女装趣味
六月。金曜の夜。俺は壮年の男性の後ろにつき従いビルの廊下を歩いていた。
「萩原。今日はまだ何か(予定)あったか?」
エネルギッシュな五十台もさすがに疲れた表情を隠せず俺に尋ねる。
「いえ。社長。本日のスケジュールはすべて終わりました」
俺は淡々と告げる。
「そうか。それじゃ帰るとするかな」
ほっとしたように言う。
彼はこの会社の社長。その専属秘書が俺の仕事だ。
ビジネスの世界で男たち相手に息詰まる。まるで戦場のような職場。
そこから解放の時間が来た。
ビル前で社長が車に乗るのを見送る。
「それじゃ月曜にな。お前も早く帰って休め。萩原」
「はっ」
車が走り去るまで俺はその場にいた。
休めとは言うが多分これから恋人のところだろう。
仕事一筋で独身ではあるが唯一の楽しみが数いる女性たちとのデートらしい。
無論これは俺の管理の範囲外。
そうとも。俺には俺のプライベートタイムがある。
「お疲れ様」
声をかけてくるのは女性秘書のナンバー1.田中愛弓。
長い髪の美女だ。スレンダーボディに不釣合い気味の大きな胸が男心をそそる。
(いいな)
たいていの男とは違う意味で俺は思う。
「どうだい? 今日は一杯?」
一応は声をかける。彼女はちょっとだけ考えるしぐさをするが笑顔で断りを入れる。
「ごめんなさい。今日は秘書課の子達と約束しているの。ホラーナイトよ」
ものすごい美人で性格もいいが、ちょっと変な趣味で超能力とか幽霊あたりを信じている。
今夜も似たような趣味の女同士で映画とかおしゃべりに興じるのだろう。
そういう理解されにくい趣味と言うのは胸中が理解できる。俺も人にはいえない趣味があるし。
「そうか。たまには付き合ってほしいもんだな」
などといっているが俺は心の中でガッツポーズ。
こういうところを見せておけば「普通」に見える。
もちろん予定があるのを見越してのアプローチ。
むしろ乗ってこられたら困ったがそれはないと確信していた。
何しろ貴重な自由時間。男相手にしている暇などないのだろう。
その点では俺も同じ。だからわかる。
「また今度ね。電話くれる?」
仕事の上で必要なので互いの番号は登録してある。もっとも仕事でしかかけたことはない。
俺とこの女の間にそんな色っぽい物はない。
「ああ。それじゃお休み」
当たり障りのない会話で切り上げる。
社長が帰宅して俺も自由な時間になった。
いろいろとビジネス上の秘密を抱えてストレスを溜めていたがそれをしばらく忘れよう。
この堅苦しいスーツも早く脱いでしまいたい。
その思いが俺を急がせる。
マンションにまっすぐ帰るとすぐさま浴室で汗を流す。
それから入念にチェック。前回の脱毛処理から一週間。遠目には脛毛も腋毛も胸毛もないが、近寄るとうっすらと。
どうすっかな? でもまだ長袖やストッキングでいけるし、もう少し伸びてから脱毛剤を使いたいから今回はひげだけにするか。
俺は丁寧にひげをそり落とした。以前引っこ抜いたんだがなぁ。
いっそ永久脱毛処理でもしてもらおうか?
職業柄ひげはないほうが望ましいので誰も不審に思わない。
さっぱりした俺はバッグを手に俺は新宿へと足を向けた。
とあるスナック。俺はそこに入る。
「あら。いらっしゃい」
大柄な「ママ」が迎えてくれる。
けばい化粧と派手なワンピース。不自然に大きな胸だった。
「今夜も…頼む」
あまり堂々と出来ないからどうしても伏目がちに。
ママにはそんな俺の心中がわかってもらえる。「彼女」は俺を奥へと急がせる。
「ふふ。早くきてね。麻衣子ちゃん」
俺ははやる気持ちを抑えつつ奥へと。
奥の小部屋で荷物をあける。着ていた男物を脱いでしまう。シャツ。ランニングシャツ。そしてブリーフも脱ぎ全裸になる。
荷物からかわいらしいピンクのショーツを取り出して足を通す。
このときばかしはほんと男のシンボルが邪魔に感じる。
後方に折り曲げて、そして一部は体内に押し込んでなるべくフラットにしてから下着をつける。
あ。フィット感が。
それからセットになっている同じ色のブラジャーを。
通販で手にした100D。アンダーサイズが100ともなると小さいカップはなかなかない。
だから必然的に「巨乳」になる。パッドを入れて形を整える。
キャミソールを着たらストッキング。そしてワンピースを。
「ふう。さあ。次はお化粧ね」
ブラでもうスイッチが入っているわね。あたしは自前のメイクセットを取り出して鏡台の前に。
化粧水。ベースメイク。浅黒い肌が真っ白に変わっていく。
歌舞伎のメイクみたいだけどこのくらいしないと女の顔にならないわ。
それからアイメイクや頬紅。今日はピンクのルージュで清純派で行こうかしら?
