運輸安全マネジメントの取り組み

  • 運輸安全マネジメントの取り組み
平成23年5月
広島電鉄株式会社
電車カンパニー

基本方針と安全目標

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【 1 】 基本方針

  • 当社の安全に対する基本方針を、「社是」に定めるとともに、事故防止意識を高めるため、「無事故の誓い」を作成し、従業員に周知徹底を図っています。

    「社是」 「無事故の誓い」
    協力一致
    心からのサービス
    みんなで無事故
    人命の尊重は、われわれの絶対の使命であり願いである。
    悲惨な事故に、人の身、わが身、妻子らの不幸を思い、全力をあげて、 無事故の理想達成にまい進することを誓う。


  • この基本方針に基づき、輸送の安全に関する目標を策定し、また、目標を達成するための具体的な計画及び重点施策を策定し実施してまいります。また、必要に応じて適宜見直すものといたします。

  • 全役職員の安全に係る行動規範を次のとおりといたします。
    • 協力一致して輸送の安全の確保に努めます。
    • 輸送の安全に関する法令及び関連する規程をよく理解するとともにこれを遵守し、厳正、忠実に職務を遂行します。
    • 常に輸送の安全に関する状況を理解するよう努めます。
    • 職務の実施に当たり、推測に頼らず確認の励行に努め、疑義のある時は最も安全と思われる取り扱いをします。
    • 事故のおそれのある事態、災害その他輸送の安全確保に支障を及ぼすおそれのある事態が発生したときは、人命救助を最優先に行動し、すみやかに安全適切な処置をとります。
    • 情報は漏れなく迅速、正確に伝え、透明性を確保します。
    • 常に安全意識を持ち、リスク要因があれば速やかに改善します。また、安全に対する投資は優先的に行います。

  • 会社は、輸送の安全に関する計画の策定、実行、チェック、改善(Plan Do Check Act)を確実に実施し、安全対策を不断に見直すことにより、全社員が一丸となって業務を遂行し、絶えず輸送の安全性の向上に努めてまいります。また、安全に関する情報については積極的にこれを公表いたします。

【 2 】 安全目標

「重大責任事故を、前年度に引き続きゼロにする」、「車内転倒・扉開閉時の責任事故をゼロにする」を目標とします。

安全管理体制と方法

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【 1 】 安全管理組織

当社では、平成18年10月に「安全管理規程」を制定し、社長以下乗務員までが、一体となって輸送の安全の確保を行うため、安全管理組織を構築・運用しています。この組織の中で、安全統括管理者・運転管理者・電気管理者・線路管理者・車両管理者・乗務員指導管理者が、それぞれの責務を明確にした上で、安全確保の役割を担っています。

  (安全組織図)

【 2 】 各責任者の役割

責任者 役 割
社長 輸送の安全の確保に関する最終的な責任を負う。
安全統括管理者 輸送の安全の確保に関する業務を統括する。
運転管理者 安全統括管理者の指揮の下、運転に関する事項を統括する。
電気管理者 安全統括管理者の指揮の下、電気施設に関する事項を統括する。
線路管理者 安全統括管理者の指揮の下、線路施設に関する事項を統括する。
車両管理者 安全統括管理者の指揮の下、車両に関する事項を統括する。
乗務員指導管理者 運転管理者の指揮の下、運転士の資質の保持に関する事項を管理する。

安全確保のための措置

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【 1 】 安全に関する会議及び教育

項 目 対象者 内 容
事故防止会議 全課 係長以上
(全14回)
  • 各交通安全運動での取組みについて
  • 事故防止の対策について
助役会議 主席助役・助役

(全14回)
  • 異常時の連絡体制について
  • 事故発生状況と対策について
  • 定期考査・クレペリン検査
業務研究会 全乗務員

(全48回)
  • 事故防止の取組み
  • 事故発生状況と対策について
  • 定期考査・クレペリン検査
特別業務研究会 全乗務員・アルバイト

(全140回)
  • 車両故障・事故発生時の案内放送について
  • 信号故障時の対応訓練について
  • 車内トラブル発生時の対応について
乗務員経験年数別教育 対象となる乗務員



