赴任支度料とは、海外勤務に伴い必要となる物資を購入するために支給するものですが、支度料の金額は会社によって相当異なります。少し古いですが、労務行政研究所が行った調査(2001.11.23)では、本人については20〜30万円、配偶者についてはその半額程度とするケースが多いとされています。
給与所得者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するためにする旅行や、転任に伴う転居のためにする旅行等の費用を会社から支給されても、その金額が、旅行の目的、目的地、行路もしくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて合理的な範囲の金額である場合には、支給を受けた個人に対して所得税が課税されることはありません(所法9条@四)。
したがって、海外赴任時や帰任時の費用、支度料等は、実費弁償的なものであれば、基本的には非課税になります。
なお、この判定に当たっては、次の事項を勘案するものとされています。
(1)役員、使用人のすべてについて適正なバランスが保たれた基準によって計算される支給金額であること。
(2)同業種、同規模の他の会社等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められる金額であること。
しかし、支度料を給与の1ヶ月分とする場合等、受け取る個人について経済的利益になると認められるものについては、給与として所得税が課税される可能性があります。
法人税法では、次のような取扱いとなっています。
・出向元(日本企業)の都合で海外赴任させる場合に、出向元がその赴任費用を負担する場合は、その金額が合理的な範囲の金額であれば、全額が出向元の損金に算入できます。
・出向先(海外企業)の都合で海外赴任させる場合は、その赴任費用等は出向先(海外企業)が負担するのが原則です。
したがって、出向先の都合であるにもかかわらず、出向元が赴任費用を負担して支払った場合には、出向元では「国外関連者への寄付金」としての課税が行われます(措通66の4(1)-3)。
ただし、例外として、出向先が子会社等で、その子会社が経営不振等で応援のために行く場合等は「寄付金」にはならず、出向元でその費用を損金として算入することができます(法基通9−4−1、9−4−2)。