ああ。楽しい。どんどん女の顔に変わっていくわ。
マニキュアが乾いてから耳にイヤリング。本当はピアスをしたいけど社長秘書という仕事の手前ピアス穴は無理。
女ならいいけど男のピアスは日本ではまだ否定的だし。
海外では男女関係なくファッションとして認められているのにね。
そこまでしてからオレンジ交じりの茶髪のウィッグ。お尻まで届く長さ。
あたしは鏡で自分をチェックする。
「うん。かわいく出来たわよ。麻衣子」
この瞬間に社長秘書。萩原和幸は一人のホステス。萩原麻衣子になった。
さぁ。ちょっとの間だけど男はお休みよ。
今夜のあたしは女の子。
すっかり女の子気分であたしはお店へと。
お堅い社長秘書。スポーツが趣味の32歳。萩原和幸の誰にもいえない趣味は「女装」だった。
この趣味に気がついたのは小学生くらい。
女の子の服を着てみたいと思った。そして母の服を黙って着てみたりもした。
中学時代はそんな思いを消そうとスポーツで発散させようとした。
おかげでそれなりの体格になった。
勉強にも打ち込んだ。おかげで割りといい大学に浪人せず進み、今は社長秘書だ。
いったんは消えたと思っていた女性服への憧れ。
しかし社会人になり自由な金と一人の空間を得た。
そしてネットで知った女装趣味の人間の多さと、そういう者達を満たす店の存在。
最初はそういう店にこっそり出向いていたが、通販で女性服や化粧品を入手できるとなったら自宅で女の姿になることのほうが多くなった。
朝起きて夜寝るまで女の姿のまま。明日の土曜がまさにその予定。
日曜はさすがに遅くても夕方には男になるけど。
普段は無難に分けている短い髪。
その反動なのかカツラはやたらにロングなものが多い。
黒髪。茶髪。金髪。中にはアニメの女装コスプレをするべく用意したピンクのもある。
衣装もほとんどがかわいらしいタイプだ。
この180センチある浅黒い肌の俺に似合わないのは百も承知。
でもこれが着たかった。それだけ。
そしてこれまたネットで知った女装してホステスの真似事の出来る店。それがここ。
勤務地からはやや離れているが自宅からは二駅程度。
ここでは誰もがあたしを女扱いしてくれる。
「麻衣子ちゃん。今日もきれいだね」
「やだもぉーっ。社長さんたらー。うまいんだから」
酔ってなかったら冷静に自分に突っ込んでいたであろう「オカマ声」で「おねえ言葉」
やたらに語尾を延ばして精一杯の女の振り。
いいのよ。今は女(の、つもり)なんだから。
あたしはマニキュアで彩られた手で口元を隠しつつ笑った。
カウンターの別の男の人がタバコを口にする。
「はい」
あたしはライターで火をつけてあげる。
こういう細やかで女性的なことをしているとなんだかほんとの女になった気分で、ちょっとの間は男を忘れられる。
いい気分転換なの。
「サンキュ」
そのお客さんは一口吸うと煙を吐き出す。
ただうっかりあたしの方にだ。
「けほっ。けほっ」
「あ。ごめんごめん。麻衣子ちゃんタバコダメなんだよね」
「例え吸ってても煙を吐き出す方向は気をつけないとダメですよ」
あたしはあくまでかわいらしく注意する。
男のように罵声を浴びせたりしない。今のあたしは女なんだから。
「それでね。麻衣子さん。最近は彼が冷たくて。ベッドの中ではやさしいのに終わると醒めちゃって」
この店は男性専用ではない。女性も来る。
同業者(?)と思しき派手な女性。
あ。男のときの秘書と言う意味じゃなくて今の姿の「ホステス」と言う意味での同業者。
男でも女でもないと言うより男でも女でもあると言う扱いでか相談をもちかけられることもある。
「ひっどい男よねぇ。そんなの振っちゃいなさい」
「で、でも優しいところもあるし」
「気の迷い。そんな男ろくでもないから捨てなさい」
「うーん」
ああ。ここまで言われて迷っているようじゃ別れそうにないわね。
それにしてもこの娘。結構可愛いし、いい体なんだけどこの姿の時は不思議なほど何も感じない。
心から乙女になりきっているのかしら? あたし。
だからっていい男にときめいたりしないけど。
接客をしていたにもかかわらず最後はこちらが払って帰る。
別にいいわ。女として扱われていた時間の対価なら。
そう。本来は客。だから好きな時間に帰る。
「ママさん。それじゃそろそろ」
「あら。もうこんな時間? 気をつけてね。女の子の夜道は危険だから」
「はーい」
あたしは「同類」であるママに挨拶すると荷物を手に帰途につく。
男になんかもうならない。
午前三時。あたしは女の姿でふらふらと歩く。
したたかに酔っちゃったみたい。。