(全46回)
運転士:3ヶ月・6ヶ月・1年・3年・15年・25年教育
車掌:6ヶ月・5年教育を実施
  • 空車訓練による基本動作の再確認
  • 実設訓練
  • ヒヤリハットの報告
技術係員教育 技術係員

(全58回)
  • 運転関係規程類
  • 異常時の運転取扱訓練
  • 列車防護訓練
  1. 乗務員集合教育の実施
      乗務員を対象に安全運転を行う上での基本動作の徹底や事故や故障が発生した場合の復旧訓練を行いました。
     (平成22年度実績:140回実施)
    特別業務研究会


  2. 経験年数別教育の実施
     運転士登用後3ヶ月・6ヶ月・1年・3年・15年・25年を経験した運転士と、車掌登用後6ヶ月・5年を経験した車掌に対して、教育を実施しました。(平成22年度実績:計46回実施)

【 2 】 飲酒運転の防止について

乗務員など運行に携わる係員に対し、出勤点呼時にアルコール検査機によるアルコール濃度のチェックを行い、飲酒運転の防止に努めています。 なお、基準値を超えるアルコール濃度を検知した場合は、当日の乗務は行わせておりません。

【 3 】 安全性向上のための主な設備対策(平成22年度)

 踏切安全対策

  1. 高須踏切(構造改良、保安設備改良工事)
      高須踏切を両遮断化し、踏切道を拡幅して車と歩行者等の通路区分をわかりやすく標記することで、安全性の向上を図りました。
    設備投資額:41百万円
    工事前状況 工事完了後状況

  2. 宮内駅構内通路(新設設置工事)
      宮内駅構内通路を設置することで、線路の直前横断を防止し、安全性の向上を図りました。また、段差をなくしバリアフリーに配慮しました。
    設備投資額:20百万円
    工事前状況 工事完了後状況
  3. 【 4 】 年末年始安全総点検の実施

    利用客も多く気ぜわしい年末年始は、事故が発生しやすい時期のため、毎年12月10日〜1月10日の間、国土交通省主催により、年末年始の安全総点検を実施しております。
      平成22年度の取り組みは次のとおりです。

    1. 緊急時の応急復旧訓練の実施
        年末年始安全総点検期間中の12月15日、電車カンパニー各課合同で緊急時の応急復旧訓練を実施しました。
        訓練内容は、重大事故が発生したと想定し、乗務員と運転指令者は、連絡通報訓練・車両防護訓練・負傷者救護訓練・運転整理訓練を行い、保線・車両・電気の各課は、脱線の復旧訓練及び施設損傷の復旧訓練を行い、重大事故が発生した場合でも係員が適切な対応ができるようにしています。


    2. 重点実施項目の策定・点検の実施
        運転関係は、信号の指差確認喚呼の励行、先行車両に追従する場合の運転取扱いの厳守などの基本動作の遵守状況を確認。また、テロ防止の不審物への警戒と監視強化を実施しました。
        技術部門は、電力・信号・踏切保安設備の点検整備や線路・トンネル・橋梁物等構造物の点検整備など各部門ごとに重点実施項目を策定し、本期間中に点検整備を強化し実施しました。

事故等の状況と事故防止対策

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【 1 】 平成22年度重大事故発生状況

0件(対前年▲1件)

【 2 】 事故防止対策について

安全目標を達成するため、重大責任事故の防止に努めておりますが、ひとたび発生すると大きな事故になる危険性の高い、車両衝突事故・車両脱線事故については、次のとおり具体的に運転取扱いを定めております。なお、運転取扱いの遵守状況については、管理者が定期的に添乗及び立哨を行い、守られていない運転士については、改善するよう指導しています。また事故惹起者については、長期間運転業務から外し、再発防止に徹底的な教育を実施します。

