……やっぱり可愛い!」
「うわっ!」
さっきと同じようにまた母さんが俺に抱きつく。
「頬擦りするなぁ!」
すりすり、と頬と頬同士をこすり合わせる。
「本当に可愛いわね~」
「撫でるな!」
さらに俺の頭を撫でる。
「よしよし、いい子いい子」
(~~ッ!)
さすがにもう我慢できない。
「いい加減にしてくれぇ!」
どんっ、と母さんを突き放す。
現状を理解するだけでも大変なのに、母さんは俺にべったり。
「もぅ~、少しぐらいいいじゃないの。減るものじゃないし!」大人気なくすねる母さん。
減る。俺の中にある男としての尊厳、その他色んなものが確実に減る。というか無くなる。
(か、可愛いのは分かるが……って何考えてんだ!)
このままじゃいけないと直感的に思った俺は、とりあえず母さんを落ち着かせることにした。
「母さん、頼むから一度冷静に――」
「そうだわ、お父さんにも見せに行きましょう!」
(話を聞いてくれぇ……)
無駄に元気な母さんはお構いなしだ。
「さ、いくわよ!」
俺の手をつかみ、無理やり連れて行こうとする。
「やめてくれ! それだけは――」
実の息子が女になったと知れば、父さんはどうするだろうか? もしかしたら、赤の他人ということで警察に連絡するかもしれない。
(そんなことにはなりたくない!)
腕を何とかほどこうとしきりに引っ張ってみるが母さんの力には逆らえなかった。
結局、父さんのもとへと連れて行かれた。
リビングに行くと、父さんがいつもの席で新聞を読んでいた。
「お父さん、英ちゃんがすっかり可愛くなったのよ~」にこやかに微笑む。
「はぁ~……」と父さんがため息をつく。
多分いつもの妄想だろうと思っているのだろう。
しかし、これは紛れも無い現実だ。
「英次、母さん、お前が女になったとかくだらないことを言っているが、それは…………」
ゆっくりとこっちを向き、俺の姿を見る。
「え、英次!?」大きく目を見開く父さん。
それと同時にバサリと音を立てて新聞が床に落ちた。
どうやら気づいたようだ。この悲惨な状況に。
「と、父さん……おはよう……」
あいさつなんかしている場合では無いのは分かっている。でも、なんと言えばいいか分からない。
「え、英次!!」
ゴツイ手で俺の細くなってしまった肩をつかむ。
「痛ッ!」反射的に声を上げてしまう。
「あぁ……す、すまん」
咄嗟に手を上げる父さん。
(いつもなら何ともないのに)
それでも父さんの手を痛いと感じたのは、俺が女の子になってしまったのだからか。
「う~む」
俺の身体を頭からつま先まで見渡す父さん。
(あまり見ないでくれぇ……)
こんな姿になった上にその姿を実の父親に晒すとは、なんだか胸にくるものがある。
「と、とりあえず……。今日の学校は休め、な?」
あくまで現実的なことを言う父さん。
「そ、そうするよ」
よかった。このまま男装してまで行けと言うんじゃないかと、冷や冷やしていたころだ。
「もしもし。○○高校ですか、栗原と申します。江藤先生はいらっしゃいますか?」
気まずい。とにかく気まずい。
(なんで俺がこんな目に)
「こら、動かないの」
コツン、と手に持ったくしで俺の頭を軽く叩く。
「すみません……」
何故気まずいか、それは母さんが俺の伸びきった髪を、くしを使って丁寧にといているからだ。
実は「女の子なんだから髪のお手入れしないとね」と母さんが勝手にやっている。
母さんがとても楽しそうなので、もしかしたら1,2時間ずっとこのままかもしれない。
高校生にもなって、母親から髪の手入れをされるとは、何とも嫌な空気だ。
(それにしても……)
さっきからうなじにかかる母さんの吐息が妙にくすぐったい。
(前までこんなこと無かったのに――)
女性の肌は敏感だと聞いたことがあるが、これもその影響なのだろうか?
「……江藤先生ですか? じつは、うちの息子が急に熱を出したもので。えぇ、一日ほど休ませます。はい、そういうことで。では」ガチャリと電話を置く。
どうやら連絡は終わったようだ。
(虚しい……)
なんだか無性に悲しくなってきた。
ふぅ、とさっきまで電話で話していた父さんがため息をつく。慣れないことで疲れたのだろう。
「じゃあ、わたしはそろそろ仕事に行くからな」
「いってらっしゃい、お父さん」
母さんが父さんを送る。
ほら英ちゃんも、と言われたのでしぶしぶ。
「いってらっしゃい、父さん……」と言うと
「あ、あぁ」
父さんの頬が赤く染まった。
(何照れてんだ、父さん!)