さすがの新宿も人がまばら。たまにあたしに目を向ける人もいるけど土地柄ゆえもう誰も気に留めない。
だからあたしはこの時間に思う存分女の子として散歩できるのだ。
「ちょっと。そこのお嬢さん」
真向かいからきた自転車の警察官たちの一人があたしを呼び止める。割と若い。いい男だけどあたしはそんな趣味はない。
女装していると恋愛対象が男なのかとよく言われるけどあたしはそういうわけじゃない。
この偏見にはさすがに閉口していた。
中には本当に男が好きな人もいる。
と、言うかそういう人たちは本当に女になりたくて。
それで恋愛対象も「異性」とみなしている男なんだと思う。
けどみんながみんなそういうわけじゃない。少なくともあたしは違う。
逆に男姿で男の人が好きな人もいるわけだし。
別にやましいことはしていない。あたしは協力的な態度で応じることにした。
「なにかしらぁ。おまわりさん」
ただでさえ男の裏声の上に酒でひどくなっている。
「げっ。オカマかよ」
小さく口にしたのをあたしは聞き逃さなかった。
「ちょっと!? それって差別用語じゃない?」
女だったらキンキン声。でも酒でつぶれているからしゃがれ気味であたしは怒鳴る。
「いや、あの…」
おまわりさんも失言と思っていたらしい。
彼にしてみりゃ女性の一人歩きだから用心で声をかけたんだろうけど、それがとんだ見込み違いだったと言うわけ。
けどあたしはむかついた。
「なによ。女装して歩いていたらそれだけで犯罪なの? 別に女湯や女子トイレになんて入ってないわよ」
普段のストレスかあたしはやや沸点が低い。
「い、いえ。そういうわけじゃ」
「大体不公平だと思わない? 女が男のかっこうして真昼間に歩いていても何も問題ないのに、男がスカートはいてると真夜中に職質されるの?」
あたしは普段の不満を口にした。
普段は職業柄口数は少ないが、スカートをはいていると女性的になるみたいで口が先に出る。
あたしの責めに若い警官はたじろいでいる。
「こんな夜中に女性の一人歩きは危ないですよ。大丈夫ですか」
もう一人の三十前半と思しき警官が助け舟を出す。
新宿では長いみたいね。「女扱い」とは扱いを心得たものだわ。
「平気ですよ。もうすぐそこですから」
あたしも大人の対応をすることにした。
「そうですか。ではお気をつけて」
厄介な相手にかかわりたくないと言うのを露骨に態度に出して彼らは立ち去った。
切れたせいかしら? 酔いがひどくなってきた。
したたかに酔った状態でふらふらと歩く。
あれ? なんか道がおかしい?
まるで見覚えのない場所に。
(ま、いっかぁ)
あたしはなにも考えずに歩き続ける。
やがて神社にたどり着いた。
神社だからかもしれないけど神秘的。ただなんかもやのかかったような感じ。
夜中というのを差し引いても見えにくい。
冬なら都内でももやくらいあるかもだけど今は六月。初夏だ。考えにくい。
「変ねぇ。神社なんてこのあたりにあったかしら?」
疑問には思うがアルコールで麻痺した頭では長続きしない。
そして酔っ払いの特性で脈絡のない行動にでる。
「せっかくだからおまいりして行きましょ」
拝殿が開いている。こんな真夜中に……と、素面なら思ったかもしれない。
そのときはまるで考えず財布から一万円札を。
何でかそのときは「本気」だったらしくそれだけの金額を出していた。
賽銭箱に投げ入れ手を打つ。そして祈る。
(真昼でも堂々とスカートで歩きたいです)
願ったのはシンプルにそれだけだった。
あたしは再び家へと向かう。
今度は迷わずたどり着く。
だいぶ酔っていたあたしはメイクも落とさないままベッドに倒れこんだ。
うう。飲みすぎかしら。気持ち悪い。
朝。俺はゆっくりと体を起こす。
酔いが醒めたか? 精神的に男モードだ。
「うう」
なんか違和感を感じて頭を振る。
さらさらと長い髪が零れ落ちる。
視線を足のほうに向けるとワンピース姿。胸も盛り上がっている。
確かに肩にブラのストラップの感触がある。
ああ。また酔って女装のまま寝ちまったか。カツラすらはずしてないな。
今日も女装三昧のつもりだがさすがにタバコくさいのはごめんだから着替える。
ついでに汗を流すためにシャワーを浴びるか。
その前にトイレ。
俺はまだ酔っているのかふらふらと妙にバランスのおかしい体でトイレへと。
洋式トイレ。必ず座ってしている。これは男の姿。女の姿問わずにである。
男の姿でも女のように座って用を足す習慣が出来ていた。
外でも状況が許せば座ってしている。
少し趣味が私生活を脅かしているというか。
ひざまでショーツを下ろして洋式トイレに腰掛ける。
なんか出方に違和感があるけど酔っているせいかな?
