米大学が「替え玉受験」対策強化、中国からの不正増加か
[28日 ロイター] 米国の大学に入学する際に受験が必要なSATやACTといったテストに新たな規則が設けられ、大学運営側は不正入学防止に向けた期待を寄せている。
導入された新規則では、申し込みの際に受験者に写真提出を求める。また試験監督者は、提出された写真と、試験会場に到着した際に提示が必要な写真入りIDや受験生本人の顔と比較することが義務付けられるようになる。
今回の規則改変は、いわゆる替え玉受験を防止することを目的としている。ニューヨーク市郊外のロングアイランドでは昨年、数十人の学生が最大3600ドル(約29万円)を第三者に支払い、代わりに試験を受けさせたという事例が発覚した。
一方で、大学運営側は海外からの入学申請で横行する不正に頭を悩ませている。海外から米国の大学に入学する学生数はここ近年で急増。国際教育研究機関の統計では、2010─11年では72万5000人に伸びた。大学側によれば、申請書類の不正が増えており、成績証明書や推薦状を偽造するケースもあるという。
<中国の不正事情>
米国の大学と海外市場をつなぐ中国のコンサルティング会社Zinchは2010年版報告書で、「中国で不正が蔓延している」と指摘。全申請者の約半分が成績証明書を偽造しているという。
大学側は、より客観的な評価をしようと、英語能力を測定するための試験、TOEFLの結果も重視している。しかし、全国大学入学相談活動協会のデービッド・ホーキンス氏によれば、「いくら点数が高くても、思っていたより英語を話せない学生もいる」と指摘する。
TOEFLを実施している米エデュケーショナル・テスティング・サービス(ETS)は全ての受験者に対し、試験会場到着時に写真入りIDを提示することを義務付けている。SATやACTの場合とは異なり、TOEFLでは、試験監督者が試験会場で受験者の写真を撮影することになっており、2回目以降の受験で著しく得点が伸びた場合は、前回の時の写真と見比べることで不正防止に努めている。
学生全体のうち8%が外国人だという米オレゴン大学のブライアン・ヘンリー氏は、急激にTOEFLで点数が伸びるのは、中国で効率的な言語教育が行われているからかもしれないが、単に不正の件数が増えているだけなのかもしれないと疑惑を抱く。
一方、ETSの広報担当者トーマス・ユーイング氏は「不正を行っている受験者は極めて少ない」と、不正件数が増加しているとの憶測を否定しており、実際のところはまだわからないことが多い。
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