小沢氏の政治資金問題
資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる収支報告書虚偽記入事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表小沢一郎被告(69)の第16回公判が19日、東京地裁(大善文男裁判長)であり、元代表は「いかなる点でも罪に問われる理由はなく、私は無罪だ」とあらためて主張し、結審した。
検察官役の指定弁護士は9日、禁錮3年を求刑しており、判決日時は4月26日午前10時に指定された。
元代表は最終意見陳述で「検察は捏造(ねつぞう)した違法不当な供述調書と有罪ありきの捜査報告書を検察審査会に提供して起訴議決を強力に誘導した。政治への介入で、議会制民主主義を破壊し、国民の主権を冒〓(サンズイに贖のツクリ) (ぼうとく)、侵害した暴挙だ」と批判。
虚偽の捜査報告書は、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件よりも悪質だとした上で、「虚偽記入に当たる事実はなく、元秘書と共謀したことは絶対にない」と述べた。
弁護側は先立つ最終弁論で「東京地検特捜部がゼネコンからの違法な金銭授受があるとの妄想に基づいて始めた捜査で事件自体が実在しない」と指摘。土地購入のために用立てた4億円は「適法に所持していた財産で、違法に隠す必要性も動機もない」と強調した。
「元秘書は相当程度の裁量を与えられ、自ら判断して職務を処理しており、その過程でいちいち報告し、判断を仰ぐことはなかった」として、共謀が成立する余地はないと述べた。
(2012年3月19日)
陸山会事件 2004年10月に陸山会が取得した秘書寮用地の購入費をめぐり一連の収支報告書に虚偽記入があったとして、東京地検特捜部は10年1月、石川知裕衆院議員ら小沢一郎民主党元代表の元秘書3人を逮捕、後に政治資金規正法違反罪で起訴した(一審有罪、控訴)。
元代表は不起訴となったが、検察審査会は元秘書と共謀があったと判断。2度の議決を経て、検察官役の指定弁護士が昨年1月に強制起訴した。自らが貸し付けた4億円を04年分報告書に記載せず、04年分に載せるべき土地取得費約3億5千万円を05年分に記入したとする起訴内容。
民主党・小沢元代表の公判が結審し記者会見する、主任弁護人の弘中惇一郎弁護士(中央)ら=19日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ
衆院第1議員会館を出て、車に乗り込む民主党の小沢元代表=26日正午すぎ
小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」が購入した土地に建てられた秘書の家族寮=2010年1月、東京都世田谷区