終わってショーツを引き上げる。股間に湿り気。それも今ので濡れている。
何で? 何で濡れるの?
ホースの先端から出ているわけだし。これじゃまるで体内から直接出ているかのような…まさかな。
とは言え実際に濡れている。ふくべくまた下着を下ろして股間に紙を当て……ない!?
俺の酔いは一気にさめた。
正気に帰って股間をまさぐるが何もない。
そんな馬鹿な!? 気のせいだ。まだ酔っているか寝ぼけているんだ。夢だ。
俺は現実を認める気にならず下着を引き上げてトイレをでる。
そのままシャワーを浴びようと浴室へ移動。
まずカツラをはずしにかかるが
「痛っ!」
髪を引っ張る感触が。地毛に絡んだのか?
しかめっ面をしてなんとなく鏡を見る。
大きく盛り上がった胸元はいい。ブラとパッドで作ったままだ。
ただ背中にブラの感触がないのに前のほうにはやたら未知の刺激があるのが気になるが。
そして顔。俺、こんなにメイクうまかった?
まるで違和感のない白い肌。長いまつげの大きな目。小さな鼻。ほんのりとピンクの唇。
どう見ても口紅の色ではない。ナチュラルメイクてもここまでは行かない。
さらに言うと鏡の中の顔の位置。
いつもはかがむようにして顔が見えるが今は下のほうに。
猛烈に嫌な予感がして俺は服を脱ぐ。カツラは後回し。
体の肌も顔以上に白くて滑らか。
ブラもショーツも前夜つけたものだけどショーツが割とフィットしているのに対してブラはスカスカだった。
どうやらホックが外れたらしい。
ブラを脱ごうとしたら肩紐が外れてそのまま下にずり落ちてお尻に引っかかった。
しかもホックは外れていない。サイズが極端に大きい物をつけてずり落ちたと言う感じ。
「え……なにこれ?」
ブラが外れたというのにたわわなふくらみが消えてない。
カップにだけはフィットしていたからサイズとしてはDカップだろうか。
「パッドがはり付いたの?」
二度まで声を出して気がついた。
何だこのソプラノは? アニメ声優でもないとまずないであろう高い声。
普通にしゃべると女にしか聞こえない。
最終確認で再びショーツを下ろす。そこにはやはり何もなかった。
「お……俺、女になったと言うのか?」
あまりな事態に俺はめまいを起こして全裸のままその場に崩れ落ちた。
とりあえずシャワーを浴びる。
汗臭いのと(ちなみに汗のにおいまですでに女のそれになっていた)冷静になるためだ。
長い髪が裸身にまとわりつく。さすがの俺も女装したまま風呂には入るわけがない。
こんな長い髪で入浴するのは初めてだ。なんかやりかた間違っている気が。
女装のとき以上に長く太ももに達する長さ。元のカツラの長さそのまま? 身長が縮んだからこの位置に毛先?
ぬるま湯を浴びながら原因を考える。
やはりあの不思議な神社での願い事のせいか?
俺としては女が男の格好をしてもとがめられないなら、男がスカート穿いてもいいようになればいいと言うつもりだった。
別に女になりたかったわけじゃない。
そりゃ確かにこの姿ならいくらでも女装(…と言うのも変か?)出来るが。
女が女の服を着ているんだし。
そもそも中も女なのか?
まぁこのままの姿でいれば一ヶ月のうちに生理でもきて証明されると思うが……それはかなり怖いな。
そうだよ。このままも何もとりあえず月曜の会社。いや。それ以前に今どうする?
