1960年1月1日〜2010年12月31日までの国会での会議録検索で「ポリオ」「ワクチン」で調べてみました。
現在国内で使われているポリオワクチンは、生ワクチン。
米国では2000年から使用しなくなっており、先進国で定期の接種で使っているのは日本だけ。

B型肝炎と異なり、定期接種枠のワクチンで、数少ない「集団接種」をしているワクチンです。
B型肝炎と違ってかなり生ワクの問題指摘や不活化ワクチンが重要だという議論も展開されているのに、2011年現在、アクセスが難しい状況にあります。
ワクチンが原因でポリオになってしまった人やその保護者、現場の小児科医らが国産ワクチン開発までの間だけでも緊急に輸入してはどうか?という提案に対して、小児科の団体が一枚岩でない、そしてメディアは不活化ワクチン導入支援の立場の報道が増えています。
たいへん複雑な状況にみえます。
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まず、今から10年以上前の話から。
平成12年03月14日 衆議院 - 厚生委員会 - 3号
家西委員 「不活化ポリオワクチンについてお尋ねしたいと思います。私、HIVの当事者として、免疫機構が下がっている以上、この不活化ポリオワクチンという問題は、ちょっと目が離せない問題があります。実は、ことしの七月二十四日の予定で私に子供が生まれます。(略)今現在、世界では不活化ポリオワクチンが発売されていますけれども、日本として、ぜひともそれを敏速に手に入れるようにしていただきたい。私たち感染者の問題として考えたとき、免疫が下がっている者は、こういったポリオに罹患する確率は約五百倍あると言われています。何としてでも不活化のポリオワクチンを入手するようお願い申し上げたいと思いますが、その点について大臣の方からぜひとも前向きの発言をお願いしたいと思います。」
免疫が下がっている人たちには生ワクチンは接種できません。
周囲に免疫に問題がある人がいる場合も、生ワクチンはリスクがあります。
議員は血友病の治療が原因でHIVに感染し、免疫機能低下という健康問題があります、という立場でした質問。
丹羽国務大臣「海外では、アメリカなどにおきまして不活化ワクチンが承認されております。医師が患者のために個人輸入し、接種することは可能でございます。(略)最初の段階ではいわゆる個人輸入という形になると思いますけれども、そういう形で接種することは可能だ、このように考えているような次第であります。」
『輸入して接種したければどうぞ』ですね。
ときどき、承認されていない薬やワクチンは違法?という質問がありますが、違法ではありません。
説明と同意のところでよく事情を理解する必要はありますが。
平成12年11月09日 参 - 国民福祉委員会 - 2号
西川きよし君「不活化ワクチンの導入についてお伺いをしたいと思うんですけれども、現在、日本では生ワクチンが使われているわけですけれども、諸外国の事例を見てみますと、生ワクチンを使っている国、あるいは不活化ワクチンを使っている国、さらには両方もちろん併用している国々もございます。それぞれメリットだとかデメリットがある中で今後どのような観点から接種の方法をお考えになっていくのか。あわせて、将来の展望についてもぜひお答えをいただきたいと思います。」
政府参考人(篠崎英夫君) 現在、我が国では、昭和三十五年の大流行時に導入され、そして急速に蔓延の制圧に有効でありました生ワクチンが使われておりますが、これは弱毒化したポリオウイルスを経口で投与するために、四百四十万回の接種に一回程度ではございますが、ポリオ様の麻痺が生じるということが知られております。
そこで、専門家の中には、このような麻痺を生じることのない不活化ワクチンの導入を早急に進めるべきという声もあるわけでございます。しかし、不活化ワクチンの場合には注射による投与になりまして簡便性に欠けることもございますし、また蔓延の際に迅速に対応することができないというような問題等もございまして、今後の研究課題であると認識をいたしております。(略)」
西川きよし君「子供さんがこうした予防接種の時期に当たるというのは、お父さん、お母さんもその大半がお若い方々ばかりですので、それぞれの予防接種の必要性であるとか副反応に対する知識、また接種を受ける際に注意をしなければいけないことなど心配や不安を持つことがたくさんあると思います。そうした場合に、十分な相談に乗ってもらえる窓口というんでしょうか、そういうところがあれば非常に心強いなと思うわけです。 厚生省では既に予防接種センターの整備に取り組まれているというふうにお聞きをいたしておりますが、そうした整備も含め、そしてまた今後の予防接種行政についてどのような基本方針で対応されていくのか、これはぜひ厚生大臣にお伺いをしたいと思います。」
国務大臣(津島雄二君)「予防接種は、子供さんばかりでなく国民全体を疾病から守るための基本的な手段として非常に重要と認識をいたしております。このため、接種を希望されるできるだけ多くの方が円滑に予防接種を受けられるよう、心疾患等の基礎疾患を有している方などの予防接種の要注意者に対する接種を推進するとともに、予防接種に関する知識や情報を広く国民に提供するための予防接種センター機能について全都道府県における整備を進めておるところでございます。
予防接種法に基づく予防接種は、対象疾病の流行状況、ワクチンの安全性、有効性等を総合的、科学的に判断して決めているものでございます。今後とも国民が正しい理解のもとに予防接種を受けられるよう、知識の普及を図ること等により適切な予防接種の推進に取り組んでまいりたいと存じます。」
仕組みとして、流行状況、有効性等を総合的に判断しているのは「どこ」の「誰」かが問題なわけですが。
