お昼ご飯を終えて、僕等は今度はBクラスにやって来た。ちなみに、なのはとムッツリーニは店に戻っている。まあ、確かにあの二人がそう長く抜けるわけにはいかないしなぁ……。
あ、ちなみにエリオ君は葉月ちゃんとキャロちゃんに連れられてどこかに行ってしまった。エリオ君。強く生きるんだ……!
なんてこと考えてる内に、Bクラスに辿り着く。………………辿り着いたんだけど…………
『コスプレ撮影所 2-B』
看板にそう書かれてる。というより、『撮影所』の文字は後から付け足したような感じだ。
「(ひょっとして、撮影所の張り紙の下って『喫茶』って書いてある?)」
僕は思わずそう考えてしまう。というか、八神さんはコスプレ喫茶だって言ってたはずなんだけど、どういうことなんだろうか?
「ふむ。なにやらすごい人じゃのう」
「あぁ。それにしても、八神の奴、喫茶店をやってるんじゃなかったのか?」
「あの、コスプレって……」
どうやら雄二も同じことを思ったらしく、そんなことを言ってる。瑞希ちゃんが分からないのはまぁ、無理はない。だって縁無さそうだし。ここは百聞は一見にしかずってことで、実際見てもらおう。
「まあ、とりあえず入ってみようよ」
「そうじゃの、ここでじっとしてても埒が明かぬしの」
「ま、そうだな」
意を決し、僕等はBクラスの扉を開ける。そこには……
『抱きしめてぇ! 銀河の、果てまでぇーッ!』
ズコォッ!!
開いた途端聞こえた台詞に、僕らはそろいもそろってずっこける。い、一体なんだというんだ!?
「よおこそ。Bクラスコスプレ撮影所にな。アキ君」
声が聞こえた方を向くと、そこには騎士服と杖を持った八神さんがいた。
「八神さんのそれって、コスプレって言うのかな?」
「何のことや?」
「いや、こっちのこと」
僕は「ああ、突っ込むべきじゃないんだね」と悟り、それ以上は何も言わないことにした。
「それにしても八神さん。コスプレ喫茶だって言ってたはずだけど、これって……?」
「ん? ああ、いやね? コスプレしながら喫茶店やるより、コスプレ料金と撮影料金をとった方が儲かるってわかったんや」
あっさりと理由を言う八神さんに、僕は呆れ半分関心半分な気分になる。なんというか、よくやるよ……。
「…………(パシャパシャパシャッ!)」
見覚えの有る奴がいた。
「……ムッツリーニ?」
「他人の空似」
「いや、ムッツリーニじゃろう?」
「……(ブンブン)」
まだシラを切るか……
「じゃあ聞くけど、君の名前は?」
「土屋康…………夜」
OK。その場で咄嗟に考えたことは良く分かった。
「まったく。ムッツリーニでしょう? 嘘言わなくても分かってるから。何してるのさ、こんなところで?」
「……敵情視察」
その割には女子ばかり撮ってた気がするんだけど……。
「それはそうと、そろそろ戻らないと不味いよ? なのはって料理関係になるといろいろとうるさいから、こんなところで油を売ってたら……」
《青い鳥が逃げ出したよ~空の籠を抱いて泣いた~♪》
噂をすれば、か……。
「<ピッ> もしもし?」
『アキ君。そこにムッツリーニ君いる?』
案の定か……。
「いる、けど……」
『そっか、じゃあ、ハヤクカエラセテネ?』
「Yes you‘r majesty」
そう言って僕は携帯を切る。これは……ダメか……?
「ムッツリーニ……早く戻らないと…………不味いよ? その、物理的に……」
「……すぐに戻る……!」
そう言ってムッツリーニは慌てて店に戻る。店にクレーターができなきゃ良いけど……。
「ア~キ君。こっち見てみ?」
「???」
八神さんの声に、反射的に振り向くと――――――
「あ、あの……。どうですか? 明久君……」
そこには、何故か白と赤基調の制服、そして黒タイツをして大きめの丸眼鏡をした瑞希ちゃんがいた。
「えっと、コスプレ?」
「は、はい。八神さんがやってみたらと……」
ふむ。なんというか、なぜだかしらないけど、やたらはまってる様な気がする。なんというか、見た目が。
「いや~、似合うはずやと思っとったけど、ほんまに似合うな~」
「その、似合いますか、明久君……」
「え、ああうん。似合うよ、すごく」
「ホントですか? 嬉しいです……」
実際良く似合うよ。というより、よく似てるって言った方が良いんだろうか?
「で? 八神よ。なぜワシまでこのような格好をせねばならんのじゃ?」
そこには、瑞希ちゃんと同じ制服を着て、紫のツインテールのウィッグ(カツラ)を被った秀吉と……
「正に美女と野獣だね、八神さん」
「まったくやね」
「あはは……」
秀吉と一緒にいたのはどういう経緯か、ゴリラのぬいぐるみを着た雄二がいた。こっちもいろんな意味で似合ってる。というか……
「雄二はそんなもの着なくても充分じゃないか」
「おいコラ、テメエ。そりゃどういう意味だ?」
そのままの意味だよ?
「さ・て・と。それじゃあ、アキ君?」
「ん、なに? 八神さん」
「こんどはアキ君の番やで~?」
そうきたか……。
「ま、まぁ。僕は別に秀吉みたいに女の子じゃないから女物を着るわけじゃないんだし……」
「何を言っとるんや? アキ君。アキ君もや」
へ…………………………?
「いや、あの。八神さん? その、冗談だよね?」
「私は冗談言わへんよ。…………こういう面白いことに関しては特に」
「じゃ、じゃあ僕はこの辺で(ガシッ)な、何なのさ君たち!? ちょ、八神さん! なにそんな「これから面白いことが始まるで」みたいな顔してるの!? ねえ、だからちょっと待っ……!!」
僕の意思を無視し、「いらっしゃーい」と言われ、『着替え室』と言う名の扉は開かれ……
『キャアァァァーーーーーーーーーーーーッッ!!』
僕の悲鳴は学園中に響き渡った……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「うっ、うう……僕、もうお嫁にいけない……」
「行けるもんなら行ってみろよ。まあ、今の格好なら可能かもしれないけどな、アキちゃん?」
「はうぅ、可愛いですぅ////」
「むう、なんともな……」
「み、見るなぁあああーーーーーーーーーーーーーーー!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
同時刻。Aクラス『メイド喫茶 ご主人様とお呼び!』
「じゃあ、私これから休憩はいるね?」
「ええ、ハラオウンさん。これからどこ行く?」
「うーん、そうだね。とりあえずいろいろと見て回ろ【てきぃいん!】…………」
「ハラオウンさん?」
「ごめんね? 私ちょっと用事を思い出したから」
「え? あ、ちょっと! ハラオウンさん!?」
ガラリッ! タッタッタッ!
『いくよ、バルディッシュ!』
『Yes sir Stand by ready set up!!』
カッ!
『ライトニング1、フェイト・T・ハラオウン。行きますっ!!』
ドビュンッ!!
『お、おわ!? な、なんだ!? 今、何かがすげえ速さで通ったような……』
『はあ?気のせいじゃねえの?』
『そ、そうか?』
はい! と言うわけでみんなのヒロイン(?)アキちゃん爆誕です!!
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。