これだけの異常事態。何もまとまるはずもなく俺はシャワーを切り上げた。
ところがそこからが大変だった。着る服がない。
まず男性服だがぶかぶか。それに感触がきつい。
男の時は感じなかったがかなり硬い。女の柔肌には少々ハード。
もうちょっとデリケートでないと。
それなら女物だがそれも困った。
女装趣味なんだ。女性服には困らんだろう。そう思うのはもっともだ。
当たり前だが元の肉体にあわせた女性服。感触はよくてもサイズがまるで違う。
今の身長はたぶん元より2~30センチは低い。肩幅も狭い。全体的な印象も華奢だ。
測ってみたらアンダーバストが66.元は約100.その差30センチ以上。
だから最初にしていたブラがずり落ちたらしい。そういやずいぶんなで肩だ。
ただしカップサイズだけはあっている。
カップだけ合っていてもアンダーが駄目だから数あるブラジャーがまるで役に立たない。
仕方ないのでノーブラ。現実にしてない女がいないわけじゃない。
以前に間違って買った小さめのTシャツを着る。
それでも今の肉体には大きいが直接アウターに胸が接触するよりはまし。
下のほうはなんとかと思ったら違和感を感じる。どこかスキマがある。
あ。そうか。男のシンボルのあたる部分が延びてたんだ。
確かまだ……あったあった。まだ下ろしてない新品が。
よし。これならいい。しっくりくる。
しかし実際に「あれ」がなくなってから穿いてみると物凄いフィット感。
もし逆に男になった女がいたらさぞかし股間の物が邪魔に感じるだろうなぁ。
うん。女装の時は邪魔に感じたけど、本当になくなったらとてつもない喪失感が。
スカートはほとんど駄目。ウエストがまるで違う。
安全ピンで詰めようと思ったが無理が。
幸いジャンパースカートがあったのでそれで何とか。大きめだからずり落ちそうだが肩幅が融通利くので何とかなる。。
ついでにノーブラでTシャツだけの胸元もカバー。
元の肉体のときは膝丈だったが今はくるぶしを覆いそうだ。
結構不恰好なシルエットだがやむをえん。
外にでていろいろ調達しないと。
どこかまだ事態の重大さを認識しきれてなかったのか?
何しろここまで非常識だと非現実的で「夢物語」に思える。
だからかここで「女装趣味」が頭を持ち上げてきた。
そう。メイクである。
チェックしてわかったがノーメイクの状態だった。
ちなみにブラパッドやカツラもなくなっていた。この肉体に融合したのか?
とにかく成人女性がノーメイクで出歩くわけはないしやはり好奇心で。
(後で聞いたがいないこともないらしい。自分が男なのに化粧するから生粋の女は絶対すると言う思い込み)
だがこれがうまく行かない。
なにしろ今までは男の顔で女に見えるようにメイクしていたのだ。
どうも厚塗りになる傾向がある。
この白い肌には不似合いだった。
ほんの少しで彩が変わる。
それを理解するのにかなりの時間がかかった。
やっと外に出れる状態になる。
あくまで近所を歩けるというレベル。
腹も減っていたがとにかく胸が落ち着かない。それを何とかするのが最優先だった。
この可能性を忘れていた。靴だ。ぶかぶかもいい所。男物は幅の点でもダメ。こんなんで歩いたら三歩でこける。
一応は女物もあるが何しろ27センチ。3センチはあまっている。
しかもヒールがあるからフィットして無いと歩きにくいのなんの。
これは何とかサンダルで。今が寒い季節でなくて助かった。
今は女に見える肉体。
だから衣料品を取り扱うスーパーのランジェリーコーナーでも不審な表情をされずにすんでいた。
「サイズはいくつをお探しですか?」
女性店員が聞いてくる。こっちから呼んだ。今は女なのだ。後ろめたいことはない。
「え…と、65のD……かな?」
ちょっと自信がない。
「では測らせていただきますね」
曖昧な態度ゆえ女店員は確認にでた。当然だよな。
試着室で上半身裸に。
もっともジャンスカにTシャツ。キャミだからそれを脱げばショーツ一枚。
店員がカーテンを最小限に開けて入ってきた。そして断りを入れてからメジャーを俺の胸に。
ひゃっ。冷たい。
続いてトップバスト。うひゃっ。冷たさと別の感触も。
この敏感さはどうしても過剰反応をしてしまう。
「そうですね。65Dでいいみたいです」
俺は例を言ってまた服を着る。
そして今度はブラそのものを選びに。
胸の前でホックを止めて後ろに回す。それからカップにふくらみを収める。これでよし。
今まで何度もつけていたブラだけど、フィットするとこんな感じなのか。
女装のときもパッドしていたけどこんな感触じゃなかったからなぁ。
今の今までは落ち着かなかったがカップに胸が納まって固定されるとやっと落ち着けた。
締め付けには慣れているのでむしろそれも落ち着ける。
ほら。現実にも女装趣味はないのにブラだけはする男がいるし。
鉢巻みたいに引き締まるらしい。そんな感じかしら。
あれ? ブラであたしの女モードがスイッチオン?
支払いは現金だったが気になってクレジットカードを見たら名義が「MAIKO HAGIWARA」となっている。
これは女装のときに使っていた名前ね……そうか。麻衣子のときに参拝したからそのままそれが。
じゃ免許は?
こっちもだ。しかも顔写真がちゃんと女になっている。
この分じゃ戸籍も変わっているのかも。
ブラで胸を固定して落ち着いたあたしはちょっと余裕が出てくる。
せっかくだからとそのまま女物を買いあさる。
この華奢な肉体にあうものはたくさんあった。それもかわいいものがいっぱい。
今までは「趣味」だったが現時点じゃ実用性を問われることになるけど。
それでも可愛いほう可愛い方へと走るのはもともと女装が趣味だったからかしら?
