大飯原発:ぶれ続ける政府方針
毎日新聞 2012年04月13日 22時43分(最終更新 04月13日 22時55分)
ところが思惑通りには進まなかった。九州電力玄海原発2、3号機をめぐり、海江田万里経産相(当時)は昨年6月に「安全」を宣言。自ら地元入りして地元の了承も取り付けたが、世論の反発を受けて菅直人首相(同)が経産相の頭越しに安全評価(ストレステスト)の実施を掲げ、再稼働に待ったをかけた。その過程で九電による「やらせメール問題」も発覚。地元は同意を撤回した。
政府が再び再稼働を模索し始めたのは、首相が菅前首相から野田佳彦首相に交代した昨年9月以降。民主党の仙谷由人政調会長代行が今年に入り、党内に「東電・電力改革プロジェクトチーム(PT)」を設置し、水面下で党内の地ならしに入ってからだ。
「安全と需給は別」と繰り返し再稼働に慎重と見られていた枝野経産相も、2月には「安全の確認と地元の理解が前提だが、今の電力需給では稼働させてもらう必要がある」と姿勢を転換させた。
大飯3、4号機の再稼働へのゴーサインはその地ならしが実を結んだ形だが、一連の手続きには拙速との批判が根強い。再稼働の正式決定までにはなお曲折が予想される。【丸山進】