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  あいつ番外編 女装 作者:サー・トーマス
濃厚な性描写あります。山野林梧様から頂いた挿絵がサー・トーマスのサイトに掲載されています。
一 疑惑
「俺、絶対に嫌だ!」
「なあ、林太郎!頼むよ!ビールが十箱も貰えるんだぜ!」
「そうだ、そうだ!りんちゃんよ!お前なら絶対優勝だから!」
 部室の隅にある高い丸椅子に、片足を膝に組んで横を向く林太郎を囲んで、サッカー部の連中が必死に口説いていた。
「ビールなんか俺、要らないよ!」
 部長が必死に説得する。
「おお・・りんよ!ビールがあればこの世は天国なんだぞ!合コンも安いところで出来るし・・・」
 あいつが怒り顔で部長を睨む。
「合コンなんて・・・(興味ない!)」
「おい!水泳部から助っ人だ!」
 Hがサッカー部の友達に頼まれて入ってきた。びっくりするあいつ。
「やっちゃん!」
 Hは頭を掻き掻き言った。
「・・・りん、水泳部もサッカー部と提携してるんだ・・・俺たちの中で優勝者が出れば一緒に分け合うんだ・・・りん!」
 Hは膝を突然突いて、両手を顔の前で組んで嘆願した!
「りんちゃん様!この三ヶ月、俺たちは金が無くて一回も合コンしてないんだ!・・・お願いだ!俺たちを救ってくれーっ!」

 *++*

「おい、りん!どこに行くんだ?」
 あいつは俺の顔をチラと見ると、
「・・・ちょっと『部』の集まりがあるんだ。サッド・カフェに行って待ってなよ」
「・・・分かった。一緒に帰るだろ?」
「うん、バイクだから一緒に帰ろ」
 林太郎は大学の文化祭の人混みに消えていった。サッカー部で何かやるのだろう。
 出口に近づくと執行部の連中が拡声器で呼び込みをやっている。
「文化祭のクライマックス!部活男子によるコスプレ・女装大会が始まりますよ!」
 物好きな連中もいるもんだ。俺は筋骨逞しい、化け物のような運動部員達の女装姿を想像して身震いした。
 Hが足早にキャンパスの奥に行く姿を見つけた。
「おい、H!サッド・カフェに行かないか?」
 Hは俺の顔をちらと見ると目を逸らして、
「あ・・・ああ、後で行くから先に行ってろよ」
「?」
 とりつく島もなく、Hは後ろ姿で手を振りながら体育館の方に行った。

「君、体育館で何が始まるんだ?」
 俺は呼び込みをやっていた後輩の一人に聞いた。
「あれ、知らないんですか?あそこで、これから女装大会が始まりますよ!」
「・・・」
 後輩が口に手を持ってゆき小声で、
「何しろ、柳生さんと水谷さんが出るんでしょ。もう大変な騒ぎですよ!僕もこれから行きます!」
 俺は仰天した!あいつは俺に何も言わずに・・・いや知らせずに、俺をサッド・カフェに行かせようとしたのだ!Hも!


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