今のサイズにあうキャミを買い、薄いピンクのブラウスと赤いプリーツスカート。
10台の女の子のような格好をしていた。
肉体と言うか顔は見た感じ20代前半くらい? でもこのファッションはたぶんOK。
髪だけはさすがに何も手を加えてない。
もともとカツラでも梳かすだけだったし、正直そんな凝ったヘアメイクなんて出来ないし。
真昼の往来をスカート姿で闊歩。
たまに吹く風があたしの髪とスカートをふわりと流す。
太ももに当たる風が気持ちいい。スカートって頼りないと同時に気持ちのいいものでもあったのね。
ズボンにはない風通しのよさ。
多分もともとの女性は子供のころからはきなれているので、そんなこと改めて思ったりしないのだろうけど。
夢にまで見たシチュエーションなんだけど気軽に楽しんでいる状況でもないわね。
どんなに悩んでもお腹は空く。とりあえずご飯にしたかったけど今の姿となるとちょっと牛丼とかは違和感がある。
いや。入ろうとしたんだけどなんか女の子一人はかなり珍しいらしい。
注目されてしまって気後れした。
結局はハンバーガーで。
食べ終わってもあたしはこの後のことを思うと動けなかった。
とりあえずは今日は服も調達したし何とかなる。
しかし現実問題として戻れなかったら明日からどうしたものか。
なにより仕事に出てもあたしが萩原和幸とわかってもらえるはずもない。
それを何とかしないといきなり月曜から無職だ。
全社員にわからせるのは無理。と言うか全社員に触れ回りたくはない。
出来れば直接の上司である社長と秘書課の人間だけにとどめたい。
しかしいきなりこの姿で「私は萩原和幸です。不思議な神社で祈りをささげたらこんな姿になってしまいました」とは言ったところでこんなオカルト信じて貰えまい。
せめて誰か味方をつけて……いた!
こういう現象に食いつく人間が一人いた。
あたしはケータイのアドレスで「田中愛弓」を出して電話した。
幸いにも今日は不都合ではなかった。だが当然だがなかなか信じてもらえなかった。
この声だしなぁ。
からかわれていると思ったらしく怒気をはらんできた。
あたしは懸命に哀願した。そして秘書課の人間でないと知らないようなこと。
さらにはあたしと愛弓だけしか知らないようなことを言う。
言っとくけど肉体関係はなかったわよ。お互い趣味を優先していたものだから。
『本当に萩原さんなの?』
まだ疑っているがだいぶ信じてくれた声。
「信じてくれるの?」
あたしは思わず涙ぐんでいた。
今のあたしを知るものは誰もいない。その孤独から開放されると思うと自然に雫が。
とにかくあってもらえることにはなった。
けれど得体の知れない女の声での会談要求。
当然だけど自宅に招き入れるはずもなく外であうことになった。
ちょっと目立たないところにある喫茶店の店名だけ告げられる。
あたしは知っているから迷わずいけた。
これもまたあたしと愛弓だけが知っている店。
それも決め手になったのか愛弓はあたしの話を聞いてくれる気になったらしい。
もちろん彼女が店に入って来るなり「ここ」と席に招いた。
特徴だけ聞いた人間じゃこうは出来ないと言う速さで。
彼女はあたしの真向かいに座る。
店員に対して「ホット」とだけ告げる。
ちなみになあたしも同じだったが苦くて飲めなくなっていた。
女の味覚だとこんなに苦く感じるなんて。
「とにかく話を聞かせて」
あたしは一部始終を話した。
成り行きで女装趣味もカミングアウト。そうでないとこの姿になった部分につながらない。
「その話が本当としたら……神様に届いちゃったということかしら? 酔っていたからうそ偽りが出来ず本音ととられて。そして本気の証拠がそのお賽銭で」
まじめな表情で非現実的な話題を論じる。
片や女装趣味の挙句、本当に女になったあたし。
片やオカルトマニアと言うシュールな連れ合いだった。
「それにしても萩原さんにそんな趣味があったなんてねぇ」
さげすむ表情や口調ではない。むしろにやにやとしている。
「人がどんな趣味してても迷惑かけてないなら別に……」
これだけ言うのが精一杯だった。
「そうよね。でもどうせだったら男のときに言って欲しかったな。協力してあげたのに」
どうやら彼女は女装に対して好意的らしい。
「いえるわけがないでしょ」
「そうよねぇ。わたしはよくても社会的にはねぇ」
気のせいか彼女の口調がだいぶフランクに。
やはり「女同士」だからか?