「後の事は……頼んだぞ」
(何を頼むつもりだ、この変態め)
大股で父さんがリビングから出て行く。
二人きりになったところで母さんが
「すっかり女の子になっちゃって。安心して、お母さんがもっと女の子らしくしてあげますからね、英ちゃん?」と言った。
「な、なにを!」
「ま・ず・は~……これ!」
そう言って取り出したのは、二枚の布と紐で構成された純白のブラジャーだった。
「ぶはっ」
思わず吹いてしまった。
「なんで俺がそんなのものを――」
「何って、女の子なんだからちゃんと下着はつけないとね~」
じわりじわり、とブラジャーを片手に近寄る母さん。
「だれがつけるか!」
あらあら、と母さんは困ったような嬉しいような顔。
「母さん!!」
玄関から父さんが遂に横槍を入れる。
(父さん! やっぱり俺のことを――)
「せめて……」
(な、なにを?)
何故か恥ずかしそうに声を抑える父さん。
「可愛く、な……?」
「裏切りものおおぉ!」
何てこった。あの父さんまでもが俺ことを着せ替え人形にしようというのか!
「うふふ、もちろんよお父さん♪ さぁ、英ちゃん。お着替えしましょうね~!」
それを聞いた母さんは、さらに手を怪しく動かし始める。
とんでもない発言をした張本人はというと。
「じゃあ、いってくる……」と言って、そそくさといなくなってしまった。
「何が『可愛く、な……?』だ! このロクデナシ!」
そんな俺の叫び声は仕事へと出かけていった父さんに届かず、虚しくリビングに響いただけだった。
「さぁ、英ちゃん。着替えましょうね~」
無理やりにでもこの母親は俺に下着をつけさせたいらしい。
「い・や・だ!」
全力で抵抗する俺。
「全く、女の子が我がまま言っちゃいけません」
優しく俺をたしなめる母さん。
「下着をつけるのはマナーなのよ? それに――」
(な、なにを……)
怪しげな笑みを浮かべる母さん。
「おっぱいだってこんなに大きいんだからぁ」
「ッ! も、もむなぁ!」
ふにふに、と俺の胸を揉みしごく。その手の動きに合わせ、丸い物体がぐにゃりぐにゃりと形を変える。
「あぁん!」
(って、変な声を出してる場合じゃない!)
正直、少しだけ気持ち良かった。
「やめてくれぇ!」
なんとか手を振りほどいて、母さんから距離を取る。
「これで分かった? 女の子のおっぱいは形が崩れやすいのよ。特に英ちゃんみたいな大きな子は……」
(女の下着? 俺が、あれを?)
母さんの言葉は、もはや俺の耳には届いてなかった。
(男の俺があんなものをつける? そんなの――)
何とか逃げようとするが、後ろは壁。逃げ道は無い。
「いやだああぁぁ!!」
〈続く〉
次の朝、俺は母さんの声に起こされた。
ゆっさゆっさと揺さぶられる。
「母さんもう少しだけ……」
そのとき、はっと息を呑む音が。
「母さん?」
その顔は目を見開き口が開けっ放しで、何かに驚いているようだ。
「か……」
ゆっくりと母さんが口を開く。
「か?」
「かわい~いわぁ~!」
パアアァッ、と満面の笑みに。
「ちょ、母さん!?」
突然母さんは俺に飛びつき、そのままガッチリと俺をホールド。
「はなせぇ! くっ、この――」
振りほどこうともがくが、母さんは一向に俺を放そうとしない。
(体に力が入らない?)
それになんだか母さんの身体が大きく感じる。
「何してるんだ! 実の息子に抱きつくなんて――」
どうかしてる、と言いかけた俺は次の言葉で、とうとう母さんがおかしくなったのかと思った。
「もぉ~こんなに可愛い女の子になっちゃって!」
(お、おんな?)
全く話が理解できない。日本語の使い方を間違ったのか。それとも、目の前にいる母さんは頭をどこかにぶつけたのだろうか?
「母さん、一回落ち着いて――」
「ちょっと待っててね、英ちゃん」
突然変なことを言い始めた母さんは、どこかに行ってしまった。
(全く、何を考えてんだか……)
あの人の妄想癖はいつものことだが、
「今日は学校があるのにな」
迷惑以外の何者でもない。
(さっさと着替えて早めに行くか)
昨日の出来事をタカスケと相談したいしな。
そう思ってジッパーを下ろした瞬間だった。
ぽよんぽよん。
胸の辺りに奇妙な衝撃が。
(ぽよん?)
ふと下を見ると肌色の丸い物体二つが視界に入った。
(なんだこれ?)