(その2へ続く)
現在国内で使われているポリオワクチンは、生ワクチン。
米国では2000年から使用しなくなっており、先進国で定期の接種で使っているのは日本だけ。
B型肝炎と異なり、定期接種枠のワクチンで、数少ない「集団接種」をしているワクチンです。
B型肝炎と違ってかなり生ワクの問題指摘や不活化ワクチンが重要だという議論も展開されているのに、2011年現在、アクセスが難しい状況にあります。
ワクチンが原因でポリオになってしまった人やその保護者、現場の小児科医らが国産ワクチン開発までの間だけでも緊急に輸入してはどうか?という提案に対して、小児科の団体が一枚岩でない、そしてメディアは不活化ワクチン導入支援の立場の報道が増えています。
たいへん複雑な状況にみえます。
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まず、今から10年以上前の話から。
平成12年03月14日 衆議院 - 厚生委員会 - 3号
家西委員 「不活化ポリオワクチンについてお尋ねしたいと思います。私、HIVの当事者として、免疫機構が下がっている以上、この不活化ポリオワクチンという問題は、ちょっと目が離せない問題があります。実は、ことしの七月二十四日の予定で私に子供が生まれます。(略)今現在、世界では不活化ポリオワクチンが発売されていますけれども、日本として、ぜひともそれを敏速に手に入れるようにしていただきたい。私たち感染者の問題として考えたとき、免疫が下がっている者は、こういったポリオに罹患する確率は約五百倍あると言われています。何としてでも不活化のポリオワクチンを入手するようお願い申し上げたいと思いますが、その点について大臣の方からぜひとも前向きの発言をお願いしたいと思います。」
免疫が下がっている人たちには生ワクチンは接種できません。
周囲に免疫に問題がある人がいる場合も、生ワクチンはリスクがあります。
議員は血友病の治療が原因でHIVに感染し、免疫機能低下という健康問題があります、という立場でした質問。
丹羽国務大臣「海外では、アメリカなどにおきまして不活化ワクチンが承認されております。医師が患者のために個人輸入し、接種することは可能でございます。(略)最初の段階ではいわゆる個人輸入という形になると思いますけれども、そういう形で接種することは可能だ、このように考えているような次第であります。」
『輸入して接種したければどうぞ』ですね。
ときどき、承認されていない薬やワクチンは違法?という質問がありますが、違法ではありません。
説明と同意のところでよく事情を理解する必要はありますが。
平成12年11月09日 参 - 国民福祉委員会 - 2号
西川きよし君「不活化ワクチンの導入についてお伺いをしたいと思うんですけれども、現在、日本では生ワクチンが使われているわけですけれども、諸外国の事例を見てみますと、生ワクチンを使っている国、あるいは不活化ワクチンを使っている国、さらには両方もちろん併用している国々もございます。それぞれメリットだとかデメリットがある中で今後どのような観点から接種の方法をお考えになっていくのか。あわせて、将来の展望についてもぜひお答えをいただきたいと思います。」
政府参考人(篠崎英夫君) 現在、我が国では、昭和三十五年の大流行時に導入され、そして急速に蔓延の制圧に有効でありました生ワクチンが使われておりますが、これは弱毒化したポリオウイルスを経口で投与するために、四百四十万回の接種に一回程度ではございますが、ポリオ様の麻痺が生じるということが知られております。
そこで、専門家の中には、このような麻痺を生じることのない不活化ワクチンの導入を早急に進めるべきという声もあるわけでございます。しかし、不活化ワクチンの場合には注射による投与になりまして簡便性に欠けることもございますし、また蔓延の際に迅速に対応することができないというような問題等もございまして、今後の研究課題であると認識をいたしております。(略)」
西川きよし君「子供さんがこうした予防接種の時期に当たるというのは、お父さん、お母さんもその大半がお若い方々ばかりですので、それぞれの予防接種の必要性であるとか副反応に対する知識、また接種を受ける際に注意をしなければいけないことなど心配や不安を持つことがたくさんあると思います。そうした場合に、十分な相談に乗ってもらえる窓口というんでしょうか、そういうところがあれば非常に心強いなと思うわけです。 厚生省では既に予防接種センターの整備に取り組まれているというふうにお聞きをいたしておりますが、そうした整備も含め、そしてまた今後の予防接種行政についてどのような基本方針で対応されていくのか、これはぜひ厚生大臣にお伺いをしたいと思います。」
国務大臣(津島雄二君)「予防接種は、子供さんばかりでなく国民全体を疾病から守るための基本的な手段として非常に重要と認識をいたしております。このため、接種を希望されるできるだけ多くの方が円滑に予防接種を受けられるよう、心疾患等の基礎疾患を有している方などの予防接種の要注意者に対する接種を推進するとともに、予防接種に関する知識や情報を広く国民に提供するための予防接種センター機能について全都道府県における整備を進めておるところでございます。
予防接種法に基づく予防接種は、対象疾病の流行状況、ワクチンの安全性、有効性等を総合的、科学的に判断して決めているものでございます。今後とも国民が正しい理解のもとに予防接種を受けられるよう、知識の普及を図ること等により適切な予防接種の推進に取り組んでまいりたいと存じます。」
仕組みとして、流行状況、有効性等を総合的に判断しているのは「どこ」の「誰」かが問題なわけですが。
(その2へ続く)