政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)は26日、独立行政法人(独法)の抜本見直しに向けた「独法の事務・事業の見直しの基本方針」を正式に決めた。今年度以降、独法の不要資産として少なくとも約2兆円の国庫返納を求めることを決定。返納された資産は来年度予算の財源としても活用される見通しだ。
基本方針は同日、首相官邸で開かれた同会議で決めた。過去の「事業仕分け」の対象を含むすべての独法(104法人)の無駄な事務・事業や不要資産を洗い出し、事務・事業の廃止や予算縮減など、見直し措置は855項目に上る。すでに独法の所管省庁と折衝を終えているため、実現する方向だ。
国庫返納として最大なのは、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(国土交通省所管)の特例業務勘定剰余金の約1兆円。今年4月の事業仕分けで国庫返納を求める判定となったほか、会計検査院も9月に「1.2兆円が余分」と国交省に返納の仕組み作りを要求していた。基本方針でも来年度から返納させることを明記した。
基本方針では、独法が所有する土地や宿舎、保養所などを処分し、その売却収入を国庫に納めるよう求めており、売却が実現すれば国庫返納額はさらに増える公算だ。