宮城県は12日、同県蔵王町の会社が製造した「ヤーコン茶」から、食品に含まれる放射性物質の新基準値(1キロあたり100ベクレル)を大幅に超える1万7200ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。同社は1100セットをインターネットや県内外のホームセンターで販売しており、自主回収を始めている。
宮城県によると、同社は「GOLDrand」(問い合わせ先=0224・34・2819)。昨年5月に屋外に植えたヤーコンの茎葉を自然乾燥し、粉末にして売っていた。先月末に民間検査機関で自主検査をしたところ、高濃度の放射性セシウムが検出されたために県に連絡したという。
酒井陽次社長は取材に対し「東京電力から放射能検査の結果がないと賠償できないと言われ、検査機関にヤーコンを持ち込んだ。心配になって県に相談した」と話した。
ヤーコンは南米アンデス高地原産のキク科の根菜。健康野菜として知られ、茎葉を煎じて茶として飲むこともできる。宮城県南部では別の業者も似た商品を売っており、県はこの商品についても回収して放射能検査をする。
大分県立看護科学大の甲斐倫明教授(放射線防護学)は「飲んだからといってすぐに健康に問題があるものではない。ただ、昨年の9月ぐらいまでに採れた農産物の濃縮した加工品については、国や自治体がもっと目を配る必要がある。消費者の信頼を保つためには、なぜ管理体制をくぐり抜けて、基準値を大幅に超える食品が流通したのかきちんと調べて対処しなければいけない」と話している。
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