「ま。とにかく。わたしはその趣味に対して偏見はないわ。萩原さん仕事はちゃんとしてるしね。社長の信頼も厚いのよ。知ってた?」
「……社長……」
この先を思うと気が重い。どうやって社長に信じてもらおうか。
どうやら愛弓を味方につけるのは成功したようだけど…
「わたしにしたみたいに社外秘を言う手は有効だと思うけど、社長はあたしと違ってオカルトは信じてないからなぁ」
「そうだね。徹底したリアリストで」
我田引水になるが社長があたしを専属秘書にしているのは単純に「一番使える」からだそうな。
本当は女の方が華があってよかったが、それでも萩原和幸が一番有能と判断してそばに置かれていた。
「リアリスト相手の攻め方はあるかもね」
「?」
怪訝な表情をしていたあたし。
そんなあたしを彼女は自宅へと招いてくれた。
愛弓のとりなしで社長との面談にこぎつけた。
これまたあたしが萩原和幸とは信じてもらえない。
「まぁ確かに似ているといえば似ているが」
愛弓の立てた作戦。それは男装だった。
女物ではあるがパンツルックのスーツを彼女が持っていた。
その中で一番地味なグレーの物を。
髪はオールバックにして後ろでまとめる。後ろ髪はスーツの中に入れて傍目には短髪に。
そして小麦色のファンデで白い肌を男っぽくする。
「それでは社長。これでどうでしょう?」
声もなるべく押し殺して低く作ってやはり社外秘を。
さらにさまざまな暗証番号など愛弓も知らなかったことを並べ立てる。
「どうやら本物のようだが信じられねぇな。男が一夜で女になぁ」
「わかっていただけましたか? 社長」
あたしは思わず高い声で叫んでいた。
女装のときは欲しくてたまらなかった女声が今はとことん邪魔。
「大体なんでそんなことになったんだ?」
う……やっぱり避けては通れないか。
あたしはなぞの神社のことを話した。
そして結局は女装趣味もカミングアウトする羽目に。
「まぁわかった。つじつまは合う。お前さんが萩原と言うなら信じてやるさ。仕事さえ出来るんならむしろ女の方が華があっていいしな」
ここで社長はいたずらっぽく目を輝かせる。
「よし。来週いっぱい休んでいい。名目は入院にでもしておく。それで元に戻る手段を探せ」
「はっ。なんとしてでも」
まずは同じことを繰り返してみよう。医者は無駄だろうな。大体信じてもらえまいし、時間もかかるだめう。
「それで駄目だったら後半は準備期間だ。田中。手伝ってやれ。その間は適当な奴に俺の秘書は代行させるから」
「あの…社長? 準備とは」
「決まってんだろ。元に戻れないなら女としての服やらなにやらだよ。とりあえず化粧品は間に合っているようだから通勤服だけでもな」
「下着も要りますね。社長」
ううっ。無職になるよりはましだが遊ばれるのも…
さすが社長の名前は「前田啓二」と天下御免のかぶき者と同じなだけのことはあるわ。
とにかく何とか首はつながった。
後は今夜にでも同じ状況を作り出して月曜には男に戻らないと。
それから三ヶ月。九月。
目覚ましの音があたしを夢の世界から引き戻した。
ふう。もう朝か。
あたしはパジャマのままシャワーを浴びに。
長い髪をタオルでくるみぬるま湯を浴びる。
あたしの白い肌。豊かな二つのふくらみを経て水滴が何もない股間から下へと落ちる。
あらやだ。腋がすこし。やはり永久脱毛しようかしら?
でも女物を買いそろえるので散財したからなぁ。
そうなのだ。あたしは元に戻れなかった。
泥酔して同じように神社を目指したのに神社がなかったのだ。
あの時は何かの条件が整っていた。けれどその中にはあたしが男であることもあった?
だから今は条件が整わず神社にたどり着けない?
そんな仮説が出来ていたけどもうどうでもよくなっていた。
「はぁ。二日目はつらいよね」
あたしはサニタリーショーツを引き上げながらつぶやく。
これで三回目。「初潮」は変身して十日のうちに来た。
昨日から始まっていたこれはあたしが中身も女である証拠になって覚悟を決めさせた。
前かがみになってブラのカップに大きな脂肪の塊を収める。そして後ろ手でホックをとめる。今ではそこまで出来るようになった。趣味と実用の差ね。
九月とは言えどまだ暑い。蒸れて張り付いていっそノーブラにしたいけど、無駄に大きいからつけないでいるのは無理。
男時代は趣味だったブラジャーも、女になってしまうと必需品と言うか強制的よね。
キャミ。ブラウス。タイトスカートまでつけてから朝食。
そしてまた顔を洗ってメイク開始。
もぉー。これがなければもっと長く寝ていられるのに。
社長秘書である以上だらしない格好は出来ない。
さすがにだいぶ手慣れたもののやはり時間のかかる行為をしていた。
「よし。完璧っ。後は」
メイクを終えたあたしは耳の穴にピアスをつける。
上着をつけて玄関に。
今ではすっかりなれたハイヒール。乾いて軽い足音を響かせてあたしは駅へと急ぐ。
仕事が始まる。今日は取引先との懇談。
「これは前田さん。お久しぶりです」
「その後お体はいかがですか?」
取引先の社長は体調を崩して入院していたと言う。やっと戻ってきたとか。
「おや。秘書の方が代わりましたか?」
当然女のあたしとあうのは初めてで。
「ええ。前の秘書は田舎に帰りまして代わりに。さぁ。ご挨拶をして」
社長はいたずらっぽく笑う。ううう。
「初めまして。秘書の萩原麻衣子です」
名刺を差し出す。
「おお。こりゃどうも。いやいや。きれいな女性でうらやましい」
そう言う相手の社長さんの目はあたしの胸に釘付け。はぁ。女になってよくわかった男の助平さ。
あたしはそのまま女性秘書として元の仕事についていた。
『女装趣味だったってんなら存分にさせてやる』と前田社長の一言で決まったのだ。
悪戯心とスケベ心で。
「よろしくお願いいたします」
あたしはとにかく女性的に、失礼のないように振舞っていた。
気を抜くとアニメ声になる声を無理に低く作り。
皮肉なもんだわ。女装していた時は無理に高い声を出していたのにね。
ストレスがたまるわ。女の体は。
ましてやストレス解消でしていた女装が、今では逆にあたしを苦しめている。
窮屈なブラ。息詰まる化粧。なれても歩きにくいハイヒール。
女言葉や女のしぐさ。女ってこんなに制約が多かったの?
