自然が育んだ素材だけを使用して作られる、伝統的な本物の藍。上質な木材を使用して建てられた家は「木が生きている」と表現されることがありますが、藍にも同じことが言えます。自然から生まれた本物の藍が根本的に異なるのは、化学染料を使用せずに発酵菌を使用するので、文字通り藍が生きていることです。
本物の藍は着るほどに色が冴えると言われますが、これは使い込むことによって良い風合いが出るという意味だけではなく、発酵菌やニカワ質という物質のはたらきによって色が冴え、青みが増してくるという科学的根拠のある現象も含まれているのです。
日本の藍は、古来から「ジャパンブルー」として海外、とりわけ欧米から高い評価を受け続けてきました。「ジャパンブルー」の魅力はもちろん、日本の藍にしか出せない独特の深みを持った藍色です。毎日のように藍香房には外国からのお客様が多く来られますが、やはり皆さんのお目当ては「ジャパンブルー」です。
本物の藍にしか出せない風合いを、天然の素材だけでしっかりと染め上げる伝統的な製法で守り続けるというのは、藍香房の大きなテーマです。しかし藍香房は、藍を見て楽しむだけでなく、もっと実用的なものとして多くの方々のお役に立つ藍を追求しています。
昔の人たちが生活の中で編み出してきた素晴らしい知恵です。藍香房は、藍が持つこうしたチカラに注目して画期的な藍製品を開発しています。
新型インフルエンザが猛威をふるい、世界中がちょっとしたパニックになったのは記憶に新しいところです。それ以降、飲食店などの入り口には消毒薬が置かれているのを目にすることが多くなりました。こうした光景は、衛生に対する関心が一層高くなっていることを物語っています。
藍香房は、本藍染雅織工房が製造している本物の藍がどんな性能を持っているのかを、大学の研究施設などの協力により調査、研究しています。その結果、藍には高い静菌力が存在することが分かり、古くからの言い伝えが改めて実証されることとなりました。現在のように毎日お風呂に入るということがなかった昔の人が衛生を目的に藍の衣服を着ていたことには、科学的な根拠があったのです。藍香房はこうした衛生に役立つ藍の性能を役立てられるのではないかと考えました。
こうした性能が現在の私たちの生活に役立てられる場面はたくさんあると考え、お肌の抗菌やUVケアに役立つ化粧品や石けん、あぶらとり紙なども開発しています。
藍染は最古の染色とされ、世界中でさまざまな種類の藍植物をその地域独特の方法で染料としてきました。さらに、解毒作用などがあるとされ民間薬としても利用されています。
日本の藍は奈良時代に伝わり、平安時代には日本固有の形で染色されるようになりました。
これは、酒や味噌などと共に伝わり京都で発酵技術と融合したため。「モロミ」を造るように高温で好気発酵させて「(すくも)」を造り、酒を造るように甕や樽の中、低温で樽発酵させ「灰汁発酵建藍染液」を造り染色されるようになったのです。