  1. 車両衝突事故防止対策
      軌道線の場合、先行車両に続行して停止する際は、15m手前で一旦停止した後、電停に進入し乗降客扱いをする場合や他の交通等を支障している場合は、最徐行で3m手前まで接近するよう指導しています。

  2. 車両脱線事故防止対策
      電車信号の誤認は、車両脱線事故や車両衝突事故といった重大事故につながる場合が予想されるため、電車信号の現示を確認する際は、指差確認喚呼(ひじを伸ばして信号を指で指し、大きな声で「信号よし」と言う動作)を確実に行うよう徹底しています。

  3. 車内転倒・扉開閉時の責任事故防止対策
     発車時には、発車案内終了後に発車するよう指導しております。
    開扉時には、完全停止後の開扉を徹底し、また、閉扉時には、車内外の確認を行った後に閉扉するよう指導しています。
    なお、車掌は発車後、プラットホームを通過するまでは、車外の状況を確認するようしています。

【 3 】 ご利用のお客様へ事故防止ご協力のお願い

  • 車内での転倒事故防止
    降車時には、電車が駅・電停に到着するまでは席をお立ちにならないよう、また、お立ちのお客様は、電車が発車する際、つり革や握り棒をお持ち頂くようお願いいたします。

  • 扉開閉時の事故防止
    扉が開くときは、扉に手や衣服等が巻きこまれないように注意してください。また、ご乗車の際には駆け込み乗車などの急な飛び乗りは大変危険ですので行わないようお願いいたします。

【 4 】 行政指導等について

平成22年度に行政指導を受けた事案はありません。

【 5 】 災害発生に対する対応

  1. 自然災害発生時の運転取扱いについて(運転停止基準)
      地震や台風などの自然災害が発生した場合は、次のとおり基準を定め、輸送の安全を確保しております。 お客様にご迷惑をおかけすることもあると存じますが、ご理解いただきますようお願い致します。
    • 地震発生時
      震度4 ・・・ 全車両一時停止し、運転士が線路状況に異常のないことを確認した後、注意運転で運転再開します。
      震度5以上 ・・・ 全車両停止し、線路係員による線路点検完了するまでの間はその場所で停止します。
    • 台風等暴風時
        暴風による運転休止の基準は、風速25m/s以上としておりますが、台風接近の際は、 風速25m/s以上の暴風圏内が到達すると予測された場合、全ての車両が入庫する時間を考慮し、 約1時間30分前に運転休止の指令を出します。


  2. 自然災害による運休状況
    平成22年度は自然災害による運休はございません。

お客様及び地域の方々との連携

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【 1 】 踏切事故の防止について

毎年11月1日〜10日の間、中国運輸局が主体となり、推進機関として、中国管区警察局・中国地方整備局・鉄道事業者が参加し、踏切事故防止キャンペーンを行っておりますが、平成22年度に行った取り組みは次のとおりです。

  1. 踏切事故防止のポスターを第1種踏切道44箇所及び宮島線駅21箇所に掲出しました。

  2. 平成22年11月4日に、主要踏切道21箇所において、中国運輸局・中国地方鉄道協会と合同で事故防止の啓発グッズを配布しました。

  3. 期間中、踏切事故防止を啓発する広報電車の運行を行いました。(3705号、広島駅〜宮島口間を運行)

  4. 平成22年11月に、中国運輸局と合同で、沿線の幼稚園を訪問し、紙芝居やDVDよる踏切事故防止の啓発を行い、またリーフレット・キャンペーングッズを配布し踏切事故防止について協力を依頼しました。 

  5. 駅構内放送(8時〜18時)及び車内案内放送(井口〜鈴峯女子大前間)により踏切事故防止キャンペーンの周知を行いました。


【 2 】 交通安全運動に伴う事故防止の取組み

春・夏・秋の各交通安全運動期間中においては、安全運行の徹底を各部署において取り組むとともに、駅・電停の一斉放送により、利用者へ交通安全運動期間中の啓発活動を行いました。