あたしは女装がしたかっただけで、女になりたかったわけじゃなーい。
そして休日。あたしはパンツ一丁だった。
胸にきついチューブトップ。色は肌色。コスプレ用で女性コスプレイヤーが胸元を露出した男性キャラをするときに使うらしい。
これで「俺」の男モードにスイッチが。
タンクトップ。シャツ。ズボン。
髪は仕事で切れないので纏め上げる。
それからメイク。眉を太く作り肌を浅黒く。
帽子をかぶり何とか男に見えるように。
背のなさだけは仕方ない。
そう。俺は女の肉体で受けたストレス発散のためたまに女を休むことにした。
つまり男装である。
女が男装して歩くのはとがめられないからな。
俺は男らしく見せる目的とストレス解消で吸うようになったタバコを口にくわえて扉を開けた。
さぁ。今日一日俺は男に戻るぞ。
今では休日のたびに男装するのが最大の趣味になっていた。
The END
僕のサイト「城弾シアター」にリンクしてくださっているサイトには女装をメインにしたところもありまして。
そう言う人たちにサービスのつもりで女装をテーマにかきました。
最初はニューハーフの主人公が一人だけ念願かなって女性化したけど、そのため仲間との関係が途切れてと言う話でした。
ちなみにおちはみんなと同じ体にと願ったら「みんなが」女性化してしまったと。
ただニューハーフの人の心理がわからないのもあり、そしてうかつなことはかけないなと思って頓挫でした。
それをもうちょっと軽く。単に女装趣味としたのが本作です。
タイトルもとてもわかりやすくしてみました(笑)
憧れと現実と言うのもひとつのテーマでしょうか。
実際に女になったらいろいろ大変だったと。
もっとももし24時間女装で通している人がいたら朝のメイクや女性的な振る舞いで気を使うあたりは現実にもあるのかな?
そう。リアル。
普段書いているTSは現実にない話でファンタジーだからいいけど、女装する人は少なくとも女性化した人間よりは現実にいると思うので。
ツッコミが怖いなぁ(笑)
一応調べてはいますが。
反対に調べが行き届いた結果リアリティが出過ぎて「ここまでかけるとは城弾自身も女装者だ」とか言われるのも困るし(笑)
まぁ結果としてはTSですしあまり突っ込まないでくれると助かります(笑)
登場人物。主人公の萩原和幸。そして萩原麻衣子。
前述のニューハーフの本名として設定していてたものの流用。ただしそのときの女性名は「萩原愛」
32歳の社長秘書と言うのは若くしてそれなりに収入があるという設定のため。
一人の空間と女性服をそろえるとなりゃ学生にゃ無理。
それと女性化したときのギャップで。
そして女性化したときに秘書だと強制的にスカートやメイクでしょうし。
味方になってくれるオカルトマニアの田中愛弓はあまり深い意味はなくて。
社長の名前が前田啓二なのはもちろんあの前田慶次から。度量の大きな人物として。
本当は前田敏益とも考えてたんですが(笑)
(前田慶次郎利益がフルネーム)
ちなみにまたオチの分岐を考えてました。
社長が独身と言う設定はそのためで。
この「男装趣味」はこちらで。そして投稿バージョンではそれは描かず結果的に社長婦人になってしまったと。
女の人生も悪くないけどやはり社長婦人として振舞わないといけなくて…と。
ただ書きたかったのは最後の逆転なのでそれをしてしまうと意味がないので同じもので。
お読みいただきありがとうございます。
城弾
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