米クリーンエネルギー政策、中国への優位性を失うリスク
4月12日(ブルームバーグ):米政府のクリーンエネルギー政策は再生可能エネルギー投資の「波(活況と不況)」を作り出しており中国への優位性を失うリスクがある、との報告書をピュ-・チャリタブル・トラストがまとめた。
11日夜に発表されたブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスのデータに基づくこの報告書によると、2011年の米国のクリーンエネルギー投資は風力や太陽光発電を中心に481億ドル(3兆9000億円)だった。中国の投資額は455億ドル。同分野への投資額では08年以降、米国が首位に立っている。
米国が首位に立っているのはクリーンエネルギー補助金が切れる前の駆け込み需要に負っている面が大きい。ピューのクリーンエネルギー担当ディレクター、フィリス・カッティーノ氏は、中国が長期的な再生可能エネルギー対策を取っているのに対し、米国は風力発電に対する税制優遇措置が12年に期限切れとなり、政策を推進する勢いがなくなるリスクがあると指摘した。
カッティーノ氏はインタビューで、「中国は重要な政策を打ち出しているが、米国は投資家に訴えていない。中国が2位にとどまっているにしても、当面は中国で高水準の投資が続くようだ。中国は世界のエネルギー政策の中心であり続けるだろう」と述べた。
中国は20年までに風力で1億6000万キロワット、太陽光で5000万キロワットの発電目標を掲げているが、米国にはこのような目標はない。これに加え、年末には風力発電事業者の優遇税制が期限切れとなるため、世界最大の風力タービンメーカー、ベスタス・ウインド・システムズは米国内の工場で1600人削減する可能性を示唆した。
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更新日時: 2012/04/12 13:14 JST