試しに揉んでみる。
ふにふに、と手に柔らかい触感。それと同時に胸の辺りに何だかくすぐったいような気持ちいいような感覚が。
しばらく揉み続け、ようやく気づいた。
(こ、これは! まさか……)
これは『お』から始まるあれではないか?
(結構大きい……)
よく見ればその丸い物体を揉んでいる手もなんだか変だ。
(これが俺の手か?)
細い指、それとうっすらと白い綺麗な肌。まるで、女の手だ。
「わ、わけがわからん!」
「え・い・ちゃん? なにしてるの?」
そこにさっきまで居なかった母さんが戻ってきた。
その顔は面白そうに笑っている。
「べ、別に何もしてない!」
さっ、と後ろを向く俺。これでジャージがぬげているのは分からないだろう。
「はい。鏡よ」
「あ、あぁ」
絶対に前を向かないように受け取る。渡された物は確かに鏡だった。
(まさか、いやまさかな)
すーはーと深呼吸をして一度落ち着く。
(よし!)
キャラ絵:あまつ凛
(……………?)
輪郭はかわいらしい丸顔。大きくパッチリとしたタレ目に潤んだ瞳。困ったように傾いている眉毛。小さくて少し丸っこい鼻に、つややかな唇。なかなかの美少女、それもなんだか物憂げな美少女。
それが鏡に映っていた顔だった。
「だれだ……?」
思ったことがつい言葉に出てしまった。
あまりの驚きに顔のパーツが正確に理解できているかも不安だ。
試しに自分の顔に触れてみる。すると、目の前の少女がその顔に指を這わせる。
「こ、これは……!」
その言葉に合わせ、同じように少女が口を開く。
「ん~……やっぱり可愛い!」
「うわっ!」
さっきと同じようにまた母さんが俺に抱きつく。
「頬擦りするなぁ!」
すりすり、と頬と頬同士をこすり合わせる。
「本当に可愛いわね~」
「撫でるな!」
さらに俺の頭を撫でる。
「よしよし、いい子いい子」
(~~ッ!)
さすがにもう我慢できない。
「いい加減にしてくれぇ!」
どんっ、と母さんを突き放す。
現状を理解するだけでも大変なのに、母さんは俺にべったり。
「もぅ~、少しぐらいいいじゃないの。減るものじゃないし!」大人気なくすねる母さん。
減る。俺の中にある男としての尊厳、その他色んなものが確実に減る。というか無くなる。
(か、可愛いのは分かるが……って何考えてんだ!)
このままじゃいけないと直感的に思った俺は、とりあえず母さんを落ち着かせることにした。
「母さん、頼むから一度冷静に――」
「そうだわ、お父さんにも見せに行きましょう!」
(話を聞いてくれぇ……)
無駄に元気な母さんはお構いなしだ。
「さ、いくわよ!」
俺の手をつかみ、無理やり連れて行こうとする。
「やめてくれ! それだけは――」
実の息子が女になったと知れば、父さんはどうするだろうか? もしかしたら、赤の他人ということで警察に連絡するかもしれない。
(そんなことにはなりたくない!)
腕を何とかほどこうとしきりに引っ張ってみるが母さんの力には逆らえなかった。
結局、父さんのもとへと連れて行かれた。
リビングに行くと、父さんがいつもの席で新聞を読んでいた。
「お父さん、英ちゃんがすっかり可愛くなったのよ~」にこやかに微笑む。
「はぁ~……」と父さんがため息をつく。
多分いつもの妄想だろうと思っているのだろう。
しかし、これは紛れも無い現実だ。
「英次、母さん、お前が女になったとかくだらないことを言っているが、それは…………」
ゆっくりとこっちを向き、俺の姿を見る。
「え、英次!?」大きく目を見開く父さん。
それと同時にバサリと音を立てて新聞が床に落ちた。
どうやら気づいたようだ。この悲惨な状況に。
「と、父さん……おはよう……」
あいさつなんかしている場合では無いのは分かっている。でも、なんと言えばいいか分からない。
「え、英次!!」
ゴツイ手で俺の細くなってしまった肩をつかむ。
「痛ッ!」反射的に声を上げてしまう。
「あぁ……す、すまん」
咄嗟に手を上げる父さん。
(いつもなら何ともないのに)
それでも父さんの手を痛いと感じたのは、俺が女の子になってしまったのだからか。
「う~む」
俺の身体を頭からつま先まで見渡す父さん。
(あまり見ないでくれぇ……)
こんな姿になった上にその姿を実の父親に晒すとは、なんだか胸にくるものがある。
「と、とりあえず……。今日の学校は休め、な?」
あくまで現実的なことを言う父さん。
「そ、そうするよ」
よかった。このまま男装してまで行けと言うんじゃないかと、冷や冷やしていたころだ。
「もしもし。○○高校ですか、栗原と申します。江藤先生はいらっしゃいますか?」
気まずい。とにかく気まずい。
(なんで俺がこんな目に)
「こら、動かないの」
コツン、と手に持ったくしで俺の頭を軽く叩く。
「すみません……」
何故気まずいか、それは母さんが俺の伸びきった髪を、くしを使って丁寧にといているからだ。
実は「女の子なんだから髪のお手入れしないとね」と母さんが勝手にやっている。
母さんがとても楽しそうなので、もしかしたら1,2時間ずっとこのままかもしれない。
高校生にもなって、母親から髪の手入れをされるとは、何とも嫌な空気だ。
(それにしても……)
さっきからうなじにかかる母さんの吐息が妙にくすぐったい。
(前までこんなこと無かったのに――)
女性の肌は敏感だと聞いたことがあるが、これもその影響なのだろうか?
