• 読書日記~「万能鑑定士Qの事件簿 Ⅵ」松岡圭祐:著
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    Xanadu 第四章 第六節 2,355字更新



    最近テクノポップな曲よりも、こういう癒し系のサウンドが好きになってきました(^_^;)

    疲れてんだなぁ。

    ミクさん美人さんです^^



    王道とは言い換えればベタ。

    悪く言えば陳腐。

    誰にでも考えつくし、誰しもが読んだことがある話。

    それが王道。

    王道のストーリーもありますが、王道の構成ってのもありますよね。

    「Ⅵ」はまさに王道の構成でした。

    あらすじです。



    “万能贋作者”雨森華蓮。
    彼女は世界的に名を馳せる贋作者で詐欺師だった。
    最新の贋作「MNC74」とは何か。
    華蓮に鎌倉の豪邸へ招かれた莉子は、わけのわからない鑑定を次々と受ける。
    華蓮の狙いとは。
    莉子にとっての最大のライバル現る。
    打ちひしがれた莉子に訪れたひらめきとは――



    「Ⅵ」の構成を簡単にまとめるとこんな感じです。

    起:華蓮のすごさを読者に印象づける。
    承:華蓮と莉子の接触。
    転:追い込まれた莉子。
    結:莉子の大逆転。

    「風車の理論」というのがあって、それはスポ根漫画などでは王道の展開です。

    追いつめられて危機に陥った主人公が、一気に大逆転して勝つ。

    ライバルがすごければすごいほど、ラストでの主人公のすごさが際立つんですね^^

    「起」では、華蓮の徹底した「仕事ぶり」が表現されています。

    警察も手が出せない状態。

    そして「承」では、華蓮の生い立ちなどが語られ、読者は敵役である華蓮に感情移入させられます。

    同時に主人公である莉子と華蓮が近づいていき、ついに接触します。

    読者にここで、どっちが勝つんだろうと思わせるんですね。

    正確には、主人公が負けるかもと不安にさせるわけです。

    読者は当然主人公の味方ですから、主人公の勝ちを信じている。

    ところが「転」では、その主人公が徹底的に痛めつけられます。

    ここで難しいのは、この部分で無理な設定や展開を持ち出すと駄作認定されてしまうことだと思います。

    読者はあくまでも主人公の味方なので、納得のいかないやられ方では不満しか抱けないんですね。

    ここが作者の腕の見せ所でしょう。

    主人公の味方である読者に、ぐうの音も出ないほど完璧な理由で主人公を打ちのめす。

    そういう意味では、「Ⅵ」のこの部分はかなりレベルが高かったと思います。

    そして「結」での起死回生の華麗なる逆転劇。

    やっぱり主人公は強かった、でも敵もなかなかがんばった!

    ってなるわけですね^^



    こういった王道的な構成という視点で見ると、「Ⅵ」はかなり正統派です。

    綺麗な構成と言ってもいいでしょう。

    「転」から「結」への切り替わりの落差が大きすぎて、ちょっと無理矢理感はありましたが(^_^;)

    まぁ十分納得できるレベルではありました。

    終わり方が“次回”を期待させる終わり方だったので、華蓮はもしかしたらまた出てくるかもしれませんね。

    莉子のことをQちゃんとか呼んでたしw

    普段は礼儀正しい莉子も、華蓮のことは「華蓮」と呼び捨てにしていましたし。

    何よりもラストの直接対決時の語らいが、心が通い合ったって感じでよかったですね。

    女同士の友情と言いますか、頭のいい人同士しかわからない連帯感のような不思議な空気でした。

    もちろんいい意味です。

    莉子はもう完全に警察に頼りにされてますね。

    警部補レベルでは、もう莉子のいいなりですw

    実際莉子の言うこと聞いてた方が解決早いですし。



    今回も豆知識は盛りだくさんでしたが、今回は雑学というよりかなり専門的な知識でした。

    割かしポピュラーなネタでは、「ICPO(国際警察機構)」という組織は存在しないっていうヤツでしょう。

    有名な「ルパンⅢ世」の銭形警部が所属してるとこですね^^

    ICPOは国家間の警察の連絡機構であって、そういう組織があってそこに所属している人間がいるわけではないということでした。

    また一つ勉強になりました^^

    鎌倉の華蓮の屋敷での部分では、息つく暇もなく鑑定依頼の連続でした。

    毎ページごと豆知識が出てくると言ってもいいくらいです。

    かなり専門的ではありましたが。

    ラストのトリックも王道中の王道でした。

    本格推理ミステリ好きな方には、簡単過ぎて笑ってしまうトリックだと思います。

    僕でさえ気づきましたからねw

    でもそのトリックを仕掛ける前段階での仕込みがすごい。

    以前も申しましたが、この「万能鑑定士Q」シリーズはトリックや謎よりも人間ドラマを大切にしているんです。

    それがこの誰にでも気づく王道トリックを、独特の洗練されたトリックへと昇華させてるんですね。

    構成もトリックも王道。

    でも書き方によってそれを斬新なお話にしている。

    僕としてはかなり勉強になっています^^
  • 2012年 04月13日 (金) 21時50分

コメント

大丈夫ですか! 冒頭を読んで心配になりました。

起承転結というと、企画の「起承転転」の勉強にもなりそうですね。
王道って、どこにでもありますが息が長い作品だとも感じます。
王道作品が書きたいです。
自分の作品は覇道のような気がしているので……。
投稿者:つるめぐみ  [ 2012年 04月13日 (金) 22時59分 ]
ICPOの事は知ってましたよ(えへん ^_^;)

捜査権はないし、所属の捜査員もいませんね。

言うなれば、警察の国連て感じですね。
投稿者:神村律子  [ 2012年 04月13日 (金) 22時58分 ]
 王道であるのに面白い! と言うことはそれは間違いなく“本物”って気がしますよね。
 しかし、うーむ……。聖騎士さんの読書日記を読んでいると、今度のT.C.G、私の作品は最初の三行ですべて聖騎士さんに展開を読まれてしまいそうな気がしてきましたw
 なにせ王道展開を斬新な切り口で――なんて高等技術はできないのでベッタベタ掌編になる予定です。その代り、今回の難しいお題をみなさんがどのように調理されて物語を書かれるのか、いまから楽しみですね!
投稿者:おみと  [ 2012年 04月13日 (金) 22時44分 ]
主人公の負け方ですかぁ
あまり考えてはきませんでしたねぇ……
やられる事が多いのにw
投稿者:神聖グラントル  [ 2012年 04月13日 (金) 22時38分 ]
王道には多くの人が面白い要素が詰まってますが、それだけに巷ではあふれかえっているんですよね。
だからこそ書き方が重要になる。
いつか、見慣れたものを斬新なものに出来るほどの書き方が習得できるといいなと思います。
投稿者:桜葉久遠  [ 2012年 04月13日 (金) 22時11分 ]
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