「……江藤先生ですか? じつは、うちの息子が急に熱を出したもので。えぇ、一日ほど休ませます。はい、そういうことで。では」ガチャリと電話を置く。
どうやら連絡は終わったようだ。
(虚しい……)
なんだか無性に悲しくなってきた。
ふぅ、とさっきまで電話で話していた父さんがため息をつく。慣れないことで疲れたのだろう。
「じゃあ、わたしはそろそろ仕事に行くからな」
「いってらっしゃい、お父さん」
母さんが父さんを送る。
ほら英ちゃんも、と言われたのでしぶしぶ。
「いってらっしゃい、父さん……」と言うと
「あ、あぁ」
父さんの頬が赤く染まった。
(何照れてんだ、父さん!)
「後の事は……頼んだぞ」
(何を頼むつもりだ、この変態め)
大股で父さんがリビングから出て行く。
二人きりになったところで母さんが
「すっかり女の子になっちゃって。安心して、お母さんがもっと女の子らしくしてあげますからね、英ちゃん?」と言った。
「な、なにを!」
「ま・ず・は~……これ!」
そう言って取り出したのは、二枚の布と紐で構成された純白のブラジャーだった。
「ぶはっ」
思わず吹いてしまった。
「なんで俺がそんなのものを――」
「何って、女の子なんだからちゃんと下着はつけないとね~」
じわりじわり、とブラジャーを片手に近寄る母さん。
「だれがつけるか!」
あらあら、と母さんは困ったような嬉しいような顔。
「母さん!!」
玄関から父さんが遂に横槍を入れる。
(父さん! やっぱり俺のことを――)
「せめて……」
(な、なにを?)
何故か恥ずかしそうに声を抑える父さん。
「可愛く、な……?」
「裏切りものおおぉ!」
何てこった。あの父さんまでもが俺ことを着せ替え人形にしようというのか!
「うふふ、もちろんよお父さん♪ さぁ、英ちゃん。お着替えしましょうね~!」
それを聞いた母さんは、さらに手を怪しく動かし始める。
とんでもない発言をした張本人はというと。
「じゃあ、いってくる……」と言って、そそくさといなくなってしまった。
「何が『可愛く、な……?』だ! このロクデナシ!」
そんな俺の叫び声は仕事へと出かけていった父さんに届かず、虚しくリビングに響いただけだった。
「さぁ、英ちゃん。着替えましょうね~」
無理やりにでもこの母親は俺に下着をつけさせたいらしい。
「い・や・だ!」
全力で抵抗する俺。
「全く、女の子が我がまま言っちゃいけません」
優しく俺をたしなめる母さん。
「下着をつけるのはマナーなのよ? それに――」
(な、なにを……)
怪しげな笑みを浮かべる母さん。
「おっぱいだってこんなに大きいんだからぁ」
「ッ! も、もむなぁ!」
ふにふに、と俺の胸を揉みしごく。その手の動きに合わせ、丸い物体がぐにゃりぐにゃりと形を変える。
「あぁん!」
(って、変な声を出してる場合じゃない!)
正直、少しだけ気持ち良かった。
「やめてくれぇ!」
なんとか手を振りほどいて、母さんから距離を取る。
「これで分かった? 女の子のおっぱいは形が崩れやすいのよ。特に英ちゃんみたいな大きな子は……」
(女の下着? 俺が、あれを?)
母さんの言葉は、もはや俺の耳には届いてなかった。
(男の俺があんなものをつける? そんなの――)
何とか逃げようとするが、後ろは壁。逃げ道は無い。
「いやだああぁぁ!!」
〈続く〉
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